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特徴

2007
Issue 16
An Insider's Guide to Daisetsu-zan National Park
By  The Hokkaido Bush Pig

強風とともに降り続く横殴りの雨のなか、行き先をみつめ、俺はいったいなんでこんな事してるのかと考えた。ヘトヘトに疲れ、顔や手は傷だらけ。アァ、雨だ。ジャケットは上から下まで裂け、そのうえバックパックにも大きな穴が開いていた。トレイルを覆うヤブのなかを、6時間かかってようやく抜け、たった2kmほど進んだだけ。機嫌はいいはずもなし。さらに、ここから山小屋に辿り着くまでには、まだあと2時間はかかるだろう。実際にたどり着いたのは、その5時間後だった。

これは10年前の話。しかし、今でも大雪山は美しく、僕たちを魅了してやまない。大雪山は、北海道の中央にそびえる山々。国内最大の国立公園。23万haの公園には、川、森があり、ヒグマ、鹿、狐や鳥などの野生動物が生息する。 

北に旭岳、南に十勝岳という二つの活火山もある。この二つの山をつなぐ、“グランド・トラバース”と呼ばれる多くのトレイルがある。 この55kmのトレイルは、道内でもっとも知られた山へと続く。様々な条件にもよるが、到着するまで5日から一週間かかるといわれる。 

出合ったほとんどの人はロンリー・プラネットの『ハイキング・イン・ジャパン』に書かれているように5日で辿り着こうとする。体力もあり、本格的なハイカーで、どんな天候にも左右されることなく、一日8時間ハイキングできる人ならともかく、普通のひとだと、6~7日予定することをおすすめする。 

どうやら、この国立公園は、週末のアウトドア・ウォリアーを、まるで子ネズミに変えてしまうようだ。だが、十分に時間に余裕をもち、無理をしなければ恐れる必要はない。

Pig Tip: 今までどれだけ5日で旅を終えようとして、4日目に疲れきってしまい足に豆をつくっている人に出会ったことか! 自分の計画をあきらめて、そういう人を2度も助けたことがある。

“グランド・トラバース”の一番の難所は、初日のきつい登りだ。標高1500~2000mの位置で300~600のアップ・ダウンのトレイルがある。そこで、旭岳温泉からゴンドラに乗って、一番人気のあるスタート地に一気にいってしまおう。 

ゴンドラのスタート地からは頂上までの道があるのだが、ゴンドラを降りてからキャンプ地に着くまでも、目の前に高くそびえる旭岳を登らなければならない。しかも当然、初日の荷物は重く、2~3時間は短縮してくれるゴンドラに乗るのが得策だ。

Pig Tip: もし、自力でゴンドラの発車地点から頂上まで登るなら、最低8時間はかかると思うこと。思いバックパックを背負っていると、予想以上に時間がかかるものだ。

“グランド・トラバース”、つまり大縦走路なだけに注目されることが多いが、時間があれば他の素晴らしいトレイルをハイキングするといい。旭岳近くの裏旭キャンプ場に数日泊まって、天然の露天温泉・中岳温泉までハイキングするのが最高だ。 

また、公園内でもっとも美しいともいえる愛別岳に行くのもいいだろう。去年4回ほどのガイドで、この山に挑戦したが毎回引き返さなければならなかった。向かう途中、遠くに愛別岳が見えるので、いけるぞと思うと大間違い。登り始めるとすぐに雲がでてきて、足元はもちろん、自分の手さえ見えないほどになってしまう。でも、頂上からの景色をみれば、こんな苦労も一辺に吹き飛んでしまう。 

僕は、大雪山が大好きだ。10年前にはじめて来て以来、毎年登っている。今日までに、日帰りのハイキングから2週間のバックパッキングなど、合計100回は来ている。 

山の多くがそうであるように、大雪山の天候も変わりやすい。晴れた日には高山植物を観察したり、景色を楽しんだり、野生動物にであったり。しかし、天候が荒れると、アウトドアが大好きという人でも音をあげてしまう。

Pig Tip: 数年前、2週間ほど大雪山でキャンプしたときに、毎日雨に見舞われた。次の年は、初日だけ雨で、あとは毎日晴天だった。

大雪山国立公園は、この10年ほどで大きく変わった。僕が行き始めたころはあまり管理がされていなかったので草が覆い茂っていて、歩くのにとても苦労した。だが、最近では地元の人々や、海外から来る人が増え、もっと時間とお金をかけてメンテナンスしてくれるようになった。伸びすぎた木は切られ、“グランド・トラバース”の問題ポイントも直された。そして去年、最後の一番の難所の木も切られた。 

