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特徴

2006
Issue 10
No Gusts, No Glory
By Rob Volansky

サーフ・ボードやスノー・ボードでは届かないところに、自然と一体となっていってみないか? そう、空に向かって飛んでいくんだ。カイト・ボードでね。

まだまだ新しいスポーツに分類されるカイトボード。カイトサーフィンとも呼ばれるが、アドベンチャー性に富みながら、実用的、また簡単に始められるが奥が深い。これからが注目株のスポーツだ。

卓越した、国際的なウィンドサーファーであった村林知安(むらばやし ともやす)は、自身のカイトボーディングへの転向について、「こっちのほうが面白く感じたんだ」と、答える。

「危険も多いんだけど、もっと面白いんだ」と。

ボードスポーツ好きが追い求めるものは、ご存知のように「ビッグエアー」。そしてカイトボードはそれがもっとも楽しめるスポーツなのだ。

カイトボードライダーのジェーソン・フレッチャーは、転向の理由をカイトボード・ギアがバックパックに収まるコンパクト性を上げる。ギアは極く軽量で、数ノットの風でライダーは数メートルの高さに舞い上がる。

カイトボードは90年中頃、フランスで始まった。ハワイ諸島マウイで人気スポーツとなり、2001年には沖縄でロビー・ナッシュがデモをした。それがきっかけで日本でも人気が高まり、根付いていった。

フレッチャーはいう。

「僕は、カイトボードに出合って一年以内にすべてウィンド・サーフィンのギアを売ってしまった」

すべてのウィンドサーファーがそうとは言わないが、その多くが彼と同じことをしたことは事実な様だ。

学ぶ
ボード、カイトとアクセサリーを含め20万~30万程で新品が一式そろう。中古品なら、リサイクル・ショップやインターネットで10万円以下で入手可能だ。

先輩ライダーたちは、しっかりとしたレッスンを受けることをすすめる。国内では静岡の「ハングタイム・スクール」のニック・カッツ氏が唯一「インターナショナル・カイト・ボーディング・オーガナイゼーション(IKO)」の認定インストラクターだ。

IKO認定インストラクターではないが、他にも経験を積んだインストラクターが国内にいる。スクールのほとんどが、海や琵琶湖のような大きな湖で実地教習を行う。近くのカイトサーフィン・スクールを探すには、「カブリンハ・カイツ」のウェブ・サイトをおすすめする。なお、破損などのリスクが多いため、カイトのレンタル料は高めなのが現実だ。

ウィンドサーフィン、ウェークボード、スノーボードの経験は役に立つが、決して必要ではない。全く初めてでも数時間後にはボードの上に立つことができる。
   
しかし、かすり傷を負うのは覚悟してほしい。筋肉痛はもちろんだが、風に押されて海岸に戻るとき、砂に直接あたる膝や手をすりむいてしまうことが多いのだ。

昨年、沖縄で一人でカイトボードをしていた初心者のボーダーが亡くなり、皆にショックを与えた。一回の突風で大怪我をすることもあるから甘くみないように、と経験を積んだライダーはいう。

プロフェッショナルとアマチュア
毎年、沖縄と静岡などでいくつかの大会が行われ、なかには30を超えるスポンサーが付くライダーも参加する。競技は様々で、トリック中心や高さやエアータイムを競うものなどがある。楽しいしだけでなく、プロの競技を見るのは自分のボードの上達にもつながるというものだ。

そこで「ジャパン・プロフェッショナル・カイト・ボーディング・アソシエーション(JPKA)」が主催する大会は、9月24日に千葉の鯖江浜ビーチで行われ、11月25~26日に行われる静岡浜野ビーチでのイベントでフィナーレを迎える。

アマチュアのカイトボーダーも数多い。しかし、コミュニティーはまだまだ小さい。札幌や千葉のライダーには沖縄は遠く、どうしても地元のビーチでボードをする。だから、いい風のある日には、ビーチにエキスパートとともに初心者も集まる。彼らは開放的な雰囲気で、様々なカイドボードにまつわる話や情報を交換する。いくら多くのカイトボーダーが集まったところで、かぎりない空では問題が起こることはないのだ。

北風のなかで
ベテラン・インストラクターの赤土正剛と仲間たちが地震と石油漏れで苦しむ地域の知名度を上げるため、雪上でのカイトボーディングを教えている。雪上ではエアーカイトが必要だが、彼は「何でもOKだよ」と言う。

「スノーボードでもスキーでもカイトボードでも何でもいいんだ」と。
   
赤土正剛は長年、カイト・ボードの振興に勤めてきたが、こんなことがあった。白馬栂池の近くでカイトボードのデモと大会を開催したとき、近くの農家の人が普通の凧上げだとおもってやってきた。ボーダーの身体が空中に浮くのをみると、彼等は大喜びしたと同時にびっくりした。

「なんたって、僕らが彼等の田んぼやにんじん畑の上を飛んでいたんだからね」と、赤土は大笑いする。

ロッド・ホイはカイト・ボーディングを愛するあまり、自分が北海道に住んでいるという現実を認めていない。彼は彼と同じような熱狂的な仲間と、凍った湖、開けた場所、平らな場所ならどこでもスノーボードでは味わえないカイトボーディングの醍醐味を楽しんでいる。しかし、現在のところ、スキー・スロープでは事前に許可を得たイベント以外、カイトボーディングはできない。

始めるならばいまだ!
カイトボードは、まだまだ新しいスポーツで、皆がいつもギア、スキル、トリックについて意見を交換している。それ故、ギアメーカーはビーチに足を運び、ボーダーの意見を聞きに訪れている。小さなカイトボード・コミュニティをまとめていけば、またたくまに協会など、名のつく団体になるに違いない。だから今、このスポーツを始めれば、一年以内にこの将来有望なカイト・コミュニティの一員となっていることだろう。