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特徴

2016
Issue 59 (Spring 2016)
トレンガヌでジグ釣りを楽しむ
By 三好利恵

荒れ模様の南シナ海に入ると、水平線にはマレーシアの太陽が燃えていた。 陽が沈むとともに、イスラム教の漁師は、漁船の屋根の上で夕方の祈りを終えた。 満月がのぼると、漁師たちはイカをおびき寄せるために漁船の灯りをともした。

4月から9月のあいだ、イカは産卵のためにトレンガヌの付近までやってくる。マレーシア半島北東海岸の漁師たちはカラフルなボートに乗って、直感と経験をたよりにイカ漁に出る。

そして、一年に一度、観光客も漁を見ることができる。浅瀬までエサを探しにやってくる夜行性のイカが漁船の漁 火(いさりび)にひきよせられるのを見るため、出発は遅め だ。ボートが出てから20分ほどで水深のある場所に錨(い かり)を降ろした。「ここはイカが集まってくるんだ」とボートの船長が自信ありげに言った。 ここからは辛抱強さが試された。釣りざおの代わりに使う のは、ナイロンのラインに輝くジグがついたシンプルなジグセットだ。わたしもジグを投げ入れ、海底に届くまでラインを伸ば した。言われたとおり、ラインを上下させながら、なにも知ら ないイカがルアーのフックに巻きついてくれるのを待った。

海流がラインに重みを与えるが、じっさいにかかればそ れはすぐに分かる。かかったらイカが逃げる前に急いでリー ルを巻きあげなければならない。

長い夜の後、ボートに備え付けの小さなコンロでつくっ たカレー 風 味 のイカを楽しんだ 。残りのイカは ketupat sotong versi Terengganu (もち米を詰めてココナッツミルク とスパイスで煮込んだイカ)のために取っておいた。 南シナ海に面する長い海岸線を擁するトレンガヌは、6 世紀ごろから貿易と漁業の中心地となっていた。今日でも 漁業は、石油、ガス、観光に次ぐ産業である。ジグでのイ カ釣りはもっとも昔からおこなわれているシンプルで経 済的なイカ漁の方法で、現在も漁師や趣味のイカ釣りの釣り人によって受けつがれている。

最近は法人漁船が増えたり、埋め立てなどの影響で魚の数が減少しており、地元の漁師にとっては厳しい状況となっている。

トレンガヌも沿岸部は開発が進んでいるが、奥地を探れば固い絆(きずな)の残るローカルコミュニティに出会えるだろう。根っからの祭り好きのマレーシア人だが、トレンガヌでも年に数回祭りが開催されることで、観光客を呼びコミュニティへ還元されている。スクイッドジギング・フェスティバルもそのひとつである。 参加方法など詳細はこちらでご確認を。

www.facebook.com/SquidJiggingTGG

行き方

トレンガヌへはクアラルンプール空港からスルタン・マァムド空港へ。エアアジア、ファイヤーフライ、マレーシア航空、マリンドエアなどが定期的に飛んでいる。

お役立ち情報

Web: www.tourism.terengganu.gov.my
e-mail: tourismterengganu2014@gmail.com
かつての漁村の生活手段でもあったイカのジグ釣りを楽しみたいならば、トレンガヌ観光局へ問い合わせてみるのも手だ。もしくはホテルでボートをレンタルしてもらえるかもしれない。

トレンガヌでのアクティビティベスト5

レダンマリンパークのスノーケルとダイビング

レダンマリンパークは、トレンガヌ北東の海岸から14kmあたり、パラウレダンをメインの島とする9つの小さな島々からなる。ここでのスノーケリングやダイビングは、スズメダイ、サージェントメジャー、ベラ、ブダイ、モンガラカワハギ、ウツボ、バットフィッシュ、エンゼルフィッシュなどを楽しむことができるだろう。

タンジュンテンガ・エリアでさまざまな魚を見るならパシルパンジャン。運がよければアオウミガメやタイマイ、イカ、バラクーダ、ブラックチップシャークなどが見られるかもしれない。

レダンへは、クアラトレンガヌ(トレンガヌの首都)にあるシャバンダールの突堤からフェリーで行くことができる。一日に3回運航しており、チケットは片道MYR50。その日のフェリーの運航状況については宿泊先でご確認を。チェックインは出発30分前までに済ませよう。

レダンにはラグジュアリーなリゾートから格安ホテルまで14のリゾートがある。詳細はこちら。www.redangisland.com.

チャイナタウンへ

トレンガヌはマレー語で虹を意味するのだが、活気あふれるチャイナタウンはまさに名前の通りの町だ。ここのチャイナタウンはペレナカン文化を創りあげた中国とマレーの影響があることで異色ともいえる。おなじみの薬局や生鮮市場、ハーブショップなどの隣には、地元のアーティストたちの作品が展示されたりしている。

日中は静かだが、週末の夜になるとフィルムのカメラを携えたヒップな若者たちがカフェなどに集まって、作品を展示したりパフォーマンスを繰り広げる。

マレーシアでのサーフィン

東南アジアでのサーフィンといえば、バリやフィリピンのクラウド9が有名だが、モンスーンのシーズン、11月から3月になると、南トレンガヌのキジャルやクアラトレンガヌのバトゥブロックなどの、まだ知られていないスポットで波乗りができることに驚くかもしれない。

マレーシアにおけるサーフィンはまだ発展途上ではあるが、クイックシルバー主催の国際試合なども開催されている。

ケニールナショナルパーク

ケニール湖は東南アジア最大の人口湖で、モンスーンシーズンには釣りが、乾季にはウォータースポーツが盛んだ。水力発電と洪水軽減のために70年代後半に作られた淡水湖だ。

タマンネガラナショナルパークに隣接するケニール湖と周辺の熱帯雨林は滝や洞窟を探索するハイカーたちに人気だ。ハイキングは、Lake Kenyir Resortなど湖周辺のリゾートがアレンジしてくれる。www.lakekenyir.com)

子供連れならば、Sungai Ketiar Elephant Sanctuaryで象と水浴びを楽しんでからケニールウォーターパークーターパークへ行くのもおすすめだ。障害物つきのバウンスハウスが浮かぶ屋外のウォーターパークは子供(もちろん大人にも)には最高の遊び場だ。

イスラム文化を探る

トレンガヌはマレーの州として最初にイスラムを受け入れ、今日ではトレンガヌの人口の95%をマレー人が占める。Islamic Civilization Parkにあるクリスタルモスクは人気で、ガラスのドームが日中は空を映し出し、夜はトレンガヌ河を映し出す。

観光客はモスクの中に入れるが、長袖のローブと女性は入り口で渡されるヒジャブを身に着けなければならない。街から車で20分の場所にあるブキットロソングにある巨大なトレンガヌ州立美術館では古代の美術品や工芸品、イスラムの芸術などが展示されている。