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特徴

2007
Issue 16
Trail-way to Heaven
By Taro Shirato

トレイル天国へ !!
“チェンライ”と聞いて“トレイル”の4文字が頭に浮かぶ人は、カナリのアジアントレイル好きだ。通常の人なら発音の似ているタイ第2の都市、“チェンマイ”と混同してしまう。プーケットに代表される南部のリゾートと違い、山岳地方にあたるチェンライは湿度も低く、朝夕は寒いぐらい。山間に田園が広がる静かな地域だ。観光客もヨーロッパからの中高年のハイカーが多く、日本人は多くない。しかし、トレイルは素晴らしく、町から外れるとMTBでも、ハイキング放題。ここからラオスやミャンマーにかけては、知る人ぞしる“ハイキング天国”だ。

「この天国で走り回ってやろう」というのが、イベント「チェンライMTBエンデューロ」。 それもただ走るだけでなく、レースでがむしゃらになりながら、時には会話を楽しみながら走る。ツーリングとレースを混ぜ合わせたようなイベントなのだ。

生きた道を走る面白さ

2日に渡って開催されるイベント、その初日はスタート地点でセレモニーが開催され、選手たちが集合する。まずは、ここから移動区間、つまり皆でおしゃべりしながら走るという区間になる。時にそんなところで飛ばす奴がいるものだが、そこは先導者がしっかりとペースコントロール。1時間ほどを走るとスペシャルステージ(SS) のスタート地点に到着。このSSを1日2区間、2日間で4区間走り、その間をおしゃべりしながらの移動区間でつなぐのがチェンライMTBエンデューロなのだ。

SS1は27km。途中に舗装路もあるが、山をいくつか越える。決して楽なコースではない。年齢別にクラス分けがされてスタート。最初から飛ばしていく上位狙いもいれば、いきなりのマイペース組などさまざまだ。それぞれが目的にあわせて楽しむのがSS区間なのだ。 

ジープロードを超え、舗装路を経由し、シングルトラックに入っていく。ここまではガンガン乗れたが、ここから先は少々テクニックが必要。上手くバラスをとりながら坂道を登ったり降りたり。

もちろんMTB 用に整備されている訳ではないので、降車しなければ進めない場所もある。ここはレースコースでなく、あくまでも地元の人の生活路なのだ。だから山の中で突然子供に出会ったり、住民が応援してくれたりしていて、驚いたり嬉しかったりする。 突然、視界が広がったと思うと、集落が現れてその中を抜けるようなコースが延びる。家の裏庭を遠慮しながら通過すると、家の中から住民が応援してくれる、なんて事もあった。通常の観光ではあり得ないシュチエーション。生活に根ざす“活きた道”を走っているのを実感する。

急坂で子供が押してくれてたので、お礼にエナジーバーを上げたら、大勢が集まってきてしまい困ってしまったエピソードもある。 

早い選手で1時間半、マイペースな選手で3時間弱のSSを終えると、キャンプ地でランチ。こちらも、現地スタイルのケータリング風ランチ。もちろん、タイ料理だ。といっても激辛ではなく、我々の口に合う料理なので心配はない。そう、タイは料理が美味しいのも魅力なのだ。お腹一杯になったら、昼寝をするも良し、皆で語らうも良し。勝手気ままな昼休みを過ごして、午後のステージに備える。 

午後は短いSS(初日10km、2日目9km)なので、午前とは違いスピーディーなレース展開。20~30分ほどで終わってしまうが、こちらの方が一気に頑張れてしまえる分だけ辛かったりして・・・・・・。

MTBで象に乗る!?


午後のSSが終わると、次は移動区間。でも、ここはMTBではなく、象で移動する。それもトレイルでなく川を渡るのだ。「エレファント・ライド」っていうのはタイでは珍しくないスタイル。なんと人とMTBが一緒に象に乗る。こんなことできるのって、きっとこのイベントくらいだろう。 

高い象の背中にMTBを抱えながら乗ると本当に不思議な気分。ただ、象の上は意外と揺れるので上手くMTBを支えなければならない。 

「象にパーツが当たって痛くないかな~」と心配していると、象使いが「心配ないぜ」というように、位置を直してくれた。さすがは象、細かいことでは動じないようだ。 

と、ふと前後を見ると、自転車を抱えた参加者を乗せた象の一団。はっきりいって、これは壮観! 印象的で不思議な景色に嬉しくなってしまった。おっと! 手を離すとMTBが落ちてしまう!?

夜もステージは続く・・・・・・


夜はホテルに戻って明日への英気を・・・・・・。なんていう参加者は、ほとんどいない。今回のお楽しみの一つである、ナイトマーケットにみなが出かける。いわば屋台の集合体なのだが、食事はもちろん御土産ものもすべて揃う。というか、昼間に街中に行っても何もないので、ここに来ないとチェンライの街は堪能できない。ここで大いに食べ、飲み、買い物を済ませ、タイ式マッサージを受けて、心も体も十分に満たしてホテルに戻るのがイベントのスタイルになっている。

  翌日も同じように2つのSS区間と2つの移動区間をこなし、合計の4つのSSで順位が決まる。各カテゴリーのリーダーは、リーダージャージなどを着用し、気分が盛り上がる。そして、そのまま表彰パーティ。

さらに、お約束のナイトマーケットに流れ込む。一人1000円もあれば相当飲み食いしても、おつりが来る。だから、ムツカシイことなど考えることなく、目についた美味しそうなモノ、面白そうなモノを買って、テーブルに集める。中には昆虫などもあり、薄暗い場所だから食べられるような代物も・・・・・・ある。参加者の間では、この二次会が「SS5」と言われている。その理由がわかるような宴は、夜遅くまで続いたそうな。 

さて、レースのようなツーリングのような、このイベント。来年も同時期に計画されているらしい。一人で走るのに飽きた人、新しいトレイルで走りたい人は、ぜひタイのトレイルを味わってみるべき。 タイ料理同様、クセになること間違いなし・・・・・・!?

Getting There

バンコクから北へ800km。県内のほとんどが山岳でしめられるチェンライは、タイ最北に位置する県で、1262年、メンラーイ王がこの地に都を築いた。国境をミャンマーと接する県である、過去ミャンマーの制圧を受けたこともある。 飛行機なら、バンコクから毎日数便が就航していて、1時間程度で到着する。もっとタイを味わい人には、バスはいかがだろう? 直通バスの所用時間は約13時間だが、その気があれば是非!

大会HP:
www.ortev.com/mtb/