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特徴

2008
Issue 23
Hiking With Humans
By Bose (the dog)

ぼくの名前は、ボーズ。父ちゃんがいつも,ぼくのことをそう呼んでいるから、たぶんそれが名前なんだ。叱られるときも、「ボーズ!」って言うけど。でも、ラナには「ボーズ!」って叱らないから、やっぱりぼくの名前はボーズさ。

ぼくの体には毛がいっぱい生えていて、白いところと、黒いところがある。でも、父ちゃんには全然毛がないんだ。頭のてっぺんに黒い毛が少しあるくらい。でも、すっごく色んな毛皮をもっている。赤とか、黄色とか、緑とか……。青もあったよ。今日は赤い毛皮だね。

今日はオウチから、四角い箱に乗って山に散歩にきた。いつもの短かい散歩とは違うんだ。何日も、何日も歩く。ぼくは字が読めないから、どこに行くのかはわからないけど……。

そうそう、ラナも一緒だ。ラナは、まだチビの子供。スンゴク生意気で、いつもぼくよりも威張るんだ。でも、山登りなら負けないよ。だってラナは、いつも大きな石ころが登れないし、階段だって怖いんだ。それに、自分の荷物だって持てやしない。

「早く君の父ちゃんにリュックを買ってもらいな」って、いつもラナにいうんだけど、きっと重いのが嫌いだからおねだりもしていないんだ。
リュックを背負っていると重いし、ご飯が沢山入っているから美味しそうで仕方がないよ。それに、石と石の間にはまっちゃって動けなくなることもあった。でも、ひとつだけ、いいこともあるんだ。途中にあったおじさん、おばさんたちに「エライね」って褒められる。立ち止まって、父ちゃんが何か吠えると、決まって優しい顔でそう言うんだ。

あと、ぼくとラナと父ちゃんの他にも、もう2人の友だちが一緒だ。2人とも父ちゃんと同じで頭にしか毛がない。ひとりはラナの父ちゃん。もう一人は……、父ちゃんたちが、確かシニャって呼んでたかな? 父ちゃんと友だち2人は、おっきな袋を背中に持ってる。ぼくのリュックよりもずっと大きいんだ。あのなかには、お皿や犬小屋、毛皮なんかがはいっている。それに父ちゃん達が食べる、まずそうな御飯もね。これから5人で山のなかを、ずっと散歩していくんだ。

もう、今日で3日目。石しかない、すごい高いところで犬小屋を3つ広げて寝た。これまで、いろんなところで泊まったけど、こんなゴツゴツのところは始めてだよ。途中で暗くなってきちゃったんだ。
 「さっきの広場に泊まろう」

って、父ちゃんが、真剣な顔でシニャたちに言って、ここまで少し戻ってきた。暗くなってきてドキドキしながら散歩してたから、ちょっと安心した。


父ちゃんとぼくは同じ犬小屋。ラナの父ちゃんと彼女は別の犬小屋。シニャは、ひとりで真っ赤な犬小屋に泊まっている。寂しくないのかな? でも夕食はみんなでラナの犬小屋にはいって食べたんだ。すっごく狭かったけど、楽しかったよ。でも、ぼくもラナも疲れてたから、気がついたらグーグー寝ていたけどね。

夜中、父ちゃんと2人でぼくの犬小屋で寝ていると、雨が降ってきた。
 「雷が鳴らなければいいけど、ちょっと怖いね」

そう、父ちゃんが小さな声で吠えてたよ。でも、朝になると、お日さまが光ってて、ぼくの足の下には雲がいっぱいあった。すっごくきれい。ラナも、尻尾をふって犬小屋から出てきた。とっても嬉しそうしてた。みんなで御飯を食べて、お水も飲んで。父ちゃんたちは、茶色い変な匂いのする水を飲んでたけどね。

そうして犬小屋をしまったら出発。今日も、散歩なんだ。でも、とっても大変だった。すっごい高いところを、父ちゃんとくっついて降りたり、紐にぶら下がったり。ラナなんて、怖くて降りられないんだ。そしたら、父ちゃんたちが抱っこしてたんだ。ここは昔、神様の人たちが歩いていた道なんだって。真っ白な毛皮を来た神様の人たちは、大変なことをするのが好きだったみたい。途中にあった大きな岩のてっぺんには剣がささっていて、神様って本当にいたんだなって思った。

随分暗くなってきて、今日の散歩も終わったみたい。でも、突然怒られた。
「犬は禁止だ!」
大きな犬小屋で、そこにいた人が怒って吠えてた。
「こっから上はダメだよ! 犬なんか歩けないから。犬なんかダメ」
父ちゃんは、ここで引き返す予定ですって吠えてたけど、本当はぼくたちもうずっと散歩してきちゃったよ。でも、なんであんなにムスッと怒っているんだろ?

ぼくたち、ちゃんと父ちゃんと紐で結ばれているし、ウンチも持ち帰っている。鳥や鹿も見たけど、おとなしくしていたよ。それに、いつも父ちゃんと同じ道を歩いてる。おしっこぐらいはするけど、でも父ちゃんたちだってしてる。色々、難しいんだ、って父ちゃんが言ってた。ぼくたちのことが嫌いな人もいるし、悪いことばっかりしている毛むくじゃらもいるからね。


でも、もう明日で長い散歩もおわるんだ。ぼくには、難しいことはよく分からないけれど、またラナたちと散歩にでかけたいんだ。