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特徴

2012
Issue 43 (Spring 2012)
Exploring Lush Kosrae
By Tim Rock

 太平洋に浮かぶ小さな島、コスラエ。その存在はまだあまり知られていない。原生森の中の美しい滝や遺跡探検、マングローブの迷路でのシュノーケリング、豊かな珊瑚礁とサメたちに出会えるダイビング…… それは、決して忘れられない旅になるだろう。

 
太平洋中北に位置するミクロネシア連邦の州のひとつ、コスラエ州。宝石のように美しいコスラエ島での暮らしは自然と共にあり、丸木舟で釣りに出かける男たちや、果物を織り物に入れて市場まで運ぶ女性たちの姿を良く目にする。冒険が大好きな子どもたちには竹のいかだに乗って入江の波で遊ぶのがもっぱらのお気に入りだ。
ミクロネシア連邦は、コスラエ州に加えてポンペイ州、チューク州(トラック諸島)、ヤップ州の計4州から構成されており、それぞれが独自の文化を持っている。コスラエではキリスト教の影響が色濃く、チュークでは首長制度が現在でも重要視されている。この15年でポンペイ州の経済は急激な欧米化を遂げ、連邦の首都機能をはたすようになった。とはいえ、島にはまだすばらしい伝統的な風習が残り、族長を主とした風習も根強く残っている。

 
歴史&ハイキング:
手付かずの自然を満喫したい人にとって、コスラエ島はぴったりの目的地だ。山の上まで続く熱帯雨林のジャングルをかき分け登っていくと、第二次世界大戦中の防空壕やコスラエの歴史を物語る遺跡が現れる。メンケ遺跡までの道のりは長く、じっくり堪能するには、ジャングルで一晩キャンプをしながら進むのが良いだろう。ここにはかつて「シンラク」というパンの実の女神を祭る神殿があり、1852年に宣教師たちがやって来る前にヤップ島へと逃げるまでこの土地で過ごしたとされている。メンケ遺跡は、同じコスラエにあるレラ遺跡や、ポンペイにあるナンマドール遺跡よりもっと以前から存在していたと考えられており、ミクロネシア連邦のみならずミクロネシア地域全体でも最も古い遺跡だと言われている。そしてこの遺跡の何よりの見所は、透き通ったメンケ川が流れる、美しいメンケ谷の風景と言えるだろう。
 
メンケ遺跡よりアクセスが簡単なレラ遺跡は、海辺の教会からそう遠くない場所に位置している。る、巨大な玄武岩が積み上げられた高さ約7メートルの壁が古代都市をぐるりと囲むこの遺跡は太平洋の謎のひとつと呼ばれる。19世紀後半まで存在した古代王国の遺跡であり、巨大な石壁や運河、墓、住居などは遥か昔、13世紀に建設されたものだと考えられている。
 
滝&森:
ウトウェのジャングルにある涼しげな、落差約10メートルのシピエンの滝は写真撮影はもちろん、滝のふもとにある小さなプールでの水浴びにもってこいのスポットだ。岩道に注意しながら、5分程で滝つぼまでたどり着ける。
森林好きにおすすめなのはイエラ・カ・フォレスト。最近出来たばかりのボードウォークをあるいていけば 、熱帯の島らしい様々な生態系を目にすることが出来る。ここは太平洋の中でも人があまり近づくことのできない残り少ない場所の一つでもある。
このエリアの中心には、ミクロネシアのアカ杉とも呼ばれる「カ」の木々がある。淡水の沼にそびえ立つこの木々の光景は驚くべきものだ。
 
珊瑚礁:
コスラエ島の一番の見所と言えば、なんと言っても外洋のバリアリーフだ。紺碧とグリーンが混ざったそのサンゴ礁は場所によって岸のすぐ近くまで伸びている。コスラエにはまだ開発の手が伸びておらず、海辺の家には深いジャングルに覆われた山の険しい尾根が目の前に迫る。
 
コスラエ島のダイビングスポットはそれぞれがとても個性的だ。シュノーケリングスポットとしてもあまり脚光を浴びることなく、ダイビングの歴史としては10年もない。コスラエ・ノーチラスリゾートのダグ・ベイツの様なパイオニアは、私たちがその海底の宝石をみつけるずっと前からここで最高の探検をしていたということだ。
 
ここのサンゴ礁はおそらく太平洋で最も元気なはずだ。ほとんどの台風の東側に位置するため、あまり台風の影響を受けないバラエティ豊かなサンゴ礁は、そのサイズと共に、生物学者にはたまらない場所となっている。そして、ここでは広大なマングローブが豊かな生態系を作り出すのに一役買っている。
 
