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特徴

2012
Issue 44 (Summer 2012)
ポンペイ島:ミクロネシアの至宝
By ティム・ロック
海の中も外も多様な自然に恵まれたポンペイ島は、未だマスツーリズムの影響を受けていない、まさしくミクロネシアの至宝と呼ぶに相応しい島である。
 
 
竜の背中のような形をしたポンペイ島の山脈は雲まで高くそびえ、熱帯雨林を形成する。熱帯雨林の中には、穏やかなものから激しいものまで40以上の川と20以上の滝が混在しており、簡単なハイキングで辿り着ける所から、相当な労力と優秀なガイドが必要な所もある。
 
広大なラグーン内には、リーフやブルーホールが点在し、その間を縫うように幅広く深い水路が走る。またラグーンの外には、絵に描いたような二つの完璧な環礁が広がる。ここは素朴だが豊かで魅惑的であり、南太平洋のボラボラ島を北太平洋に移したような所だ。
 
ユナイテッド・アイランド航空の定期便は、南からアプローチしながら、通常、島を半周程旋回した後、西太平洋のダイヤモンド・ヘッドと言われる壮大なソケース・ロックに向かって下降する。我々は、いつも帰省客や旅行者を待つカラフルな人々で溢れているコロニア・タウンの飛行場に着陸した。
 
私は、レンタカーを借り、港が見下ろせる丘にあるポラキエット村に向かった。この村はもともとポンペイ州のカピンガマランギ環礁(グーグルしてみて)に住んでいたポリネシア系の人々を由来としており、マングローブやゾウゲヤシを使った彫り物や、ヤシやアダンを使った織物で有名だ。
 
独創的な木工職人により、サメ、ウミガメ、マンタなどが彫られ、この日私は幸運にもゾウゲヤシの実で作ったトビエイの彫り物を購入することができた。ポンペイ島には、グッチなどの高級店があるわけではないが、民芸品好きは、いとも簡単に大金を費やしてしまうことであろう。
 
 
マンタ・ロード
私は町外れのジャングルの中にあるザ・ビレッジというホテルに宿泊した。ザ・ビレッジは質素だが洗練されており、エコツーリストの安息地として過去に様々な賞を受賞してきている。高床で草ぶき屋根式のバンガローはジャングルの中に佇み、北側のラグーン内にある島々を見渡すことができる。
 
飲食は、オープンエア型の食堂とTattooed Irishman Pubで取ることができる。また有名な見晴らし台は社交場として多くの旅行者の喉を潤してきた。
 
それから私は頭上で静かに回転するシーリングファンの下、ジャングルからの囀りを聞き、ポンペイのリーフを想像しながら眠りについた。
 
翌朝、ザ・ビレッジのダイビング・ガイドとマンタ・ロードに向けて出発。ここはミクロネシアの数あるすばらしいマンタ・スポットの一つであり、特に定住しているマンタの中にブラックマンタ(全身が黒いマンタ)がいるのは見どころだ。
 
ダイバー達は、保護区にも指定されているマンタのクリニーング・ステーションでマンタを観察する。ダイバーはクリニーング・ステーションから距離を置く必要があるものの、マンタはかまわずすぐ近くを泳いでいく。この日は、黒色のメスと、お腹が白いオスのマンタ・カップルを見ることができた。また、まだら模様のアカエイが水路の流れに逆らい砂を巻き上げながら貝を捜しているのも見た。
 
昼食は近くの島で新鮮なマグロ、香辛料とお米をバナナの葉っぱで包んだ少し変わった弁当を食べた。バナナの葉はもちろんプレート代わりにもなる。
 
我々のセカンド・ダイブは、壮大なリーフの壁がそびえるアレウ・ウォールというポイントで、ここは潮流が運ぶ豊かなエサのおかげで巨大なイソバナ類やソフトコーラルが繁茂している。しかし最も楽しいのは、数世紀に渡る浸食により刻まれたリーフの壁の深い割れ目や裂け目を探検することで、カイメン、ムチサンゴ、サンゴモドキと伴に、揺らめくイソギンチャクや美しいノトドリス属のウミウシを見ることができる。
 
また密集した黒サンゴの枝には神経質そうなクダゴンベがとまり、小さな洞窟の周りをソフトコーラルが囲む。ここは水深もまちまちではあるがリラックスしながら潜れるポイントであり、浅い所も見どころが豊富なため、長時間なダイブになりがちだ。接写フォルダのメモリがすぐに一杯になること受け合いである。潮の変わり目にはマンタがエサを食べている姿を見ることもできるこの場所は、間違いなくダイビングやシュノーケリングに最高の場所だ。
 
それから数日間、我々はリーフパスや水路で潜り続け、海の生物に驚嘆する日々を過ごした。ここでのダイブは混雑とは無縁であり、大抵は我々以外のボートを見ることはなかった。
 
 
環礁
ポンペイ島の近くには、アンツとパキンという環礁があり、貿易風が弱まり海が穏やかになる4月と5月が最もダイビングに適した時期となる。ポンペイ島の巨大な堡礁内には、リーフ壁やリーフパスなど多くのダイビング・スポットがあるが、嬉しいことにその他にも素晴らしいダイビング・スポットが近くの環礁にあるということだ。
 
アンツ環礁は涙を流すほど美しいと人々は言う。そしてその美しさは私も認めざるを得ない。大きなリーフパスであるトゥアオアイオアイ・パスは、内側のラグーンに開き、そこには太平洋でも有数の手付かずのビーチが広がっている。シュノ-ケリングをするのに最適で、透明度の高いドロップオフ沿いにはサンゴやイソバナ類を見ることが出来る。
 
