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特徴

2006
Issue 10
Survival Journey
By Koichi Takatani

三年前から地球を歩き、木を植える旅をしている。ある男と出逢うことによって。

6年強のサラリーマン生活の後、2000年の夏に僕は放浪の旅に出た。 30年弱、ニッポンで暮らしてきた自分の常識は、果たして“地球人の常識”なのだろうか。商社勤務中にそんなことを感じ始めた。

“常識”とは、一般人が持ち、また、持っているべき知識、理解力、判断力。地域、地域で違う常識の平均値が「地球人の常識」だとすると、そんな常識を身に付けた人間になりたいと僕は感じている。

人生は一度きり。僕は「地球人としての常識」を探りに旅立つことを決意。先ず目指したのは自分の生まれた国、アメリカだった。
   
インド、ネパール、ザンビア、オランダ、スペイン、フランス、ドイツ、メキシコ、キューバ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、ブラジル、ボリビア、ペルー、アルゼンチン、南アフリカと放浪して3年近くがあっという間に過ぎた。

僕の生活は、いかに効率的に利益を上げるかが重要であるサラリーマンの生活(僕の居た職場環境はそれが重要だった)から、いかにその土地の人、文化、自然に接するかが重要な旅人の生活に変わり、興味の対象も自ずと人、文化、そして自然に向いていった。

そんな時、南アフリカでポール・コールマン氏に出逢った。彼は16年間で39カ国、4万5000kmを歩き、木を植え続けている。今、彼は20世紀に亡くなった全ての戦争犠牲者一億人の為に、一億本の木を植えるべく母国英国から中国までの徒歩の旅を続けている。

僕もアフリカで彼と活動を一年間共にした。ジンバブエとザンビアを歩き、木を植える旅だ。

ポールは船乗りで、とある英国貴婦人の運転手だった期間を含めて30年以上地球を旅している。

その彼が、世界の皆に訴えかけるメッセージ。“Let us stop killing, let us start surviving.”

僕流に分かり易く言えば、「命の奪い合いを止めて地球に命、つまり木を与えよう。」という、とてもシンプルでダイレクトなメッセージ。僕はこのメッセージに共感する。

このメッセージが「地球人の常識」になる日がはやく訪れて欲しい。そんなことを思いながら、僕も歩き、木を植えている。

リュックに生活の全てを詰め込み、テントを持たず、学校の軒先、神社などで野宿しながら、時にはご好意で民泊、宿泊もさせて頂きながら目的地を目指す。旅が続くにつれて、リュックの中身も心もシンプルになってくる。「地球を歩く、木を植える」

その日の寝床、食料の確保が1日の重要な仕事となる“自分自身のサバイバル”をしながら、木を植えて“地球のサバイバル”を訴えかける。これは究極のサバイバル・ジャーニーではないか。そんなことを感じながら、僕は今、北海道から東京を目指して歩き、木を植えている。

中渓宏一/2006年7月、アースデイフレンドシップウォークと称して北海道の宗谷岬を出発。来年4月のアースデイ東京会場である代々木公園を目指し各地で木を植え、歩いている。