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特徴

2011
Issue 40 (Summer 2011)
ボランティアの声
By アリス・ブレナン

TOHOKU

ボランティアの声
アリス・ブレナン

東京のキラキラと明るいある土曜の夜、数百人のボランティアが小さな子供のサイズほどのバックパックを背負って新宿の街角に集まった。日中に雨具、防塵マスク、ヘルメット、安全靴、ゴーグルと大量のカロリーメイトを詰め込んだ。重いバッグを引きずりながら夜行バスに乗り込む。石巻に朝到着する前に少しでも眠れることを願いながら。



石巻は東北に位置する大きな市で、津波の災害が最も大きかった場所のひとつである。街を車で走って最初に目に入ったのが、崩壊し、汚れた家屋だ。泥や壊れた家財などが道に散乱し、ボコボコになった車がかろうじて建っている建物に異常な角度で突き刺さっていた。

多くの家々は今も住める状態ではない。構造的にも損害を受け、また有害なヘドロがこびりついている。街のあちこちに木材、ガラス、洋服や漫画本の巨大な瓦礫の山が見られる。暗い色の瓦礫の中に、たまに鮮やかな青色のハイヒールなど、一点の色を見つけると、その瓦礫がかつて人々の使っていたものの山なのだということにはっとする。

私たちボランティアの仕事は、主に人々ができるだけ早く家に戻り、また生活を立て直せるよう、家やお店をきれいにするのを手伝うことだった。泥まみれになる仕事でもあったが、ものすごくやりがいがあった。家やお店、学校が元通りに人が生活したり、働ける状態になるまで津波のヘドロをかき出して袋に詰め、道路わきによけていった。

ボランティアの人たちには驚くほど協力の精神があった。誰も声を荒げなかったし、不満を言わなかった。みんな臭かったし疲れていたが、仕事から達成感を得ていたので気にしなかった。誰もがその仕事の重要さを知っていて、一生懸命だった。

私にとって、この体験は本当に今までの経験で一番いいものだった。もしこの先で人間不信になることがあれば、石巻で出会った、少しでも状況を改善するために自分のできることをしようと決意したすべての老若男女、日本人、外国人のことを思い出すだろう。



きれいになったばかりの建物の前に立つと、私たちは変化をもたらしているのだという明白な感覚を経験する。しかしながら、私たちのそこでの存在の価値はそこまで明白には感じられない。津波で生き残った人々の心理的傷跡を癒すのは、地域社会が直面するまた別の挑戦なのだ。

この地域の人たち全てが、家や友達、親、配偶者や子供を失い、被災していた。そして彼らはこの災害を受け入れることにもがいていた。自らの経験を話すことが重要でも、痛ましすぎてお互い話すことができないのだ。ボランティアたちはただ被災者の話を聞けばいいと教わった。私たちはカウンセラーでないが、話を聞くことで人々が心を打ち明けられ、癒しへとつながる安全な場所を提供した。

私たちのグループは街の中心にある化粧品屋の駐車場と下水道を掃除した。その後、私たちは頭からつま先までぬるぬるした泥にまみれていたにもかかわらず、店主から骨が折れるくらいの長いハグをもらった。地元の人はボランティアたちに感謝を伝え、ボランティアの仕事ぶりに、希望が失われていないことに気づかされたとか、人生が続いていく限り、お店を再開して果物を売ろう、学校に戻ろう、と話す。



私たちは街に繰り出し、それぞれの仕事に取り掛かる前の朝のミーティングでこのような話をシェアした。やる気が萎えたり、大惨事を目の前に努力がむなしいと感じてしまう時には、このような話がやる気を与え、東北でのボランティアの仕事がいかに重要であるかということを改めて思い出させてくれた。

東北ではまだまだボランティアを必要としている。しかし災害の記事は見出しには載らなくなり、石巻に来る人の数はゴールデンウィークを明けて急激に減った。被災者に代わり、ピースボートが夏の間の2〜3日でもこの重要な仕事を引き継いでくれる方を求めている。私たちが被災者を気にかけているということ、復興が終わるまで彼らの力になるという意思を、これからも見せ続けなければならない。

Summer Volunteering with Peace Boat
ピースボート夏のボランティア

参加資格:18歳以上で体力に自信がある方であれば誰でもできます。体力に自信がない人でもピースボートでは体力を必要とする泥の掻き出しから、アルバム写真や個人の所有物をきれいにするなどの軽い仕事まで、幅広い活動があります。言語能力は問いません。日本語があまり、また全く話せない人にはバイリンガルのリーダーが割り当てられます。

時期/期間:ピースボートはボランティア活動を毎週行っています。多くは金曜から次の土曜で8泊9日間(作業1週間)の期間でボランティアを募集しますが、短期間のボランティアも可能です。すべてのボランティアは出発前に必ずオリエンテーションに出席しなければいけません。



場所:オリエンテーションの開催場所は東京です。現地へのバスは東京から出発し、東京に帰着します。

持ち物:参加するボランティアはピースボートから最新の持ち物リストをもらうようにしてください。現地で必要なものは常に変わります。現在、ボランティアは頑丈な作業靴、防塵マスク、作業用雨具、ヘッドライト、そして自分がボランティアをする期間中に必要な食料を持って行く必要があります。

費用:ボランティアに必要な費用はバス代のみで、往復で5000円です。

応募方法:ピースボートのウェブサイトで都合のいいオリエンテーションの日程およびボランティアの期間を確認し、予約してください。

TEL:03-3363-7967(10:00~19:00 日祝休み)Web: http://www.pb-kyuen.net   E-mail: kyuen@peaceboat.gr.jp