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特徴

2006
Issue 8
The 14 Best for the Summer Fests
By Shoutaro Takahashi

聞け! 夏フェスに行くなら、この14枚

日本初の本格ロックフェスから10年。その始まりも、一区切りも、レッチリから。

酒場で知り合った、とある音楽好きのおっちゃん。その人はグラス片手に、どうしても言い張るのだ。「日本のロックフェスの始まりは、1969年の中津川フォークジャンボリーである」と。そして続ける。「そこにオレもいたんだ」。

その歴史には、大いに価値がある。けれど、それって「フォーク」中心で、「ロック」はサブだったのでは? 誰もが自分が体験したフェスを自慢したくなるのは分かるのだけど。

そういう僕も、同じだ。だから自慢する。「1997年の第1回、あの嵐のフジ・ロック・フェスティバルを体験しているのだ」なんてことを。実際このときのフジロックこそ、本当の意味で、日本のロックフェスの始まりだ。

いまや伝説になった、悪天候に襲われた初回フジロック。アウトドアとは無縁な貧弱な服装で、雨と低気温に手ひどくやられ、観客がバタバタと倒れていく光景は、10年近く経った今でも忘れられない。2日目は中止になったが、初日のトリを務めたのは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズだった。

だが僕は、彼らがステージに立った姿を見ていない。いっしょに行った友人が寒さで朦朧とし、途中で帰らねばならなかったからだ。

実は、レッチリとは何度か会ったことがある。1回目は、その第1回フジロックの前々日、成田空港で。ロサンゼルスから乗った飛行機が、彼らといっしょだったのだが、僕の連れと彼らだけが日本の税関で引っかかり、1時間近く遅れて日本に入国した。なんでも全員荷物をひっくり返され、全部チェックされたのだとか。税関職員は、レッチリがドラッグでも持って入国すると考えたのだろうか。ちなみに僕の連れも、かなりヤバそうなルックスをしていたから、同様に怪しまれたのだろう。いっしょに税関で悩まされたからか、やっと突破して出てきたレッチリのメンバーと僕の連れは仲良くなっていて、最後にはいっしょに写真を撮ることになった。だからこそ、そんな彼らが嵐の中で行ったフェス最後を飾る演奏、本当に見たかったのだ。

その数年後、インタビューでも会った。ついでに、あの第1回フジロックのことを聞いてみると、やはり彼らにとっても記憶に残るものだったという。あまりに雨がひどいので、感電しないか心配だったらしい。でも、それ以上に、日本初の本格的ロックフェスで、トリを任せられたことがうれしく、どんな天候でも絶対に演奏したかった、とも。なんだかうれしくなる話だった。

さて、今年はとうとう第10回目のフジロック。フェスの数も増え、毎年フジロックとサマーソニックを中心に、海外アーティストの取り合いになる。そういえば、これまた以前インタビューしたフジロックを主催するスマッシュという会社の代表、日高さんは「無理なギャラを出してまで、アーティストを引き込んだりはしない」と言っていたな……。

アーティスト争奪戦の詳しい裏話はわからないが、今年はどうなることやら。今のところ発表されているメンツを見ると、そんなレッチリをキープしたフジロックが一歩リードといったところ。とにかく、参加したことを後で自慢できるようなフェスに、またなってもらいたいものだ。(高橋庄太郎)

行く前に、聴く。聴いた後に、行く。
フェス用CDセレクション14枚。

At Fuji Rock Festival 2006
Roger Joseph Manning Jr
Solid State Warrior(Pony Canyon)

今年の日本のロックフェスの勝者は、フジロックだ! この人が出演するという、その1点だけでも。彼は、極彩色のありえないほどポップな音楽を聴かせてくれた90年代初頭のアメリカのバンド、ジェリーフィッシュの中心メンバー。たった2枚のアルバムしか出していないのに、なぜかベスト盤が2枚に、豪華なボックスセットまで発売されてしまうという、その人気はまさに伝説的なバンドだった。解散後、彼はいくつか別の名前でアルバムをリリースしていたが、とうとう本名で今年ソロアルバムをリリースしたばかり。そしてこれが、まるでジェリーフィッシュが甦ったような内容で、とにかく素晴らしすぎるのだ! ジェリーフィッシュ時代に来日したときは、ピンクレディの「S.O.S.」をカバーして見せて観客の度肝を抜いたが、今回のフェスでも、そんなバカっぷりも見てみたい。ソロ曲だけでなく、できれば昔の曲も演奏してくれると、さらにありがたいなあ。

At Fuji Rock Festival 2006
Red Hot Chili Peppers
TADIUM ARCADIUM(Warner)