あくまで僕の意見だが、管理されすぎて、山の特徴も失われてきたと思う。山の特性を残すため、少しは難しい場所を残しておけばいいのにとも思う。しかし、大雪山はこれが初めてであろうと、100回目だろうと、たくさん楽しめる山であることに間違いない。

Getting There

札幌(千歳空港)、または旭川空港へ飛行機で。札幌からは、JR札幌駅から午前6時50時の電車に乗ると、8時15分には旭川に到着。旭川駅前から4番のバス乗り場から9時10分の朝日岳温泉行きのバスに乗ると、朝日岳に11時15分頃には到着する。 

出発時刻の遅いバスもあるが、ほかのバス停まで一時間近く歩かなくてはならない。9時10分のバスに乗れば、同じ日に最初のキャンプ場につける余裕がある。遅いバスだとスケジュールがハードになり、ゴンドラに乗るか、キャンプ場か旅館に一泊しなければならない。旭川まで飛行機で行った場合、JR旭川駅行きのバスが空港前から毎時間運行ている。

Pig Tip: ロンリー・プラネットの『ハイキング・イン・ジャパン』には、駅から旭岳温泉まで無料バスがあると書かれているが、現在は運休している。

What to Bring?

ガス・カートリッジは、飛行機で移動する場合は注意が必要だ。朝日岳村の白樺YHAでEPI社製とイワタニ・プリムス社製ガス・カートリッジは売っている。なお、ホワイトガソリンは売っていない。 

レインウェア。“グランド・トラバース”時の必要需品。かつてレインウェアを用意していなかったために、3日間小屋で足止めを食い、東京に帰る飛行機に乗りそびれたアメリカ人に出会った。彼はレインウェアが必要だと考えてもみなかったらしい。 

ウォーターフィルター(浄水ポンプ)。大雪山では、水を浄水する必要がある。特に8月から9月にかけて、飲み水を探すのは大変。キャンプ場や山小屋の水は雪解け水を利用したものなので、状況は積雪量や夏の気温によって毎年毎違う。たいがい北側の旭岳周辺では水が豊富だが、南側の十勝岳側に移動すると水を探すのが困難になってくる。また、エキノコックスという多包条虫が、そうした水や、川の水に含まれていることがあるため絶対に生水は飲まないこと。 

“グランド・トラバース”で水を見たら、迷わず汲んでおこう。ポンプがあると水が確保でき、時間の短縮にもなる。

Pig Tip: 水を沸かして飲料水にすることもできる。だが、この方法だと余分のガス・カートリッジが必要になる。錠剤や液体洗浄剤もあるが、これは時間がかかる。浄水ポンプに限る。プラスチックの折りたたみ式ウォータータンクも用意しておくといいと思う。  

洗濯ばさみと物干しロープも、小屋で洋服を乾かしたい時に役に立つ。

キャンプ場と非難屋

“グランド・トラバース”上には、たくさんの非難小屋がある。また、すべての非難小屋に近接してキャンプ場がある。非難小屋のない場所もあるため、キャンプをせずに非難小屋だけに泊まりながら縦走することはできない。非難小屋はとても簡素なもので、必要なものは自分で持っていくこと。旭岳周辺には黒岳山荘、白雲岳山荘というふたつの有料小屋がある。黒岳山荘はサービスもよく寝袋を借りたり、ビールを買うことができる。公園内のほかの小屋は開放され、管理人もいない。

When to Go


大雪山国立公園の山開きは7月~9月までのあいだ。もちろん、その他の入山を規制されているわけではない。10月からの入山は的確な状況判断が必要だ。6月は残雪と気象状況により、クランポンが必要なこともある。そして、もう一つは視界。視界が悪いと、氷のトレイルで迷子になってしまう。しかし、この時期は水を探すのは簡単だ。 

9月~10月は正反対だ。水が一番の問題になってくる。初雪は9月に降るものの毎年ことなるし、気温が極端に下がる。僕は8月を過ぎると“グランド・トラバース”には行かず、他の場所に行く。

