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特徴

2006
Issue 9
Island Hopping in the Keramas
By Taro Muraishi

沖縄本島から西へ40km。ここに蒼い海と、青い空、そして白いサンゴの浜に包まれた慶良間列島がある。大小20島ほどのうち人が住む島は5島のみ。つまり、その他の島々はすべて無人島。ここへ筆者と相棒の2人が、沖縄本島泊港からアイランドホッピングの旅を漕ぎだした。

寝ぼけた頭をゆすり、風と波の音を確かめる。気分は気怠く、肌がジリジリと真夏の太陽を受け止めている。ようやく梅雨が開けたのだろう。   

相棒の小雀も起きだした。

「あー、だるい。いま何時?」
「もう昼過ぎ。漕ぎださないと今日中に着かなくなるな」
ぼくらが目指すは、慶良間列島。沖縄本島西端の泊港から漕ぎだし、おそよ40kmの位置にあるシーカヤッカーの楽園だ。昨夜、久しぶりに訪れた那覇の街であちこち夜遅くまで徘徊したのがたたって、ぼくらは寝不足だった。昼食とトイレ休憩のために上陸した神山島で、寝てしまったのだ。神山島は那覇港から、たったの10数kmほどのところ。重い腰を上げ、漕ぎ出す。何しろ体がだるい。快適なパドリング、というにはほど遠い。
   
しかも、だんだんと日が暮れだした。

「いい浜があるねぇ。今日はここでキャンプとしよう」
ようやく辿りついたのが無人島の中島。緑に覆われた、なだらかな丘の前に白砂のビーチが広がっている。目的とする慶良間の渡嘉敷島までは、10kmほどだ。

翌朝、目覚めると空模様が怪しい。空はドス黒く、海岸線は大きく波打つ。朝食を食べ終え、すぐに出発するが、とても沿岸を離れての航海はできそうにない。季節は初夏、6月の最終週。小潮を狙ってのアイランドホッピングだった。通常であれば梅雨明けしている時期であったが、梅雨前線が最後の一仕事、とばかりに元気を取り戻している。波が高く、渡嘉敷島への横断は1時間ほどであきらめ隣の前島に接岸。時折、小雨が降るなか、タープを張り、海の状況をひたすら眺める時間が夕方まで続く。今日はここで停滞だ。明日まで、天気が回復するのを待つしかない。

しかし、3日目も雨、風ともに強い。横殴りの強い雨が降る状況。波は相変わらず高いが、昨日よりは若干落ち着いてきているようにも見える。

「なんとか行くかいね」
そう小雀が切り出し、ジャケットのフードを強風が吹いても飛ばされないようにコードを締め、出航。

少し前を漕ぐ小雀の姿が見えなくなるほど強いうねり。風に飛ばされてきた海水、時折勢いを増す雨粒が顔面を強く叩き、前を見るのもままならない。前島と渡嘉敷島の中間点に浮かぶ沖山岩を左に見ながら、ただ前へ漕ぎ進む。荒れた海の上では2人とも、話をする余裕もない。そんな時間が、ただひたすら続いていた。彼方に渡嘉敷港へと入港する船の姿が見えるが、船尾が異様に振られている。ぼくらよりやばそうだ。

しかし、それも不思議と渡嘉敷島に辿りつくと、吹き荒れていた雨風はトンと止み、平穏なる南風と暖かな日差しが辺りを包む。先ほどまでの荒れた天気がウソのようだ。

べた凪のなか、座間味の集落に上陸。寂れたパーラーで、ハンバーガー、フレンチフライポテト、コーラをオーダーする。ぼくら以外には、誰も客はいない。表に出されたプラスチック製のテーブルで、ようやく慶良間の核心部へ辿りついた安堵感と、夏の午後の気怠さとともにハンバーグをパクつく。店のラジオからは、「本日、沖縄地方の梅雨明け宣言が出されました」とのアナウンスが聞こえてくる。

その後は、まさに楽園なる日々を過ごす。慶良間にある無人島のひとつでキャンプをして、また次の日は別のビーチで。次々と島を巡り、その日見た一番の場所で寝泊まりをする。昼は暑さしのぎに海に潜り、素潜りに来ていたお父さんがタコ捕りをしている横で、魚を捕まえる。そして、またお気に入りのビーチを探してカヤックを漕ぎだし、テントを張り、夕食を捕らえるため釣竿をとりだす。

快適過ぎて、読者の皆さんに読んで頂くには心もとないほどだ。しかし近年、慶良間は変わってしまった。心もとないシーカヤッカーと地元住民とのトラブルもあったようだが、自主規制なるルールが出来上がっている。もし、当地を訪れるならば、まずは、その頁を確認してから向かってもらいたい。わたしは将来、自由を求めるシーカヤッカーにとってのパラダイスが再び甦ることを、期待したい。

GETTING THERE

慶良間列島への直接のアクセスは、沖縄本島の泊港から「フェリーざまみ」が毎日1往復(季節により異なる)、高速船の「クイーンざまみ」が毎日1~3便(季節により異なる)慶良間の玄関口となる座間味港と阿嘉港へ運行。空港もあるが、現在はチャータ便のみの運行。琉球エアコミューターによる慶良間への定期路線は、2006年3月末で廃止となった。

座間味村役場(Zamami Village)
www.vill.zamami.okinawa.jp(船舶の運航予定表、アクセス方法など一部英語あり)

ネイチャーランドカヤックス(Nature Land Kayaks) 
http://www6.ocn.ne.jp/~kerama/ (日本語のみ/Only in Japanese)
慶良間列島シーカヤッカーズ・ルール(Kerama Islands Seakayakers Rule) 
http://www6.ocn.ne.jp/~kerama/new.htm (日本語のみ/Only in Japanese)