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特徴

2006
Issue 6
Land of the Longhouses
By Charlotte Anderson & Gorazd Vilhar

以前森であったところを水没させてしまったため、集まった木々が小島をなすのを横目に、細長いボートが人口湖バタン・アイを進んでいく。ここはボルネオのかつて「首狩り族」の集落。サラワクで最後の首が落とされてから約半世紀経つとはいえ、想像が旅をスリリングなものにする。
デロック・アイ川を進み、全村人が一つ屋根の下に住むという伝統的なナンガ・サンパ・ロングハウスに向かう。途中、胡椒農園やドライ・ライスを栽培されているのをみかける。

川を進むにつれて幅がせばまり、両岸の木々がわたしたちに涼しい日陰をつくってくれる。しかし船頭は、細くて流れの速い川のなかで、岩や漂流物を巧みによけて進まなければならない。

川上に1時間半ほど行ったところ、およそ30もの家族が暮らすロングハウスが現れた。長い廊下が特徴的な建物で、片側に家族ごとに仕切られた部屋の扉がいくつも並ぶ。反対側の廊下には、作物を広げて乾かしたり、衣類や布をほしたり、住民が様々な作業をするベランダがある。

無邪気で好奇心旺盛な子供に出迎えられたあと、他の村の男性と同様に身体中に入れ墨をした酋長のもとに案内される。様々なモチーフの入れ墨が身体に施されているのは、旅で訪れた村で友好の印に入れてもらうからで、自分の村で自分に入れ墨を施すことはしない。入れ墨が多ければ多いほど、多く旅をしてきたということだ。

イバン族の男性にとって、最も屈辱的なことは自分の住む村に接した川の河口について、何も知らないと言われる事だとガイドは教えてくれた。彼らの身体を見る限り、どうやらこの村にはそんな怠け者や弱虫はいないようだ。女性達も入れ墨をしているのは、知識豊富な年配の賢者や、織物やヒーリングなどの特技をもっているからであるという。

“ツアク”と呼ばれる米の酒で村人たちの歓迎を受ける。いくつもの言語を操るガイドに通訳してもらい、ロングハウスでの生活の様子を聞く。女性たちは手工芸品を見せてくれ、買うこともできる。ゲストブックのページをめくり、ほとんどすべての国の人々が、この人里はなれた奥地まで足を運んで来ていることを知り感慨を深くする。

昼食後は近辺の森林にネィチャー・ウォークにでかけ、ガイドに講習してもらう。まったく持って、人類が必要とする物のほとんどは自然が恵んでくれていることに気がつかされる。つくづく文明人は浅はかだと思わされるところだ。

帰りのボートは、行きのときより早く進むように感じる。短い時間であったが、イバン族の世界に触れることができたことは大いに価値があった。サラワクの大地で、次にどんな冒険がわたしたちを待ち構えているかを考えると、想像が膨らむ。しかし今日のところは、サラワク・スリングを片手にバタン・アイ・リゾートのプールサイドでゆっくりとしようか。

WHERE TO STAY

イバン族を訪れる人、ただ癒されるリゾートでリラックスしたい人には、「ヒルトン・バタン・アイ・ロングハウス・リゾート」がおすすめだ。リゾートへは、クチンから車で約5時間。そこからバタン・アイ湖からボートに乗ってリゾートへ。

100 のゲストルームは11の本格的イバン式ロングハウス建築。渡り廊下でつながれ、プールを囲むように建つ。熱帯ジャングルを観光したあとに、うれしいアメニィテーが用意されている。リゾートのナチュラリストがガイドするネィチャー・ウォークもあり、サラワクの植物や動物についていろいろ教えてくれる。

Web:www.hiltonworldresorts.com


UPCOUNTRY TOURS

1987年に設立され、サラワクの信頼できるエコ・ツアー会社「ボルネオ・アドベンチャー」。ロングハウス体験、バリオ高原、ムル国立公園、バコ国立公園、世界最大の花・ラフレシア、また熱帯雨林の奥深くに棲むオランウータンを見るなど様々なツアーを手がけている。

注文に応じて旅行を手配してもらうことも可能だ。ロングハウスを訪れた後は、「ヒルトン・リゾート」で一泊、もしくは彼らの所有するジャングル・ロッジに泊まることもできる。

Web : www.borneoadventure.com