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特徴

2007
Issue 18
History, Hot Springs & Healing in Kusatsu
By JM Roberts

Gunma's enchanting onsen getaway - long a fan favorite for hot spring lovers in Japan - gains popularity among the foreign community in Japan

群馬と長野、新潟3県にまたがる上信越高原国立公園内に位置する草津温泉。古くは大和朝廷の頃、日本武尊が発見したとされるなど様々な説があり、2000年には日本温泉協会のアンケートで“一番好きな温泉”、“一番行きたい温泉”の一位に選ばれる日本を代表する温泉である。しかし、草津温泉は外国人のあいだでは、まだあまり知られていない存在だ。

今と昔・草津温泉の歴史

 「普通、日本人はあまり大声をだしたりしないし、面と向かって話をしないもの」と草津観光協会の長井さんが語る。
 「でも、温泉に入れば皆言いたいことを話し、隠し事なんてなくなってしまうものですよ(笑)」
1000 年以上の間、日本人に愛されてきた草津温泉。その温泉に素晴らしい効能があると科学的に判明したのは、ドイツ人エルヴィン・フォン・ベルツ医師が訪れたことがきっかけだった。明治11年頃から草津温泉に幾度か訪れた医師は、温泉を分析、正しい入浴法を指導した。それ以来、草津温泉は“ヘルシーリゾート”として世界に紹介され、ベルツ医師は草津温泉でなくてはならない人となった。
 「他の温泉では、温泉の量が不足しているところが多くあります。温度が低すぎるので人工的に温めているところもあります。草津温泉ではそういった心配はありません、まったくの自然なんです」

草津温泉の成分は鉄分、アルミニウム、ヒ素、Phは1.7〜2.1で、世界でもっとも酸性の強い湯である。ツアーガイドはよく、温泉に投げ込んだ1円玉は一週間で溶けてしまうという話をするが、5寸釘が12日間で溶けてしまったという。
     
こんな話をきくと、湯に入るのがちょっと心配になる。だが、草津温泉の湯は、人体には害をおよばさないばかりか、強力な殺菌力をもつ。草津を世界的に有名にしたベルツ医師は、「草津温泉は世界第一級の温泉保養地だ」と言った。草津の民謡にも、「草津の湯は恋の病いがい、なんでも治す」という唄がある。

今と昔・草津温泉の現在

有名な草津の湯畑(湯の花を採取したり、湯の温度を調節する源泉施設)は各旅館の内風呂などに湯を送っている。温泉街は、この湯畑を中心に街は発展してきた。草津温泉のシンボルだ。湯畑のまわりはいつも新鮮な空気を吸い、周囲の山並みを眺めている人がいる。

 観光客は地元の人に混じり、100軒も共同浴場のひとつの足湯につかったり、カップルは不思議なブルーグリーンの湯を眺めながら散歩したり。子供たちは、大人のまわりを駆け回っている。
神社、温泉、銭湯、商店、食事処などが、湯畑の周りを囲む。湯畑から小道が網の目のように延び、美味しい料理を食べさせてくれる店があったり、土産物屋などがある。 毎年1万2000人以上が草津温泉に訪れているが、街は3万人に増やしたいとする。観光客で溢れた温泉を楽しめるは、今のうちかもしれない。
「草津温泉が巨大観光地化されていないのは、三方を山で囲まれている立地だからでしょう。

地形上、これ以上開発することができない」と安部氏は言う。町のインフラには投資するが、草津を大きくすることには費やされてはいない。

レクリエーション

草津温泉は、上信越高原国立公園内にある。そのため、アウトドアスポーツならなんでもありだ。ハイキングなら、草津には総延長60〜70kmものハイキングとスノーシュー用のトレイルが整備されている。

レクリエーション

草津温泉は、上信越高原国立公園内にある。そのため、アウトドアスポーツならなんでもありだ。ハイキングなら、草津には総延長60〜70kmものハイキングとスノーシュー用のトレイルが整備されている。「草津国際スキー場」では12〜4月までの間、白銀の世界に覆われ、5〜10月ごろまではマウンテンボードやグラススキー、テ二ス、ミニチュアゴルフができる。スリルを求めるなら、「キャニオンズ」にまかせてほしい。春〜秋にはラフティングやカヤックでの激流くだり、洞窟ツアーを行っている。
また、「草津高原ゴルフ場」、「草津カントリークラブ」では、美しい景色のなかでプレイが満喫でき

