特徴

2017
Issue 62 (Winter 2017)
東へ
By Aaron Jamieson

そもそもこの旅のアイデアは10 年ほど前にすでにあった。 それは私が日本に訪れて間もない頃で、レナ・ストフェル とアリン・ボックに会って冬眠から目覚めたという感じだ。それ だけでなく自然の山々やパーフェクトな波への愛情がこの旅の実 現に拍車をかけることになった。北海道には人々を惹きつける無 垢な原野と、そこに暮らすたくましい文化がある。ここでしばら く仲間と共に過ごしてから、東へと向かう旅が始まった。

 キャンピングギアや食料そして撮影機材を パックしているときでさえ、私たちにはこの旅が どのくらいの距離になるのか、どんなことに遭遇 するのかさえも予想がついていなかった。私たち は有名なスキーの町ニセコから旅を始めた。ここ は世界中のパウダースキーヤーたちの定番とも なったスキー場だ。私たちの計画は居心地の良い ニセコロッジからアンヌプリの雪山のエリアを日 本海までキャンプとハイクで横断そして海岸線に 着いてからは、私たちの最終目的である北の海に 浮かぶ利尻島まで波を探して海岸線を調査すると いうものだった。

  さて山行だが、そのスケールがどのくらいに 及ぶか明確になるのには時間がかからなかった。 一日の半分が過ぎても、ホワイトアウトの吹雪が 吹きすさぶ山の高所で私たちは最初のキャンプ地 を求めてさまよったからだ。この日は予想したよ りも過酷かつ寒い夜となり、私たちは行程の計画 を再検討することに迫られた。

  とにかく私たちは満載の荷物を背中に歩み続 けた。海から吹き上げてくる凶暴な風に立ち向 かって雪山を進むと、頂上の雪は吹き飛び、我々 の魂の熱意をも奪おうとした。だが私たちの団結 と決意は3日間に及ぶキャンプとハイクを経てこ のトラバースを踏破した。

  海を見た瞬間の我々の気持ちは言葉では言い 尽くせられないほどだった。海岸線のすばらしい 景色に向かって下る途中に泊原子力発電所がクリ アーに見ることができた。荒野に佇むその建物の 光景は、人間の絶えることのない欲望か由来 するエネルギーの供給と産業への需要が危ういバ ランスで成り立っているように見えた。

  とにかく私たちは旅の第二段階へと進むこと ができた。私たちは2 台のバンにキャンピングギ アとサーフボードそしてスキー用具を積み込んで 出発した。私たちは北海道の最北端を目指した。 数日間を費やしたが西海岸の波は風波とぬかるん だ雪だけで期待外れのコンデションだった。

  その北へと向かう途中、美しい景色だけが退 屈の紛らわしとなった。地平線に続く森林は強風 によって花綱状にうねり、点在する広い空き地に はソーラーパネルも見られた。とにかく今は焦ら ずに前に進もうという直感だけが頼りだった。私 たちはサーフィンというよりほとんど車の運転に 没頭した。サーフセッションは寒く、期待外れだっ たが、それでも我々の情熱は冷めることはなく、 もっと良いコンデションに巡り合うという希望は 捨ててはいなかった。

  そして私たちは旅の核心といえる利尻島にた どり着いた。それはまるで別世界に足を踏み入れ るような心持ちとなった。日本最北端の町、稚内 で車をフェリーに乗り入れる。この海の先にはも うロシアだ。ここまでの数百キロの海岸線にはコ ンクリート製のテトラポッドがいたるところに点 在していた。そこでは小さな風波がブレイクする だけで、私たちが求める自然の波は存在してはい なかった。

  私たちは期待と失望が入り混じった状態で利尻の港に近づい ていった。オンショアの白波が港に打ち寄せる光景が見える。私たちは丸一日の運 転とわずかな睡眠だけで疲れていた。だから温泉 と早めの就寝という魅力に苛まれたけれど、私た ちはもう少し車を駆って先に進む決断をした。そ して幸運が訪れた。

  港からほんの数キロ走ったところにある岬に パーフェクトな波がオフショアの風の中でブレイ クしているのを発見したのだ。それはこれまでの 旅程で最も非現実的ともいえる光景だった。だが 太陽は水平線に近く、気温はすぐに下がるだろう と思われた。でも女たちはすぐに着替えて波に向 かってパドルを開始した。空はもう紫色に変わり、 夜の暗闇がこのマジックアイランド利尻にすぐに 訪れようとしていた。

  それからの数日、私たちは島のオフショアの 風になるところを探して周遊した。波が小さくな ると私たちは山の風下側に行って雪にパーフェ クトなラインを描いた。ここの火山は海から切り 立っている。利尻はサーフィンとスキーが両立し て楽しめる島だ。ここで過ごした日々の行動は山 の気分と風向き次第だった。

  私たちが過ごしたここで過ごした期間はまさ にマジックだった。さらにこの島に住むマウンテ ンガイドのトシによって、この旅はさらにすばら しいものとなった。彼のオープンマインドと島の リズムに合わせた生活。彼は季節の変化に従順に 過ごす彼のライフスタイルを語ってくれた。それ は自分たちの都合でしか考えない現代社会のあり 方とは真逆のスタイルだった。おそらく、このピュ アな彼の展望は未来の世代への希望として伝えら れていくだろう。サスティナブルなエネルギー利 用、そして自然と人間の進化がバランスをとって 共存していく。

  利尻を離れて長い家路につく、それは思慮に 耽る運転でもあった。サーフィンとスノーの天国 から戻って、この旅は我々の想い出となって心に 染み込んだ。午後の光が青の中に入り込もうとし ているとき、私たちはビーチサイドのキャンピン グスポットを幸運にも発見した。そこは岸に近い リーフにパーフェクトな波がオフショアの風の中 でブレイクするビーチだった。レナとアラインは 小さいけれどそのパーフェクトなレフトブレイク で夢中でサーフし最高潮の喜びに達した。

  そのビーチで燃やした焚き火を囲んで、私た ちは最後の夜を過ごした。波がリーフにブレイク する音は規則正しく聞こえてくる。私たちは旅の 楽しかった思い出を笑いそして語り合った。この 瞬間こそ何物にも変えがたい最高な時間なのだ。

  人々を新しい冒険へと誘う情熱を導くもの は、まだ見とことのない場所、未登頂の山そして バージンウェーブなどだろう。その情熱を人類は 科学開発や持続可能な未来へと向ければ、人類に 立ちはだかる新たな未踏峰をも越えることができ るだろう。

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