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特徴

2006
Issue 7
In the Souks
By Charlotte Anderson & Gorazd Vilhar

活気あふれるモロッコを体験したいなら、迷わず”スーク”へ出かけよう。様々な品物や工芸品を扱う店、市場全体のコミュニティーの事も現地ではスークと呼ばれる。モロッコのどこの大都市でもこのような常設のスークがみられ、地方の場合はたいがい週に一回だけ開かれ、市の開かれる曜日が、市の名前になっている。

規模の多きさや場所にかかわらず、スークは活気に溢れる。なかでも、マラケシュのスークほど旅行者にとってエキサイティングな場所はない。ラビリンスのように細い道がくねくねと網の目のようにめぐらされ、小さな広場には、無数ともいえる店に、これまた目がくらみそうになるほどの商品が立ち並ぶ。

陶器のスークの店先には日常用や装飾用の食器、ボール、カップと共に必需品であるタジンが並ぶ。三角錐型のフタ付きの器、タジンで作られたおいしい料理もタジンとよばれる。 20世紀まで奴隷売買がされていたという、いわくつきの場所に隣接する、カーペットスークには全国各地で作られた複雑な模様のカーペットが幾十にも重ねられている。染物スークの路上には色とりどりの染物が干されていると思えば、履物スークには、人気のバフーシュが山積みになっている。このようにスークには、シープスキン、毛糸、まばゆい宝石、香しい香水、香辛料などのありとあらゆるものがある。

目と指先だけがだされた、長いローブ姿の女性たちも、彼女等の必需品を買いに訪れる。市場がまるでオレンジの木に囲まれたように、甘い、オレンジの香りが立ち込める。オレンジとバラのオイルとウォーターはこの地方の名産物だ。へナはヘアー・コンディショナーまたボディーアートに使われる。独身女性は手に、既婚の女性は両手、両足にヘナで模様をいれる。手の形をしたステンシルのステッカーのヘナパターンも売られている。目を引き立たせるためのコール、ケシの花からとったパウダーとオリーブオイルでつくられた口紅、テラコッタで作られた軽石、ウォールナッツの枝からできた歯ブラシなどもある。

店先には香辛料が山高くつみあげられ、大きな手編みのバスケット一杯にナツメ、ひよこ豆、ミントの小枝などが一杯に入れられ売られている。何軒も、何軒もおいしそうなオリーブやモロッコ名物のレモンの塩付けのような食材を売る店がある、さらに通路に沿って入ると、恋人たちに人気がある様々な種類のお香、干した動物の身体一部など神秘的な媚薬がある。

一見ガイドと思われる人が、スークの入り口によくたむろしている。旅行者にしつこく付きまとい、挙句のはてにガイド料をとるだけでなく、買い物の仲介料までをとろうとする者がいるから要注意。

賑やかな市場の音を背景に、売り手と買い手のやり取りがはじまる。最初、店主が高値をふっかけると、それならいらないと旅行者はじらす。次に「いくらなら買うのか?」と店主が訪ね、買い手は品物を念入りに調べ、買いたいひとつを選ぶ。そして、ここからが本番で、さらに掛け合い、本当の値段交渉が始まるのだ。このやり取りこそ、モロッコ旅行の楽しみのひとつつであり、また芸術でさえある。