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特徴

2007
Issue 18
Bathe Away the Blues
By Lee Dobson

先月前まで、蒸し暑さにまいっていたのに、いざ夏が終わってしまうと悲しい。ひんやりした秋風は、長く、寒い季節への始まりを思い起こさせる。夏の終わりの喪失感を癒すものがほしくなる。そう、温泉だ。

熊本県の九重連山のふもとに、秋も悪くないと思わせる場所がある。清流としかいいようのない渓谷の、隠れ里にある「黒川温泉」だ。国道から少し脇道に入った場所とは思えないほど静かな露天風呂は、秋ともなれば紅葉景色にすっぽり包まれる。
近年、黒川温泉には一年を通して観光客が訪れる、ちょっとした日本の露天風呂メッカとなっている。日中は人の姿があちこちに見受けられるが、夜になると聞こえるのはせせらぎの音だけ、という静寂の世界へと変身。湯につかりながら日々の面倒を忘れ、様々な思いをめぐらせることができる秘湯なのだ。黒川温泉では、観光化された巨大温泉郷になることを避け、渓谷ならではの立地、こぢんまりとした昔ながらの温泉の風情を保つよう最大限の努力をしてきた。そのため、けばけばしい看板やネオンサインなど一切ない   

20 件ほどの温泉宿は、昔をしのぶ純和風旅館。宿泊料は格安から、ちょっと贅沢なプランまで様々あるが、手が届かないほどではない。ぜひ一泊して、地元で採れた山菜、名物の川魚の甘露煮、馬肉などのおいしく、体にやさしい食事を味わってみよう。食わず嫌いしないで、すべて挑戦してみてほしい。日本人でなくとも、意外においしいと思うはずだ。
各旅館はそれぞれ料理について、いつも話しあい、そのためいずれの旅館に泊まっても食事が美味い。地元の焼酎も試してみよう。焼酎はたくさん飲んでも二日酔いすることがないアルコールなので、翌日もすっきり。安心して飲める。
甘いものが好きならなら、クリーム・エクレアやロールケーキが全国的に有名な店が温泉街にあるので行ってみよう。「ケーキセット」は、すぐ売り切れるという。
旅館には午後2時、もしくは3時までにチェックインする。部屋に案内されたあと、女中さんがお茶を入れてくれる。お茶をすすりながら、女中さんの案内を聞くというのがお決まりだ。その後はリラックスして、浴衣に着替える。温泉めぐりへと繰り出すのだ。宿泊客はみな、25ある露天風呂の3つの温泉に入れる入浴手形を渡される。最も人気があるのが洞窟風呂と混浴岩戸風呂のある「新明館」だ。くねくねとした洞窟温泉は、居心地がいい。寒い日には、大きな顔をして闊歩する鶏に合える。囲炉裏場にもいって、暖をとろう。    ちなみに、1200円の木製のメダルを買うと日帰りでも同じように温泉めぐりができる。温泉施設はほとんどの場合、8時半〜9時のあいだに営業を始める。遅いところで11時、夜は10時まで。黒川温泉を満喫したいなら、8時半までに到着することをすすめる。10時までは団体客のいない温泉とゆっくりと楽しめるからだ。それに、週末は大変混雑している。

Getting There

黒川へは九州の各地から、電車、バス、タクシーなどでアクセス。温泉は最も近い駅からも随分離れているので、一泊しないなら列車はすすめない。熊本でレンタカーを借りて国道57号へ。道はスムースで標識もわかりやすい。

Web Connection

Travel Info: www.hyperdia.com
Kurokawa Accommodation: www.japaneseguesthouses.com