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特徴

2009
Issue 28
Exploring Wakasa Bay
By William Ross

常神半島の先にある小さな村、常神に到着すると、まさにそこは行き止まりになっていた。ここを訪れるにはまず曲がりくねり、岩石が続く海岸を運転しなければならないが、所どころ高台になっていて、入り江、突き出た半島、遠くに浮かぶ島々のすばらしい景色を目にすることができる。常神へ抜けるトンネルへ入るまで海辺で漁業と観光を営む小さな町をたくさん通りすぎると道は湾にそって曲がっていった。右にはお寺、ホテル、民家が山のふもとに広がっている。地の果てについたような気がするが、それはある意味で正しい。これより北西に日本国土はなく、先に進みたいならボートで行くしかない。そしてそれこそが、僕らがやろうとしていることなのだ。

日本海の海岸は長い砂浜が続き、日光浴、散歩、釣りには最適な場所となっている。若狭湾は本州の背にあり、曲がった岩の多い海岸、入り江、島などがある日本海に深く入り組んでできた湾だ。湾に流れる川がないため、水は驚くほど澄んでいてシーカヤッキングには最高の場所とされている。

僕たちの行き先はとても気さくな新谷一家が経営している新や旅館。ここでも漁業と観光が主な産業で、新谷さんたちはその両方にかかわっている。

奥さんがご両親とともにホテルを切り盛りし、新谷さんと息子は毎朝網をしかけ、観光客を海岸へ案内し、新鮮な魚料理の準備をする。

僕らのガイドであるおせしろうさんが、かっこいいカヤックを乗せたバンで到着した。ラグビープレーヤーのようにがっちりした身体で、もしゃもしゃの頭には麦藁帽子、色黒で、遠くを見つめるまなざしを見ると、カヤックをするために生まれてきたような人だと思えた。

しろうと一緒に、常に笑みをたたえた背の高いくがひろみち君もあらわれた。夏の間はしろうのカヤックビジネスを手伝い、冬はテレマークスキーのガイドをするひろみちは、禅寺の僧侶でもあり、福井のある島の寺の跡取りだという。

「バック・トゥー・ザ・フューチャー」
現代のシーカヤックはグリーンランドからアラスカまで渡っていった北極地方古代のボートと同調する。いまではほとんどがプラスチック、ファイバーグラス、ケブラー繊維、カーボングラファイト製だが、この日僕らが使用したカヤックは、現代の材料で作られているが古代に忠実なモデルだった。

軽量アルミチューブで作られたフレームに頑丈な人工革をはり、ボートの長さに膨らんだチューブを両サイドにつける。このような組み立て型のボートは波に対して柔軟性があるだけでなく、車のトランクにすっぽりとはいるためとても便利なのである。

漕ぐ僧侶
日暮れが近かったため、僕らは旅館にチェックインをし、この町の寺の僧侶、つげんさんに会いに出かけた。この気さくな僧侶は、カヤックを寺の寝室に置いているという。そうして波が静かな日は子供たちを連れ、近所の海水浴海岸からカヤックを出してパドルしていく

海岸から1キロほどのところ、常神の先にそびえる身上島付近でみられる波を彼はとても恐れている。「僕は波がある時は決してあの辺りには行かない」と彼は言い、僕らはある程度の波なら面白いと思っていたから驚きの言葉でもあった

新やに戻ると、食卓には新鮮な魚が所狭しと並んでいた。まだビクビクと動いているイカもあった。冷たいビールとおいしい食事を楽しみながら、翌日からのパドリングは予定など細かいことは一切決めず、いろいろなオプションを持ちつつ、まずは朝の波の状況を見てからと決めた。

波を乗る
波は翌日もまだあった。だが僕らは半島と島の間を目指すルートを選び、外海に出てから早瀬港を目指して東へ向かうことにした。とりあえずそれが僕らの予定だった。つげんは僕らが出発するのを見送ってくれた。しかしフォトグラファーの堀川さんもあわてるほど、すぐに波は大きくなった。

しろうは僕らに南に向かうように指示をした。波を乗り越え、無人島の宇部島のそばを通り、湾を横切った。そして日のあたる海岸でランチを食べ昼寝をしようと決めた(やっぱり彼らはリラックスした人だった)。

帰りはカヤックがやっと通るぐらいの、小さな松の木の生えた島と岩の間をゆったりと進んだ。波のタイミングを見なくてはいけないものの、カヤックではこのような入り組んだところでも進んで行ける。

