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特徴

2017
Issue 63 (Spring 2017)
青森スプリング
By Keith Stubbs

日本を訪れるパウダー・シーカーたちは毎冬ご とに増加している。もちろん彼らの目的は日 本の山の底なしのような新雪の谷を探すこと だ。日本のスキーリゾートも利用者の要求に 応えてオフピステのゲレンデやバックカントリーへのアクセ スなどを解放もしくはできるように改善している。

東北の北にある青森スプリング・スキー・リゾート (2014 年以前は現オーナーとは異なって、ナクア白神 と呼ばれていた)はパウダーやフリースタイル志向のス キーヤーを拒絶していたが、孫子の教えに従って方針を 変え、日本のスノー文化に変化をもたらすことになるかも しれない最高のスノーパーク・リゾートを建設した。

3 月11 日に起きた大震災は本州のスキーリゾートに 甚大な影響をおよぼした。とくに福島のリゾートはスリー スタイルスキーやスノーボーディングの市場との隔たりを 生んだ。

パークやパイプの設備で日本をリードしていたアルツ磐 梯(ばんだい)はアジアで最高のスノーボードコンテスト、 バートン・ニッポン・オープン(アジアン・オープン・スノー ボーディング・チャンピオンシップ2009)のホスト役を 務めていたが、このイベントはアルツ磐梯から別の会場へ と変更を余儀なくされた。しかしながらこのリゾートはい までもクオリティの高いパークとして存在しているのだ。 つまり日本のスリースタイルのマーケットのドアは大き く開かれたままだってことだ。そこに足を踏み入れようと している日本のリゾートはごく少数で、日本人のパークや パイプライダーのレベルを考慮してもすごいチャンスだって ことがわかる。

さて青森スプリングを訪れてみた。

新幹線の新青森駅や青森国際空港からでも約1 時 間の運転で到着できるこのリゾートは思ったよりも近 い。ベースとなるホテルにはパッケージ料金の宿泊サー ビスが用意されていて、バイキング形式の朝食やディ ナーサービス、すばらしい温泉までがそこに含まれて いる。

でもこれだけでは次の旅の目的地としてこの東北の 最北端を選ぶ理由にはならないだろう。そのために新 しいオーナーの韓国系アメリカ人が最初に手がけたこ とは新しいパークの建設で、ハーフパイプのカットマシ ンとパイプビルダーを雇い入れたことだった。その人物 はスノーパークの開発者、ジョン・メルビルだった。

ジョンはキウイ(ニュージーランド人)で、この業 界では有名な人物だ。2006 年に彼はグローバル・カッ ター・パイプ・マシンをデザインした(2010 年に特 許取得)。彼は、2104 年のソチ・オリンピックとも契 約し、その後フリースキー&スノーボードの最大級のイ ベントやプロジェクトとなると彼が手がけるようになっ た。その彼が青森にいるのだ。

キウイ・コネクション

2016-2017 年の春山シーズン。青森にはすごい名 前がゲストリストとして名を連ねた。ニュージーランド のプロスノーボーダーのウィル・ジャックウェイ、『ニュー ジーランド・スノーボーダーマガジン』、そして私やス ノーボード・コーチからそのほかのライダーたちは、青 森を日本の目的地に選んだ。

オリンピック・パイプライダーのケイティ・ツユキ(日 系カナダ人)は韓国で開催されるワールドカップのテス トイベントに向けて電車で何度も訪れていた。また彼は このリゾートのスノーキャンプのコーチとしてもパート ナーシップを組んでいた。

ブロンドの髪をした9歳の双子、フィン(フリース キー)とカム(スノーボード)のメルビルアイブス兄 弟はすでにスポンサーも付いているが、彼らは青森の 春シーズンを北半球でのトレーニング場として選んで いた。

エリジャ・テター(前US スノーボードチームのコー チで現在は平野歩と組んでいる)とメソッド4ライフ・ スノーボーディング・アカデミーは3 月末まで青森に 滞在予定。まだまだリストはつづく。

でもどうして日本の北のはずれのあまり知られていな いリゾートに彼らが集まるのか、不思議に思うかもし れない。それがキウイ・コネクションだ。ジョン・メル ビルは南半球での冬はニュージーランドのワナカにある カードロナ・アルパイン・リゾートをベースにしている。 そこには巨大なことで有名なパークとふたつのハーフパ イプがある。

そこはメルビルアイブス兄弟やジャックウェイのホーム でまたツユキやエリジャと関係のあるアスリートたちの トレーニング場でもあるのだ。つまりキウイとキウイの 仲間たちはこの青森スプリングをフリースタイラーが集 まる場所として世界に発信しているのだ。

パークの設備

駐車場のすぐ近くにある高速クアッドチェアリフトに 乗ればパークとパイプにはすぐにアクセスできる。パー クは完璧に整備された3 つの小さなジャンプ台と簡単 なボックスではじまるから、エアーかメタルのスライド で調子をみたらいい。このフローはテーブルトップへの スムースなセットアップとなるから、中級のパークスキー ヤーやライダーには最高の練習となる。

その下には3 つのジャンプ台があって、サイズは10 から15m くらいだ。ここはもっと上級クラスのライダー 向けだ。パークの下部にはサイズの異なるジャンプ台 がある。ヒップスやトランスファージャンプからレールや ボックスも設備されてある。

驚くべきことは13 ものジャンプかレール/ボックス が一回滑るだけで楽しめることだ。

このサイズのハーフパイプは日本には3 ヵ所しかな い。札幌ばんけいと高鷲スノーパークだ。この切り立っ た垂直の壁にはだれもが怖気つくかもしれないが、そ のシェープは進化し安全対策も施されていて、スピード さえ克服できればむしろほかの小さなパイプよりも滑り やすいだろう。(ジョンによる最新工学には感謝したい) この壁はスムースなシェープで、まるで空中のローラー コースターに乗ったような気分にさせられる。. パーク のいくつかのパートは夜も営業される。

青森スプリングの未来

現在の設備だけでもすばらしいけれど、これは青森 スプリングの計画のまだ半分にすぎないという。これか らは日本の全てのパークの状況を見ながら準備を進め るようだ。現在は来年の韓国でのオリンピックに向けて トレーニング場として候補となっていて、もし代表チー ムの予約が入ればパークは完全な体制をすぐにでも整 える用意がある。

かれらの計画は壮大で、パークとパイプのために彼 らは休むことなく働きつづける。リゾートのオーナーた ちはじゅうぶんな広さの余地がある未開発の土地につ いて、将来の夢をオープンに話しあっている。

コンドミニアム、バックパッカースタイルのカプセルホ テル、総合的なインドアスポーツの施設などすべてが計 画に入っているという。また彼らはビレッジスタイルの区 画を設けて、個人ビジネスが展開できるように場所をリー スする計画もある。ほかの日本のリゾートにはこのような スタイルはない。

この新しい所有者は以前のオーナーとはまったく違っ た発想をもっている。彼らは理解している。活気のあるス キービレッジの運営には自営としての仕事以外に外部か らの刺激も必要なのだ。スモールビジネスの成功の鍵は センスのいい創造性が鍵となる。

バーやカフェのオーナーたち、レストラン経営者、小 売店業者、ビューティ・ケアのスペシャリストたち、スキー ビレッジが求められるものは訪れる人々に楽しさと喜びを 提供することだ。