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特徴

2008
Issue 24
A Bone-Rattling Ride to Nirvana
By Pat O’Keeffe

ブータン、チベット、ミャンマーにはさまれたアルナチャル・パラデシュはアジア最後の秘境。インド山奥の聖域には、様々な原住民、珍しい野生動物、つい最近まで、川くだりが許可されていなかったカメン川の急流がある

カメン川は, インドとチベットの境界にあるタワン地区にある氷河湖を支流とし、アルナチャル・パラデシュの西部を流れ、のちに大河であるブラフマプトラへと流れる。

今回、僕らの冒険はデーブ・アラーディスとアルティメート・デセントがセットアップしてくれた。メンバーの構成はオーストラリア、ニュージーランド、ベルギー、アメリカ、イギリスから来た11人だ。数人のメンバーは、すでにファースト・ディセントを経験していたが、あとの人間は未経験だった。しかし、みなが鍛えた体をもち、冒険好きであり、決して安くない旅行に参加できるぐらいの経済力がある点は共通だった。

実のところ、僕たちはカメン川を下る始めてのラフティング・ツアー参加者だった。いままで、この奥地にたどり着く事と、ラフティングの許可を得ることがとても難しかったのだ。だが、最近になって許可さえもっていれば、この地に入れることになった。

しかし、許可証は手に入れたものの、僕らはギアを運び入れ、運び出す方法をみつけなければならなかった。カトマンズからバスで5日間。川下り自体はも困難であったが、ラフトやカヤックをスタート地点に運ぶこともアドベンチャーだった。

突如あらわれた当局の人間

仲間をグワハーティ空港に迎えにいくと、すぐに最初の問題が起こった。道路が閉鎖され、足止めされた。ひき逃げ事件があり、犯人を見つけるためらしい。2時間の足止め。ようやく犯人が見つかり、騒ぎは終結。最初の目的地であるテズポーに向かった。
テズポーからカメン谷のもっとも高い場所であるセッパ村には、大揺れのバスで5時間かかった。その日はディーワーリーという地元最大の祭りの真っ最中だ。ホテルを探し、部屋に入り、荷物をかたずけていると、当局の人間が突然あらわれ僕らの許可証をチェックするという。さらに、祭りが行われているあいだの村は危険なので、僕らのことを護衛してくれるという。さらに、ホテルから外へ出ないようにと忠告された。

そのため、その晩はホテルでゆっくりと時間を過ごし、屋根から祭りの様子を眺めた。ギャンブルに興じる人、お酒を飲む人、花火をする人。それぞれが、あちらこちらの道で思い思いに過ごしている。

飛ぶ花火

翌朝、僕らはバスに乗せていた荷物を4台のジープに詰め替えていると、当局の人間が、また戻ってきた。僕らの許可書ではその地域へは入れないといってきたのだ。そして、通り過ぎてきた途中の村まで送っていくと言われた。
あと一日、旅を続けさせてくれるように交渉をした。だが、一晩同じホテルに滞在をするのは許されたが、予約が一杯だった。そのため、ホテルの屋根にテントを張って過ごした。その夜も、祭りの騒ぎは続き、なかには花火をホテルの屋根に向かって投げる人もいた

翌朝ととに、いい知らせがやってきた。当局はデリー事務所に確認したらしく、すべて大丈夫とのこと。また車を調達しなおして、出発した。

8時間後、パンクしたタイヤは4つ。ようやく道路の終りまで到着した。これ以上は車がすすめない。暗闇のなか荷物を下ろし、カメン川の土手にキャンプ。

心落ち着くかせる急流

翌朝は早めの朝食をとして、荷物をドライバッグに入れ、ラフトを川に浮かべた。ニシとアディ族の人たちが幸運を祈ってくれたあとは、僕らと川があるのみだった。
原生林が、川面まで続く。初日はホワイトウォーターがあちこちにあり、川下りは最高の気分だった。川の合流点に接したところでは大きな瀬があり、川も2倍の大きさにあった。

周りはジャングル。静かな白いビーチにキャンプした。どこからともなく、ニシ族があらわれ、不思議に浮くラフトを物珍しそうに見学にきた。翌朝、目をさますと、さらに多くの見物客がいた。年をとっている男性は、カラフルな装飾を頭につけていた。彼らは海岸にキャンプする、異国人を見にきたのだった。何枚か一緒に写真をとって握手。セッパ近くの橋まで急いだ。

象のお客様

 
翌日のラフティングも素晴らしかった。急流がないところが所々あったものの、景色は最高だ。その後数日は、道もない険しいジャングルの中を進んだ。人間に合うことはなかった。

500mにわたって巨大な岩盤の渓谷が続き、両側の岩から、滝が川に流れ落ちるさまには圧倒された。キャンプができる場所などほとんどなかった。テントが張れそうな河原を何とか見つけると、そこにラフトをつけた。そんなことを数日していると、ある朝テントの外ですごい音がした。驚き、外に飛び出してみると、なんと象が水を飲みにきていたのだ。

僕らはあわてふためいた。大急ぎで、ラフトに乗り込んだが、象は僕らより落ち着いていて、テントの間をとおって森へと戻っていった。僕たちが被った被害は、ドライバッグが踏み潰されてただけだった。

さらなる楽しみ

最後の数日は、川で泳いだり、何回かラフトが転覆しそうにもなった。心落ち着くような景色があれば、原住民と交流する機会もあり、飽ることはなく、完璧に近い旅行だった。

目的地に到着し、荷物をすべてバスに乗せビールを飲むと、満足感に包まれた。あとは、空港まで無事に帰るだけだ。

旅を振り返ると、カメン川は高い技術を要したり、体力的、メンタル的にもきつい川ではなかった。だが、アクセスの悪さと許可をとるのは大変。だが、ホワイトウォーター、自然の景色、原住民との交流のバランスがとても良く取れた旅だった。もしかすると、他のグループにアルナチャル・パラデシュの素晴らしさを知ってもらうために戻ってくるかもしれない。でも、ディーワーリー祭りの花火だけはごめんだ。