記念すべき第10回目のフジロック。第1回目のトリを務めた彼らが再び出ることには、やはり意味がある。フジロックが歴史を重ねる間、彼らもロック界トップの地位を守り続けていたのだし。このアルバムは、5月に発売された9作目。初の2枚組みだが、ファンクでロックで、異常なほどのテンションの高さ。この勢いで来日することを考えると、ライブの盛り上がりとフェスの成功は、間違いない。やはりフジロックには、行かないと。

At Fuji Rock Festival 2006
Kula Shaker
K(Sony)

インド趣味のロックで、デビュー時は今後のUKロックを担う存在として、驚異的な期待をされていたのに、簡単に解散。しかし、うれしいことに復活! 歴史に残る名曲「ヘイ・デュード」がまた聴けるとは、ホント幸せ。

At Fuji Rock Festival 2006
Trashcan Sinatras
Cake(London)

本国UKでの人気はさっぱりだが、ここ日本では熱狂的なファンを持つ彼ら。だって確かに日本人の心にグッと来るんですよ、この切なく甘いアコースティック・ロック、特に1stアルバムの楽曲は! 恥ずかしいけど「青春」の音です。

At Fuji Rock Festival 2006
KT Tunstall
Eye to the Telescope(Toshiba EMI)

話題の新人シンガーソングライターも、フジロックに。シングル曲の「サドンリー・アイ・シー」あたりは、街中で流れていたので、耳に残っている人も多いのでは? 彼女の実力のほどを、ぜひともライブで確認したいものだ。

At Fuji Rock Festival 2006
Sonic Youth
Daydream Nation(Universal)


数年前のフジロック。疲れきって寝ていた僕を覚醒させたのは、このアルバムの「ティーンエイジ・ライオット」のイントロだった。しかしまあ、なんてカッコ良すぎる曲なのだ! ソニック・ユースは、常にカッコいいですけどね。

At Fuji Rock Festival 2006
Franz Ferdinand
You Could Have It So Mutch Better(Sony)

ここ数年のロック界で、大スターの一員に躍り出たバンド。やはりフェスでも見なければ! 80年代風のテイストを感じさせ、デビュー盤に劣らず、ノリの良い曲が詰まった2nd、もし持っていないのなら、フェス前に買わないと損だ。

At Summer Sonic 2006
Matisyahu
Youth(Sony)


ユダヤ教とレゲエを結びつけたという、驚くべき新機軸アーティストのメジャーデビュー盤。そういうこと抜きにしても、単純にこれは気持ちいい音ですよ。夏のフェスには、ピッタリだ。詳しくは、サマーソニックで。

At Summer Sonic 2006
Phoenix
It’s Never Been Like That(Toshiba EMI)

フランスからは、ギターポップバンド、フェニックス。この最新作は聴き所満載で、ラフな音作りが気持ちを高めてくれる。同じくサマーソニックに出演するダフトパンクとともに、フランス人アーティストの力を見せつけるはずだ。

At Summer Sonic 2006
Two Gallants
What The Toll Tells(Sideout Records)

ギターとドラムという2人組新人。カントリー、フォーク、ブルースなど、アメリカの土臭い匂いを身にまとい、日本のフェスでは新鮮に聴こえるだろう。こういう掘り出し物アーティストを見つけるのも、フェスの楽しさなのだ。

At Udo Music Festival2006
Audio Slave
Out Of Exile(Universal)

サンタナ、キッスなど大御所アーティストばかり集めたこのフェスで、若者の人気を一手に集めそうな彼ら。前身バンドがレイジとサウンドガーデンだけに、ものすごい盛り上がりになるはず。このアルバムは、少々ポップ。

At Rising Sun Rock Festival 2006 in EZO
Kyoshiro Imawano(忌野清志郎)
Magic~Kiyoshiro The Best(Toshiba EMI)

やはり日本のロックといえば、清志郎を外すわけにはいかない。キャリアがあるだけに、どの時代の曲を演奏してくれるか分からないが、個人的にはこのベスト盤に収録されている「プライヴェート」のような昔の曲も聴きたいのだ。

At Rock In Japan Festival 2006
The Sambo Masters(サンボマスター)
Sambo Masters Ha Kimi-ni Katarikakeru(サンボマスターは君に語りかける)(Sony)

3rdアルバムが賛否両論のサンボマスター。おそらくライブで人気が高いのは、この2ndか1stアルバムに収められている曲に違いない。とはいえフェスで大声援を受けるのは必至。日本に新しい新感覚をもたらした彼らのロック、体験せずにはいられない。

At Rock In Japan Festival 2006
Rising Sun Rock Festival 2006 in EZO
Summer Sonic 2006
Quruli(くるり)
Sayonara Stranger(さよならストレンジャー)(Victor)

う~ん、いったい何ヵ所のフェスに出場するのか、くるりの面々は。せっかくなので、手持ちのCDを聴きなおしておけば、どこのフェスに行っても楽しめるはず。このメジャーデビューアルバム、今聴いても新鮮です。