>  屋外日本雑誌  >  Issue 32 : 1月/2月 2010  > 特徴 >  登って滑れ

特徴

2010
Issue 32
登って滑れ
By Dave Enright

POWDER ADDICTS: THE GRANOLA CRUNCHER

僕はデーブ・エンライト。自称「エコおたく」だ。

孤独、清浄、精神世界といえば座禅に関する言葉だけど、僕はバックカントリースキーにもこれが共通すると思う。またどんなことも、苦しみを乗り越え努力すれば、高揚感、恍惚、完璧をもたらすニルバナにたどり着けると思う。

高い意識に到達するのは容易なことではない。時間やエネルギーを費やして献身的な努力をしなければならない。しかしながら現実はそんなめんどくさいことをしないで、誰もがすぐに楽しみたいと思っている。ある人は人間によって作られた機械で、一時的なパウダーへブンを選ぶだろう。でもこれは一時しのぎであってマスターすることはできない。苦労をすることによってのみ、悟ることができるんだ。バックカントリーで、本物のニルバナ体験をしたいなら、答えは簡単、歩いて登って滑るしかない。

‘フリー’ スキー
初期のスカンジナビア人が、スキーというものを足につけて以来、人類はこの装置であらゆる山岳地方を探求し、フリーダムを見つけた。今日に至っても、人々はスノースポーツを通して忙しい日常、仕事のストレスから解放され、身体の自由感を追求し続けている。

バックカントリースキーヤーにとっては、登りの部分が下りと同じぐらい重要なのだ。なぜなら、山を登りながら、状況を観察して冬のバックカントリーツアーを安全なものにするためだ。このような知識をもっているからこそ、はじめての山でもちゃんと滑走することができる。登っているあいだは時間がゆっくり過ぎてゆき、仲間と絆を深めたり、自然と一体となれる。また冬山の美しさのなかで、自分と向き合う瞑想の時間でもある。そして頂上に着いたときの満足感は言葉で表現できないほどだ。

栂池バックカウントリー
栂池でスキーをやるようになったのは1930年ごろだ。スキーの魅力に取り付かれた多くの人々が白馬に隣接する小谷村の北小谷温泉と、栂池高原自然公園のあたりをハイキングしはじめた。現在でも、リフトで行けるエリア以外を求めるスキーヤーやスノーボーダーで大変人気がある。スキーリゾートの上のサブアルペンとアルペンには、リフト降り場から簡単にいける場所に、オフピステのエリアが広がっている。

しかしながら、管理されていないスキー禁止区域なので、楽しい思い出を作るには正しいトレーニングや装備が必要だ。もし土地勘がなく、禁止地区に行くのは不安という場合はぜひガイドを雇ってでかけよう。白馬と小谷には、栂池エリアを知り尽くすガイドがたくさんいるし、定期ツアーもやっている。

なぜツアーをおこなうのか
第一の理由は人ごみを避けるためだ、もちろんスロープも素晴らしい。仲のいい友達と、安全なエリアで30センチのパウダースノーのある日を過ごす以外にいいことはない。これまでマウンテンで本当に素晴らしい経験をしたことがある。

もし滑走だけに興味があるなら、ヘリスキー、 CATスキーやリフトを利用してスキーすることはできる。そしてそれらの方法なら、何本も効率よく滑れるだろう。それにスキニングやスノーシューで山を登るのはちょっとという人なら、バックカントリーツアーには向いていないかもしれない。

僕もヘリスキーをやって、かつてないほどに素晴らしい思いをしたことがある。でもまわりの景色や静けさとの一体感、そして自分の足で行くという自己満足が味わえないのでなにか物足りなくも感じた。瞑想的体験のできるスキースタイルだから、「エコおたく」の僕は、いいターン、素晴らしい景色を求めてバックカウントリーへ行き続けることだろう。

パウダーでピース。