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From The Editor

2009
Issue 31
From The Editor

ちょうどこれを書いている今、台風18号が日本列島を通過している。ここ茅ヶ崎は直撃は避けたものの、海岸線は打撃を受けた。ビーチはめちゃくちゃ、あの重いテトラポットが海岸まで押し上げられ、竹のフェンスはぼろぼろ、バイクロードは砂の下に埋まっている。

“嵐の前の静けさ”というけれど、嵐の後の晴天も被害を見せつけているようで落ち着かない。台風はおそい午後に通過し、青い空、すじ状の雲を残し、よどんだ空気と湿気も取り去り、きれいな富士山を見せてくれた。

近所のビーチの被害状況を見に行くと、他にも多くの人がいた。漁師は小屋を点検に、ジョガーやバイシクリストは砂に埋まったバイクロードを見て、後処理の大変さを憂いていた。

数日後、同じ場所で赤ちゃんの亀がバイクロードを超えて海へ歩いていた。その光景を見た瞬間、ハイタイド・コラムニスト久米満晴 (Page xxx)の海亀に対する愛情と、サイパン(Page xxx)でモーニングダイブした時に亀と泳いだことを思い出した。

その亀を海岸まで連れて行き、砂浜の水際においてやることにした。僕らはしばらくそこにいて、亀が鷲、カラス、犬に襲われないか、亀が本当に自力で海に戻れるかを見届けることにした。亀は自分の位置がわかると、向かってくる波に乗ってわき目もふらず海へと帰ろうとした。しかし何回も波に押されて海岸に戻され、そのたびにまた海へ向かって泳ぎ続けた。

台風とこの赤ちゃん亀は、人生のすばらしさを教えてくれ、また困難について考えるきっかけをくれた。それは時に自然災害だったり、個人的な問題だったりする。結局僕らは亀が波で戻されない所まで連れて行って放してあげた。長い人生、誰だって時々は助けが必要だから。