Seasonal Highlights

6月~7月 になると公園は美しい花が見られる。白雲岳非難小屋から、緑岳まで歩いて、咲き乱れる花を見よう。

8月 は、一番暖かい時期。3シーズン対応の寝袋で十分。しかし、夕立や真夏日になるのでご用心。

大雪山の9月 は、国内で一番早く紅葉が見られる。九月中旬頃が見ごろ。気温はマイナス1度~5度までさがるから、3シーズンから4シーズン対応の寝袋を用意しよう。

10月は、僕の一番好きなシーズンだ。国立公園は貸切状態となり、とても寒くなってくる。公園にはほかに誰もいないし、事故が起こっても自分だけで解決しなければならない。一晩に50cmの雪が降ることもある。雪が多い時は、太陽が溶かしてくれるまで待とう。

冬 の大雪山は素晴らしいが、経験者のみ限定だ。オシリが冷たくなるほど、スノーボードもできる。北海道で一番ノッポの旭岳の標高は2290m。しかし冬に昇ると2倍の4000mにも感じる。僕が行ったときの気温はマイナス30度になった。大雪山では素晴らしいアルペンハイキングやバックカントリースキーができるが、天候が変わりやすいので甘く見てはいけない。

Pig Tip:

風に答えあり 風から天候を予想できる。これで進むべきか、キャンプして休養日とすべきかわかる。

     - 北西の風の時は気温が下がる。冬なら雪が降る。
     - 南東の風は雨や曇りが予想される。
     - 南西の風は好天。

Places to Stay

Sapporo

Phoenician Plaza Hotel (new name) Stay in style.
From ¥24,000 to ¥46,000.
Tel: +81(0) 11-512-8500
Web: www.phoenician.jp

Chisun Inn Sapporo
Convenient downtown business hotel.
From ¥5,600 to ¥12,600.
Tel: (011) 231-8441
Web: www.solarehotels.com

Ino’s Backpackers
Great backpackers.
Dormitory rooms ¥3,400, Private rooms ¥4,000 to ¥4,800. Rates available for children and long stays.
Tel: (011) 832-1828
Web: www.inos-place.com

Asahikawa

Asahikawa Palace Hotel
Stay in comfort before heading into Daisetsu-zan.
From ¥16,200 to ¥27,800, suites ¥86,700.
Tel: (0166) 25-8811
Web: www.asahikawa-palace.com

Washington Hotel Asahikawa
This budget hotel is a one-minute walk from Asahikawa Station.
Singles from ¥6,090, doubles from ¥10,500 and twin rooms from ¥11,550.
Tel: (016) 623-7111
Web: www.wh-rsv.com/english/asahikawa/index.html

Asahi-dake Onsen Village

Daisetsu-zan Shirakabaso YHA
Great youth hostel right at the gateway to Daisetsu-zan. They’ll even look after your gear while you are hiking.
From ¥3,360 per person (+ ¥600 for non-members)
Tel: (0166) 97-2246
Web: http://park19.wakwak.com/~shirakaba/
No e-mail address

Lodge Nutapukaushibe
Great place run by a local husband-and-wife team.
Delicious local food and relaxing onsen (hot spring). The owner has been known to head out into the mountain to collect local mountain vegetables for dinner. Try the venison ramen at the restaurant; it’s out of this world.
From ¥7,000 with two meals and onsen (no vegetarian meals). Located next to the Daisetsu-zan Shirakabaso YHA.
Tel: (0166) 97-2150 (Japanese only)

Asahi-dake Camping Ground
Nice campground with plenty of space to pitch your tent. Right across the road from the YHA and Lodge Nutapukaushibe.
¥200 to ¥500 per person.
Tel: +81(0) 166-2544 (Japanese only)

Outdoor Operators

Japan Adventures
Japan adventures (Hokkaido) runs everything from three- to 10-day camping treks into Daisetsu-zan and can supply everything you need.
Ask for the Bushpig.
Web: www.japan-adventures.com

Backcountry Powder Tracks (winter only)
Daisetsu-zan has some of the best backcountry skiing in Japan and no one does backcountry trips better than Chuck at Backcountry Powder Tracks.
Tel: (0167) 22-5655
Web: www.b-powdertracks.com

Donkoro
Great local outdoor operator, but Japanese-speaking staff only.
Tel: (0167) 53-2171
Web: www1.ocn.ne.jp/~donkoro/index.html

Web Connection

www.idioimagers.org/Daisetsuzan-guide.htm
www.outdoorjapan.com
www.asahidakeropeway.com (Japanese only)
www.asahikawa-daisetsu.info/e/index.html www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/kokusaikouryu/index/index.html