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特徴

2009
Issue 29
‘Slacker’ Nation
By Irwin Wong

僕は病的と言っていいほど高所恐怖症。だから渓谷の上を1インチの太さのワイヤーに吊るされるなんて全く興味がない。英国アウトドアブランド、バーグハウ ス主催のギボン・スラックラインのイベントでは、怖いもの知らずな人が10フィートの高さでアクロバットな綱渡りなどをやるんじゃないかと思っていた。

でもありがたいことに、綱渡りなんかじゃなくて、二つの固定されたアンカーさえあればどこでも楽しめるアーバンスポーツスのスラックライニングだった。 木、街頭、柱があれば、どこでもスラックライニングは楽しめる。
ギボンのプロ・スラッカー、ニック・テン・ホーペンは浅草の神田川の近くの街灯を つかってラインをセットアップする。ラインを震えるほどきつく締めて、さっと飛び乗り、まるで猿のようにバランスをとりライン上をグライドしていった。ラ インの終わりに着くと、くるりと向きをかえて宙返りをし、ラインの中央に着地した。

中国人観光客があつまり、明るい毛色をした180センチのオランダ人に声援をしはじめた。ニックは観客に向かって笑みを投げ、「オリー」を空中でやってみ せ、まだ大きくゆれるラインに着地した。
スラックラインは上下の振動と張りをよくするために、まっすぐにしたシートベルト。ラインの片方にはルー プを通したラチェットがあり、これを締め上げてラインの張りを調節できるようになっている。構造上はとてもシンプルなものだ。
このスポーツは「都 市」と「自由」を見事に提供する。スケートボードに必要なものは4輪のついた板、スラックライナーが必要なものは張られたライン。高いところからジャンプ したり、ビルの壁をのぼる必要はない。警察につかまることのないフリースピリットなスポーツだ。

ギボンは多様なスラックラインを取り揃えている。「トラベラー」といわれるものは、携帯に便利な小型で短いスラックライン。もっと長く頑丈にできている 「ジブライン」は15メーターで5トンの重さに耐える。

どちらのサイズも丸めると小さなピザぐらいのサイズになり、持ち運びがしやすい。 ギボンのスラッカー、ジャン・キィディングは「スーツケースを縛って閉めるのにも使えるし、とても便利」と冗談をいう。

とにかく楽し い。たとえぐらついてラインから落っこちても、次はもっと長くラインに立とうという気持ちでチャレンジを続けよう。この姿勢こそがうまくなる秘訣。

コ ツはまるで猿のように、腕を使ってバランスをとること。「正しくやっていると、ギボン(手長猿)にみえるはず」とジャンが見本を見せながら言う。
後 ろでは、ニックが360度回転してからラインに着地し、ラインを激しく揺らしながらもバランスをとりつつ「サーフ」とやって見せる。頭蓋骨骨折したいなら ぜひともオススメしたいトリックだ。

スラックリングは比較的新しいスポーツなので、だれでもフリースタイルのトリックを生み出すことが可 能だ。ニックはその最前線にいて、いつも新しいテクニックを開発している。

しかしトリックはスラックラインのほんの一部の楽しみだ。ほと んどの人はバランス感覚を磨いたり筋肉をつけることのできる気軽な遊びとして楽しんでいる。