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特徴

2015
Issue 55 (Spring 2015)
Q&A 安間佐千
By 写真:エディ・ジャネローニ

写真:エディ・ジャネローニ

ワールドカップで2度の優勝経験がある安間佐千。彼はこの数年、試合ではなく、世界中の過酷なルートを試すことによって自分の限界を超えることに集中している。スペインへと導かれた彼は不可能だと思われていた大きな敵を打ち負かし、その限界を超えた。

 

Q:スペインでのクライミングはどうでしたか?

A:ぼくはスポーツクライミング、とくにむずかしいルートが好きなんですが、スペインは最高でした。とくにオリアナはすばらしかったです。

 

Q:オリアナは何がよかったのですか?

A:毎年行くんですが、カタルーニャのゆるい雰囲気のおかげでつねにリラックスできます。まだまだやりたいことがいっぱいあって、去年の2月にはFight or Flightを完登したので、今はつぎの目標へむかってます。

 

Q:スペインってどんなところでしたか?

A:人がパワフルでポジティブですね。ぼくは人見知りだし、静かなほうですが、彼らのエネルギーはそんなぼくの心もひらいてくれる。

 

Q:カタルーニャ以外で行きたいところは?

A:ヴィラヌエバ・デル・ロサリオに行きたいと思っています。

 

Q:日本でのクライミングはどうですか?

A:日本のクライミングシーンは最近どんどん大きくなっていて、若くて強いクライマーも増えているし、才能あるクライマーがいる大きなジムも増えています。日本は最高ですよ。クライミングに行くたびにいい刺激をうけます。スポーツルートに適した岩場は多くないですが、登りたくなったら海外へ行っているので気になりませんね。

 

Q:尊敬するクライマーは?

A平山ユージ。彼はクライミングのコミュニティに大きな変化を与えているし、それから友人のアダム・オンドラ。彼の成長をみていると、ぼくも頑張ろうと思います。

 

Qこれまでのクライミング人生で最高だった瞬間は?もっとも調子がよかったときやモチベーションが最高潮だったのはいつでしょうか?

Aぼくにとってクライミングはいつでも最高だし、それぞれが異なった経験なんです。日々の変化のおかげでいつも新鮮な気分でいることができます。クライミングするときは、いつも頭はクリアにして登っています。Fight or Flightを完登したあとのモチベーションは最高潮でしたね。

 

Qクライミング中、考えていることは?

Aほどよい緊張とやる気があるときは疲れないし集中できるので、いつも緊張とやる気の狭間(はざま)にいるようにしています。

 

Qハードなトレーニングと、リラックスしてトレーニングするときの違いはありますか?

Aハードな日はボルダリングルームでハードサーキットを4回やりますが、だいたい4時間くらいかかります。あとは、週に12日、友だちとボルダーをつくってボルダリングもします。週にだいたい45日は登っています。

 

Qほかに趣味やスポーツはされますか?

A料理は好きですね。食にはとても興味があって、食べたいものと必要としているものが違うことがわかってきました。できるだけ身体が必要とするものを食べるようにしていますが、なかなかむずかしいですね。

 

Q学校では何を勉強しましたか?どんな学生でしたか?

A大学ではスポーツ科学を専攻していましたが、クライミングにもっと時間を使いたいと思ったので中退しました。

 

Qクライマーとしていちばんのスキルはなんですか?

A:集中力だと思います。なにかにフォーカスするときのマインドのパワーですかね。

 

Q:ルートを決めるとき、何を基準にしていますか?

A20歳前後だったと思いますが、とにかくやりたいことをやっていました。Fight or Flightのルートもそのひとつですが、今は自分自身の目をもっと世界にむけさせてくれるようなルートを探しています。そしてクライミングのおかげでそれをすることができます。人生は長くないですし、できるだけたくさんのすばらしいルートを探したいです。

 

Q2012年と2013年にワールドカップで優勝した後、2014年に7位になったときは落ち込みましたか?

A2014年には8つあるワールドカップイベントのうち、参加したのは4つでした。フランスのシャモニとブリアンソンの大会で優勝したので、2014年の成績にも満足しています。2014年は試合よりも、アウトドア・クライミングに集中していました。試合よりクライミングのほうがおもしろくなってしまって、試合がおもしろくなくなったというわけではないんですが。アウトドア・クライミングは世界にスキルを見てもらうには最高の表現方法だと思っていますし、自分の力を試してみたかったんです。

 

Q:試合では、ほかの選手とも友だちですか?

A:彼らは友人でありライバルでもあります。若いころは勝つことしか考えていませんでしたが、勝敗にばかり気を取られていると、ほかのクライマーから学ぶことができないということがわかったんです。

 

Q:ほかのクライマーからのアドバイスで大切なものはありますか?

A:アダム・オンドラに言われたことですが、「心は最強の筋肉だ」と。自信がなくなったとき、この言葉にはいつも助けられています。

 

Q9a10回、もしくはより難しいルートを完登するのが2015年の目標と聞いていますが、なぜそんなにやるのですか?

A:アウトドア・クライミングにかんしては、まだ次のレベルへいくのにじゅうぶんな経験がないと感じていて、その目標を立てました。すでに7回やったので、年内にどれだけできるか試してみたいと思っています。

 

Fight or Flight

スペイン カタルーニャ

カタルーニャは世界でもお気に入りのクライミングスポットだ。世界最難級のルートが密集するこのポイントでは、いくつかのルートを試すだけでもまったく飽きさせない。ここ数年、オリアナはぼくのお気に入りのエリアとなっており、とくに難関不落(なんかんふらく)だったFight or Flight(9B)は2年間で25回も登った。

ここを攻略しようと決めたらすぐにチケットを買っていた。ぼくにとってクライミングは幸せへの道でもあり、とても大切なことなのだ。前回のオリアナへの旅はストレスの大きなものだったので、今回は楽しい旅にしたいと思っていた。

スペイン到着4日目、ぼくはFight or Flightのベースにいた。暖かくなりそうだったが、けっきょく風のある涼しい一日となった。その朝、ぼくはムーブをためして完登するつもりはまったくなかった。ブーツをはき、友人にビレイを頼んだ。そして、ぼくはたった一回の挑戦でFight or Flightを完登した。何に驚いたかといえば、こんなにすぐに完登した自分自身にびっくりしていた。

Fight or Flightを完登したことで自信とモチベーションが大きく上がったぼくは、その後の旅で、まさか登れるとは思っていなかったようなさらに難しいコースを登ったのだった。

安間佐千

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