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特徴

2007
Issue 16
The Kido on the Fly
By Alan Bergman

人混みで溢れるコンクリートジャングル東京を逃れること数時間。そこで過去数年間、一日に数十匹の鮭が釣れる小さな川がある。しかも、釣りを終えて自宅に帰っても、まだ夕食の準備に間に合うんだ。
 

10月のとある一日。福島県の木戸川に、二日間鮭釣り旅行にでかけてた。その時の釣果は、なんと3kgから6.4kgの重さがある鮭を、26匹も釣った。日本に鮭は多くいるものの、釣ができるところは少ない。 

鮭はおもに日本海側全体、太平洋側では茨城の北から北海道にかけての海岸線で釣れる。だが、鮭のスポーツ・フィッシングのが許可される場所は数えるほどしかない。魚をたくさん食べるこの国ならでは。鮭の漁獲量は厳しく管理されている。  

サイズでいうと木戸川は鮭というより、マスの生息する川だ。釣が許可された場所は、地元の漁協によって監視されている。釣り場は川の入り口から200mほど行ったところから始まり、堰から約200m手前の700m地点までが釣り場となっている。この堰は小さいダムで、鮭が遡上、産卵するのを妨げてしまう。

ここ木戸川では、鮭の自然産卵はわずか。川に泳ぐ、鮭は漁協で人口孵化されたものだ。この小さな川で、自然産卵なら数千匹の鮭しか産まれないが、人口孵化なら何万匹という数が毎年、帰ってくる。 午後2時にスポーツ・フィッシングの時間が終わると、漁師が地引網で鮭を捕獲する。ここの川の鮭は、日本の川でもっとも一般的なチャムサーモンだ。  

チャムサーモンはいろいろな魚の名前でもある。日本語ではサケ、シャケ、シロザケやアキアジなどと呼ばれる。英語ではチャム、キャリコ、ドッグ・サーモンなどだ。オーシャン・ブライト・チャムは緑みを帯びた青い背で、胴体は銀色をしている。鮭は淡水域に入ると、体色が変化する。 

産卵を控えた鮭はレンガ色、黄色と黒の模様が身体に現れる。そして、ほほが黄身をおび、頭部は緑っぽい茶色になる。雄鮭のあごは、とがった歯がついて、顎がしゃくれてくる。チャムサーモンが釣れたら、バスの釣り人が良くやるように顎を持つのでなく、尻尾を掴む。 木戸川には、ここだけの特別な規則がある。餌釣り、ルアー、フライフィシングをする事ができるが、シングルフックだけが許可されている、そして“キャッチ&リリース”はしない。釣れた鮭はすべて、一輪車を押しながら川を巡回する、管理員が重さと長さを測る。 釣り人は一日2匹までのオスの鮭を持ち帰ることができる。全てのメスの鮭と、残りの雄鮭は一輪車に乗せられ、売りに出される。規則では、一日に釣っていいのは5匹までだ。 もっとも効果的な餌つり、ルアーフィッシングの人気が高いが、僕はやはり、条件さえあえば、他の方法と同様に釣れるのだから、鮭釣りはフライフィッシングに限ると思う。そのほうが面白く、釣りがいもある。  

木戸川の川上がフライフィッシングには適している。幅1mそこそこの透明な川に、釣り糸をたらしひたすら待つ。ぼくが釣りをしたときは、あいにく前の週に台風があったため、川の水量は高く、水は濁っていた。日本では赤のフライがよく使われる、以前ならよく食いついた赤、黒、紫に、今回、魚はあまり興味をしめしてくれなかった。 いつものフライでも何とかやっていたが、本当に面白くなってきだしたのは派手な「ホットピンク・バニーバガー」というフライに変えてから。名前は、なんとなくアメリカの政治家たちが好みそうなイヤラシイ名前だけど、鮭たちもまっしぐら、これに目がけて飛んできた。 

フライフィッシングで重要なのは、フライを鮭の目の前に浮かせておくことだ。海から淡水河川に入ってくると、鮭は餌を食べることと、自分のテリトリーに興味を失ってしまう。だから水に沈む糸を使って、魚のいる場所にフライを浮かせる必要がある。遠くに糸を垂れることより、糸のコントロールがとても重要だ。鮭はフライにあまり反応を示さないからだ。フライが動かなくなったり、糸がひいたように感じたら、かかったのかをすぐに確認しよう。一匹の同じ魚を相手に、同じ場所にフライをいやらしく、何度も何度もあてることをすすめる。魚もだんだんとイライラして、フライを攻撃したりする。  

日本で鮭を釣りたいなら、木戸川が最高の場所だろう。木戸川であれば、北海道のように旅費もかからない。鮭を釣らせてくれる川は年々増えつつある。 孵化を終え、海に帰る鮭がもっとも価値が低いといっていいだろう。大人の鮭は市場でおよそ1000円だ。しかし、スポーツフィッシングだと、鮭一匹におよそ一万円かかってしまう。 

なぜなら、道具、交通費、釣り許可料、宿泊、食事、お土産など、結構な出費になってしまうからなのだ。でも、僕たちは木戸川周辺の経済にも貢献していることになるのだからいいではないか。  

ノーマン・マクリーンは小説「マクリーンの川」(原題:A River Runs Through It)のなかで、「ぼくは、水の虜になってしまった」と書いている。ぼくもそうだ。ぼくの場合、水と鮭の虜になってしまった。もし来年、木戸川で、大きな鮭を手にご機嫌な奴を見かけたら、それはきっとぼくだろう。

Essentials

木戸川の鮭釣りはは10月の第一週から11月の第一週の間のみ解禁される。時間は午前7時から午後2時まで。釣りの申し込みは7月の第2週から8月の第2週まで、受け付けている。遊魚券は1日6000円、2日が10,000円。1日40人だけ許可される。

宿泊施設は一晩4200円から9000円のところがある。旅館に泊まりたいなら、柏屋(電話0240-25-2323)をおすすめする。1泊2食付で7300円。地元の料理がとてもおいしい。 木戸川へのアクセスはいたって簡単。車なら常磐道で広野まで行き、国道6号線へ。高速をおりて8kmのところに釣り場はある。電車なら、常磐線で木戸駅までいき、タクシーで5分、徒歩なら25分。

Fishing in Japan

釣りは日本でとても人気のスポーツ。多くの情報がテレビ、雑誌、インターネットにあるが、ほとんど日本語なので、日本人の釣り友達をつくるといろいろ助けてもらえる。 

釣り経験が長くても、まだまだ日本には知らないことが一杯あるものだ。ルアーとフライフィッシングは海外と同じだが、餌釣りはまったく違う。日本独特のテクニックがあるし、それはまた地方によっても変わってくる。  

木戸川の鮭釣りは1日40人に限定されるが、他の釣り場はもっと込んでいる場合がある。マナーには気を配りたい。離れて、誰もいないところを探したいところだが、たいがい他に先客がいる。他の釣り人と糸がもつれたりするのは必至。でも、それで釣り友達ができるきっかけにもなるこもあるかも。