 
コスラエでは、メインとなる道路でさえ島一周しないわけで、その開発の遅れのおかげでサンゴ礁が素晴らしい姿を残している。こういったサンゴ礁は、外洋の環礁でしか見られないようなものばかりだ。魚も多いコスラエ島は、島中に係留ブイとラインを張り巡らしており、その取り組みはミクロネシアでもトップクラスなのだそうだ。
 
ダイビングでは、ヒロシ・ポイントへのボートトリップは外せない。海に飛び込んだその瞬間、赤や黄色に美しく咲き乱れる珊瑚礁の周りを悠然と泳ぐ魚たちが出迎えてくれるはずだ。
浅い海では、イソギンチャクに戯れて珊瑚や藻をつつくブダイたちの姿に出会える。水面からたった5メートル程の深さでも、白砂にもぐるエイや巨大な珊瑚礁が見えるので、ダイビング初心者やシュノーケリングを楽しみたい人でも、見事な海の世界を十分楽しめる。
 
ワラン・ドロップオフでは、バラエティに富んだ巨大な珊瑚礁が素晴らしい。イバラカンザシの群れや、生き生きとした立派な珊瑚の陰に隠れたウツボの姿。ニシキヤッコやとびきりかわいらしいエンジェルフィッシュ、アケボノチョウチョウウオ、ハナグロチョウチョウウオ、ホホスジタルミ……挙げればきりがないほどの珍しい熱帯魚たちに迎えられて、夢の世界へ。もちろんお馴染みのエビやタコも登場してくれるはずだ。
 
透明度の素晴らしいこの海では、こんな豊富な海の生物たちに、水深10~20メートル以内で出会えてしまうのだ。もっと深く潜ればサメや雄大なギンガメアジの群れにだって遭遇できるはず。潮の流れはわりと弱めで、シュノーケリングスポットとしても十分楽しめる。
 
 
マングローブ樹林:
他ではちょっと味わえない一風変わったダイビングとシュノーケリングを楽しみたい人にお勧めなのが、ドワーフ・フォレスト。ここは海の珊瑚とマングローブが共存している野生生物の宝庫。 マングローブの森はどこか別世界を旅しているような気分にさせてくれる。ダイビングでもシュノーケリングでも、曲がりくねるマングローブの水路をたどれば、静かな流れの中をのんびり泳ぐ魚たちが見え、森に響き渡る鳥たちのさえずりが聞こえるだろう。
 
 
コスラエ島を取り囲むマングローブの森は美しさと静けさの象徴である。マングローブは海でもなく、陸でもなく、それでいて、島の環境に大きな恵みを与えている。豊かな命を育むマングローブの森は島の人々にとっても大きな恵みとなっている。材木源としてはもちろん、水路は大切な移動経路であり、静かな流れは魚の宝庫となる。
 
水に潜れば、上に浮かぶのは雄大なマングローブ木々。水中にはサンゴ、ホヤやギンカガミが、絡まりあった根の間を泳ぐ。水深はどこも深くないので、自然の光が照らし出す迷宮に迷い込まないよう注意して潜ろう。
 
コスラエ島には、ギアやトレーニングコースを揃えたダイビングショップも充実している。コスラエは宗教の影響が強い島なので、日曜日には店は全て閉まってしまう(法律で決められているそうだ)。日曜はダイビングも禁じられているが、シュノーケルはOKだ。割り切って原始の森へ探検に出かけるか、ゆっくり浜辺で読書をする日にするのが賢い選択だろう。
ここでは日々新しい出来事が起こっている。実はサーフィンの隠れた極上ポイントでもあるし、カヤックの人気も急上昇中。豊かな自然の中でまだ見ぬアドベンチャーを捜し求めるならば、ミクロネシアのこの小さな島に、答えが待っているかもしれない。
 
 
アクセス:ミクロネシア連邦へは、グアムかハワイ経由でユナイテッド航空が飛行機を出している。コスラエまでのフライトは週に2回。
 
時差: GMT+11時間
 
電圧: 電気は110ボルト。差し込みプラグは日本と同じ形態。
 
通貨、両替、クレジットカード: 米ドル。FDIC(連邦預金保険公社)に保証されている銀行がいくつかある。主要なクレジットカードは、ほとんどの旅行者向け施設で利用できる。
 
服装:一年中暑いため、軽装でOK。正装もとてもカジュアルなので、必要ナシ。日除けの帽子とサングラス、日焼け止めは忘れずに。
 
宿泊: コスラエ・ノーチラスリゾート: www.kosraenautilus.com