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特徴

2007
Issue 19
Nozawa Onsen - Shinshu’s Shangri-La
By Mark Baumann

昔ながらの温泉街の雰囲気と、近代的スキー施設の組み合わせがユニークな野沢温泉。ここでの体験は、純粋な日本的スキーの週末だ。
いずこの旅人も秘境の地を偶然辿り着き、大喜びする。信州の美しい山々にひっそり佇む野沢温泉こそ、そんな場所だ。この静かな町の中心では、13の天然温泉が湧く音から、心地よい音をたてて山から流れる清流まで、様々な水が斜面へと続く石畳の道の脇であふれている。
野沢温泉は斜面が多く、国内で最も古く、屈指の規模のアルペン・リゾートだ。他のスキーリゾートにはない、昔ながらの温泉街の魅力にあふれてもいる。
野沢温泉の発見には諸説あり、ミステリーとなっている。あるストーリーは手負いの熊が猟師に教えたとと伝えている。修行中の山伏が見つけたという説。その他の説もいずれにせよ、江戸時代より野沢は温泉場として知られることとなった。

伝統的ともいえる湯屋の木造建築の外湯が、野沢温泉村に30ほど点在する。ほとんどの温泉が無料の共同浴場で、野沢温泉村内の住民が管理・運営していて、いずれも清潔に保たれている。温泉が村の社交場になっているため、村人の多くは内風呂をもたないそうだ。
湯沢神社にある源泉に近づくほど、湯の温度が上がる。メイン・ストリートにある大湯はもっともよく知られている。お湯につかる間、卵もゆでられるぐらいだから、我慢くらべができる。雪遊びの疲れを癒すのには最適だ。

スキーの歴史とともにある野沢温泉

毛無山の裾野に広がるリゾートは、本州でも有数の積雪量があり、また快晴の日々が多いい。国内でもっとも古いスキーリゾートでもある。

 1911年、日本に初めてスキーを紹介した人物として知られるオーストリア人、テオドール・フォン・レルヒ少佐。その翌年、彼は野沢温泉を訪れるが、ス キー場自体は1924年まではなかった。彼が訪れて以来、野沢温泉はスキー場開発の先端を走っていったのだ。スキーリフトを国内で始めて導入したり、 1998年の冬季オリンピックではバイアスロン・イベントを主催した。

スキーとスノーボードは1980年代後半から90年代前半のバブル最盛期にブームとなった。一時は野沢のメインゴンドラを待つスキー客 が、長さ1kmもの長い列をつくったこともある。その当時、客のニーズに対応するため、巨大な資本がインフラに費やされた。しかし、経済成長が陰を見せ始 めると、スキー客は減少していった。現在はといえば、当時できた立派な施設とハイスピードリフトが混雑することなく楽しめる。それが野沢温泉だ。
野沢(長坂と日陰)ふたつの主要なゴンドラがある。スキー場の大きさ、多様な地形、美しい景色の組み合わせを考えると野沢は格別なリゾートだ。英語の話せ るインストラクターや託児所があるスキースクールもある。リフトパスは手ごろだし、レンタル用品もたくさん用意されている。
ゲレンデはよく整備 されているが、野沢には最高のオフピストがあることが最近なって分かった。多くのコースはふんだんにパウダースノーがある、眺めのいい林間コースで、降っ たところにリフト乗り場があるので、何回でも往復できる。少し歩けば、だれも滑っていないフカフカ雪のエリアだ。運がよければ野生のカモシカやタヌキ、熊 にもあえるかもしれない。

野沢温泉と祭り

つい最近まで、野沢温泉は町営のスキー場だった。地元の人々は夏の間、農業や大工仕事をし、冬は山のスキー場で働いていた。だから地域に密着した、暖かな 雰囲気がここにはある。スキーと温泉を目的に訪れるのなら、野沢の村と伝統を誇りに思う人々の素晴らしさに触れ、再び訪れるようになるだろう。地元の人々 の生活と切ってもきれないものは、道祖神火祭りを代表するお祭り行事だろう。

1月15日の夜。この日、最高潮を迎える道祖神まつりも、準備には長い時間がかかる。豊作、健康、幸運。絶好のスキーシーズンを祈る祭りで、山で大木を切り、歌を歌い、酒を飲み、木を山から降ろす。
ご神木は村の社殿の基礎をつくるのに使われ、神にお供えする。毎年平均5基の初灯籠が立ち上げられる。これらは、昨年長男が産まれた村の家族が誕生を祝い奉納する。
祭り当日は村の42歳の厄年の人々が社殿の上にのぼり、同じく厄年の25歳の男集が社殿を守る。若者は上にいる年上の人々を、他の村びとの攻撃から守る。
たくさんのお酒も手伝って、祭りは盛り上がる。正しくこの祭りに参加していれば、翌日はかなりの二日酔いで目覚め、洋服の一部は焼け、身体のどこかに火傷 が見つかる。攻防がしばらく続くと、しまいには社殿は初灯籠とともに燃え落ち、神へお供えする。上にいた42歳組は無事に降り、皆で道祖神火祭りの成功を 祝う。

野沢温泉の食事処

温泉街の雰囲気が野沢の魅力である。考えて見れば、野沢は人口5000人あまりの農業の町。という事は、地元の農家の人が行く、安くておいしい店があるはずだ。そのなかから、いくつか紹介しよう。

王龍ラーメン/安くてうまい店。スキーの後にはラーメンが最高だ。冷たいビールと餃子も注文するのを忘れずに。

通草亭:お腹が一杯になって値段も控えめな店。親切なオーナーが目の前でおいしいお好み焼きを焼いてくれる。ワイヤレス・サービスがあり、インターネットもできる。

風の家:洋物がたべたくなったら、ヨーロッパスタイルのピザとパスタが食べられるここ。オーナーの河野さんは旅好きで、外国人のお客さんを歓迎してくれる。大湯の前の建物の2階にあり、窓から行き交う人々を見るのも楽しい。

アクセス

本州の中央、長野の北部に位置する野沢温泉。首都圏からは少し遠いいが、行く価値は十分にある。

電車/東京駅から新幹線で長野駅まで約90分。長野駅から飯山線で戸狩野沢駅へ約90分。そこからバスで10分。

バス/各主要都市から、夜行便などが約4000円で運航されている。

シャトルバス/東京と名古屋空港から野沢の宿へ直行するシャトルバスがある。約5時間。

車/上越道を飯山インターでおり国道17号へ、看板をみて進む。

Nozawa Notes

雪が溶けても、野沢温泉は楽しみが一杯。緑の季節はトレッキングにマウンテンバイク、パラグライダーをしたり、千曲川でカヤッキング、それにキャンプもいい。

巣鷹湖のゴルフレンジも楽しめる。水泳がしたいなら、アリーナには屋内プールやウォータースライドがある。梯子酒ならず、梯子風呂も入ってみよう。街には13の無料共同浴場がある。建物のデザイン、水質、効能や温度もすべて違うから試してみよう。
野沢には個性のある居酒屋が多くある。お気に入りはバーボンバー「ステイ」。いい音楽が流れ、時々ライブ演奏もある。お隣の「ザ・フット」は雰囲気ある立 ち飲みバー。カラオケなら、「ヒメマチ」か「ヘブン」の選曲がいい。「ロッジこうへい」の下に新しいメローなバーができた。スキーの内容や、幻のパウダー の話をするにはうってつけの場所だ。