「草津高原ビール」は、週末をしめくくるのに最適な場所だ。ここでは、草津の天然水を使ったキャラメル色のビールが楽しめる。

草津温泉と時間湯

草津温泉の利用の仕方として有名な時間湯。これは神経痛、糖尿病、動脈硬化、打ち身、捻挫、慢性疲労などの疾患を、身体本来の治癒機能を高め、ナオスというもの。
 
時間湯セラピープログラムの副湯長の鈴木恵美さんは「治療は温度、時間、頻度、どの成分の湯につかるかなどで細かく決めます」と説明する。
「時間湯とは、人間の身体から生命力を引き出し、自然治癒力を高めたり、体質改善を行って健康になって帰っていただくことが目標なので ちなみに草津には、地蔵の湯と千代の湯の2種類あり、地蔵の湯は慢性病を長期にわたって治療する場所。千代の湯は時間湯の体験用で、短期の方ようになっています」

宿泊と観光

草津の温泉街は、あちこちに温泉饅頭、温泉玉子、地鶏の焼き鳥などを売る店があって楽しい。本格的な料理は、レストランや旅館で味わえる。
夏は新鮮な野菜、秋は山菜やキノコ類、清流の川魚、地元の清水でつくられた酒など、草津には美味しい素材がたくさんだ。
とくに、「カフェ・アスペン」と「天よし」のラーメンはおすすめしたい。オーク材でできた家具のあるスキーロッジ風のお店「カフェ・アスペン」は、日本の素材をつかったピザやパスタが美味し   

「天よし」は、近所のラーメン屋といった雰囲気だが、野菜たっぷりのラーメンと大きな餃子が名物だ。
 
草津には旅館130、民宿20、ペンション20、大型ホテルが10あり、好みの部屋が選べる。湯畑から近い「三関屋旅館」は家族経営の宿。豪華な朝食、清潔な部屋、ケーブルテレビや個室温泉などの施設が整っている。おすすめだ。
ほかの温泉郷とことなり、草津温泉はこじんまりした山に囲まれた温泉街だ。空気はきれいだし、地元の人はみな親切。お湯も最高だ。
東京に帰るといつもの生活が待っていて、草津が恋しくなる。ぼくのお気に入りの場所を友達に教えるべきか迷いながら、あと一日、草津の自然のなか、ゆっくりと温泉につかれたら……。と、草津の情景を思い出すのであった。

草津フォレストセラピー

「言葉をほとんど使わず、感じ取るガイドをしている」と語る、環境アドバイザーの高山正明さん。春の主なテーマは滝、芽吹き、新緑、花。夏なら、夜の森の香り、音、星明りの空。内に溜め込んだストレスから開放されて、思わず泣いてしまう参加者もいるという満月ツアーでは、癒しの音楽に合わせて月の物語を語る。秋なら紅葉、落ち葉、火おこし。冬なら、甘いシロップをかけた雪のおいしい食べ方や、スノーシューで山に向かい、わざと道を間違っては、「どうしましょう?」と言いながら遭難体験。知らず知らずのうちに心に残るガイドで、心を浄化し、ストレスを癒す。
フォレストセラピーのインストラクター・湯田六男さんは、「山で一日遊んで、みんなニコニコして帰ってくるんですよ」と語る。人間の寿命を遥かに超えた大きな木々に、心が癒されるのだという。とくに五感を使って、香りや色を楽しむ山歩きをすすめている。
「お風呂に入っていると、地元のおばちゃんが上半身放りなげて、やたら話しかけてくるんですよね」と語るのは、草津ビジターの志水奈那子さん。草津の自然、四季とともに、人とのふれあいにも癒されそうだ。

草津・四季のハイライト

By Tomoko Kodaira

春:天然記念物のシャクナゲ。早朝4時頃、車で白根山に登ると、突然濃い霧を抜けて雲上へ。
夏:初夏は本白根山で高山植物のコマクサ。森の中を散策すれば、香りのいいネジキや、大きなナツツバキの木にも出会う。常布の滝は新緑の季節におすすめ。氷室の節句(6月1日)は伝統的な風習。「草津国際スキー場」に雅楽の人たちがやって来て、冬の間洞窟の中に溜まった天然の氷を使い、抹茶をふるまう。白根神社まつり(7月17〜18日)では、湯畑周辺が通行止めとなり歩行者天国に。神輿が通る。温泉への感謝を込めた温泉まつり(8月1〜3日)では女神様が降りてくると言われる儀式、子どものジャズダンス、大道芸、歌謡ショー、手筒花火、和太鼓が熱い。
秋:紅葉。標高約1,350mの溶岩大地には、高山植物のイワカガミ、ツツジもたくさん見られる。吾妻線の電車の窓から見える一面の紅葉は、標高差があるので、季節の移り変わりが一目で見られる。
冬:「草津国際スキー場」でのパウダースノー。林の中は意外と暖かい。この季節の早朝には、ダイヤモンドダストが見られる。(小平智子)

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