日も暮れてきたので、途中の町でカヤックをおりた。しろうとひろみちはバスに乗り、僕らとカヤックを運ぶため車を取りに行った。30分後に帰ってきた彼らはちょっと元気がなかった。「つげんさんが、波が高かったので僕らのことを心配していたんだ」としろうはいう。「僕らが戻ってくるのが見えなかったので、早瀬の漁師に電話して僕らを捜索するように頼んだんだ。それで何艘かの船を出して午後からずっと探していたらしい」

それを聞いて僕らは寺を目指して急いだ。何本も電話をして、心配をかけた僧侶のもとへ向かった(お詫びに手土産の酒も用意した)。そうしてどうにか騒動をおさめることができた。

小浜と原発
その後の数日はいろいろなところをパドルしたが、たいした出来事はおこらなかった。最初に何かと話題に出る小浜を横切り、高浜へ向かった。そこから高浜原発を隠す、近くの美しい林と岩肌の海岸の辺りをパドルした。

原子炉から温かい水が流れてくるので魚が集まる。だからこの魚を狙う漁師や海鳥も多く見かける。自然が多く魅力的なところだが、原子炉がたくさん集まり、緊急避難場所の看板があちこちにあり、なんだか気味が悪い。

最後の日はみかたごとの5つの湖へパドルに出かけた。淡水のみかた湖、すいげつ湖、浦見川用水路(両側に切り立つ60メートルの断崖は圧巻)、そして半塩水のくごし湖だ

次々と現れる景色を水と一体となって楽しめるローシーカヤックは最高だ。一つだけ難を言えば、浦見川では定期運行中の観光ジェットボートが静けさをやぶり、用水路の信号が変わるまで待たされることだ。

みかみ島周辺では洞門や洞窟、もっとアドベンチャーなパドルがしたいなら湾の沖の島へとアクセスでき、猿の群れがいる浜ではシュノーケリングも楽しめる。若狭湾にはたくさんの見所があるのだ。

そしてそれらのほとんどの場所にカヤックで行ける。いや若狭湾を見るのに一番いい乗り物は一日ほどで誰でも乗りこなせるシーカヤックだ。のんびりと、自分を楽しむことを知っているいいガイドと巡れば、安全にこの美しい地方を楽しめるということだ。

WAKASA ESSENTIALS

Getting to Wakasa
Tsunekami is a good choice for paddling the east coast of Wakasa Bay, perhaps the most varied part of the region, with a wide range of ocean shoreline and the Mikatagoko lakes. It’s also a bit of a journey to get to, with private cars (or a guide) the easiest way to access the peninsula.

Access (Car): Hokuriku Expressway to Tsuruga IC; Route 27/Kaneyama Bypass south. For Tsunekami, turn right on Route 162 and continue to the end of the road. For other areas, continue west on Route 27. (Train): By Shinkansen to Maibara; Hokiriku Honsen to Tsuruga; Obama Line to Mikata Station and bus or car to Tsunekami. For other area destinations, use either Mikata Station or Kaminaka Station of the Obama Line.

Atarashiya
Typical friendly minshuku style accommodation; big seafood meals. Larger groups may want to request the Annex, which is high on the hill above the beach area with excellent ocean views and morning access for paddling.
Address: Tsunekami, Mikata-cho, Mikata-gun, Fukui-ken 919-1451
Tel: (0770) 47-1120;
E-mail atarashiya@am.wakwak.com
Web: http://park6.wakwak.com/~atarashiya/

Pamco
Another good alternative in the area, particularly for those who would prefer to start on the Mikata lakes (and avoid the long, winding road to the end of the peninsula). A modern, airy hotel; good seafood and locally-brewed beer on tap.
Address: 64-9-1 Umiyama, Wakasa-cho, Kaminaka-gun, Fukui-ken 919-1461
Tel: 070-47-1727;
E-mail: info@pamco-net.com
Web: www.pamco-net.com/index.html

Granstream
Based in a refurbished 100-year-old farmhouse on the west coast of Lake Biwa, Shiro Ose sells Feathercraft folding kayaks and a full range of accessories. He also provides kayak instruction on the lake as well as in the Wakasa Bay area, and runs a range of tours, both scheduled and by request (he is planning to offer English-language tours this summer as well).
Address: 605 Kaizu, Makino-cho, Takashima-shi, Shiga-ken 520-1811
Tel: (074) 20-2620 / 090-9371-3625
E-mail: ose@granstream.com
Web: http://granstream.jp/