パキン環礁はポンペイ島の堡礁の南西端の先にあり、リーフパスがないためダイビングは外洋に面したリーフですることになる。リーフエッジに沿ってシュノ-ケリングをしたが、30 mを超える透明度があり、真下にはバラクーダの群れが回遊していた。
 
アンツのビーチは手付かずだがアクセスは難しくない。誰も住んでおらず海岸は砂浜だ。深いジャングルがあり、海鳥やフルーツコウモリが頭上を飛び回る。夕方にはグンカンドリが陸からの上昇気流に乗りながら島を旋回する。
 
アンツの有名なリーフパスは多くのダイバーを魅了してきた。ダイバー達がここに来る理由は、潮の変わり目に、バショウカジキ、ブルーマーリン、エイ類、キハダマグロなど、数えきれないほどの生物に出会えるからである。サメ類は、巨大なヨゴレザメを初め、ツマジロやオグロメジロザメが見られる。また耳を澄ませばイルカの鳴き声が聞こえることも。ここでのダイブは時間帯によっては潮の流れが速い時もあるので(潮位表は要チェック)、ある程度のドリフト・ダイビングの経験が必要である。
 
いずれの環礁も、辿り着くには外洋を横断する必要があるので、穏やかな夏の時期がおすすめだ。ポンペイ島から離れた手付かずの環礁や島々に潜るなんてそうそう出来ることではないし、独特の海の世界に浸れることをお約束する。
 
 
パリキール・パス
ポンペイ島に来た際はパリキール・パスでのダイブも外してほしくない。 上げ潮時には100匹以上のオグロメジロザメの群れを見ることができたり、巨大なハタも目撃されており、トビエイの大群もパスの入口を度々訪れる。
 
またこのパスは世間にあまり知られていないサーフスポットだったが、最近は波が上がると多くのハードコア・サーファーがやってくるようになった。パリキールと港のパスは両方ともワールドクラスなサーフスポットで、北半球の冬シーズンには多くのサーファーが訪れる。
 
島内の観光
島は濃い緑で覆われている。私は島の西海岸、コロニア、港とパリキール・パスを見下ろせるソケースリッジの頂上まで登ることにした。かつて、この頂上に辿り着くのは困難だったが、FSMテレコムが携帯用電波塔を設置したおかげで今は尾根に向かう旧道路を利用することが可能だ。
 
ソケース村の裏を通る旧道路のふもとに車を停め、そこから尾根の頂までは小休止と水の補給を繰り返しつつ、少し急な坂道を登るだけである。一緒に登ろうとする友人達の誘いを断り、私はアジサシが巣に近寄るなと警戒する鳴き声を聞きながら、一人静かに登ることにした。また、途中、道路のぬかるみに野生の鹿の足跡もみつけた。
 
 
頂上に辿り着くと、そよ風と伴に魅惑的な景色が待ち受ける。この場所からは、島内で最も印象的なランドマークであるソケース・ロックの背面と全てのリーフパスが見渡せる。数隻のボートが釣りかダイビングのため外洋に向かい、またサーファーがジェットスキーでサーフポイントに向かっていた。
 
降る途中、旧日本軍の砲台跡地があるのに気付き先に進むと、広大な跡地が綺麗に整備され花も植えられていた。古くなった掩蔽号や廃屋を探検することができ、また大きな砲床も近くにある。
 
町には戦争車両のコレクションもある。工具店の裏、芝生の広場には、第二次世界大戦時のトラックや重機が放置されており、またその隣には旧日本軍の戦車コレクションが恐らく世界のどこよりも多く並んでいる。大半の戦車は原型を保っており、キャタピラや砲塔も着いたままである。またここだけでなく、近くのジャングルにも残っているとのこと。あるポンペイ市民は一台の戦車を修理して、時々自分の工事敷地内で乗り回しているそうだ。
 
ポンペイ島の人々は2世紀以上に渡り、ドイツ人、スペイン人、日本人や米国人の統治下にあった。統治時の名残は、スペイン砦跡、野球場、教会やその他の残骸に見ることができる。しかし今日、コロニアは賑やかな町に変貌し、島の美しい自然は冒険心にあふれた旅行者達を待ち受けている。
 
必須情報
行き方:ユナイテッド・アイランド航空の定期便が、グアムとハワイから運航している。
 
出国税:US$15を支払う必要があり、航空券を受け取る際にチェックイン・カウンターで払う事ができる。クレジットカードは使えないので現金を持参すること。
 
お金、銀行:公式通貨はUSドル。ポンペイ島にはU.S. FDICの加盟銀行も営業している。大半のクレジットカードは旅行者向けの店であれば使用可能。クレジットカードのキャシングはコロニアのATMや銀行で可能。
 
時差:ミクロネシア連邦(FSM)は、2つの時間帯がある。ヤップとチュークはGMT +10時間。ポンペイとコスラエはGMT +11時間。
 
通信:中央政府が通信基地を運営している。FSMの通信網は近代的で信頼性が高い。インターネットは広く普及しており、チュークより通信速度が速い。大半のホテルはロビーに無料インターネット・サービスがあり、部屋からのアクセスもホテルによっては可能。
 
その他の情報源:
ミクロネシア連邦政府観光局: www.visit-micronesia.fm

ポンペイ州観光局: Tel: +691-320-4851/4823; E-Mail: pohnpeivb@yahoo.com