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ホームとアウェイ

2010
35 号
ホームとアウェイ
By Gardner Robinson 
日本がワールド・カップ初戦でカメルーンに勝利するのを見ていて、つい48時間前は強豪イギリスと戦いドローに終わったアメリカも応援していたことを思い出した。僕には二つの“ホーム・チーム”がある。両方とも前評判は高くないにもかかわらず健闘しているのを見て、ホームとアウェイ、故郷を離れてくらすことについて考えさせられた。
 
ある人は生まれ育った所を一生離れない。逆に海外で生活する人は、人生の多くの時間を大陸をまたぎ、文化を渡り歩き生活する。新しい土地にも慣れてくるが、同時にホームシックにかかることもある。
 
最近、僕らが愛する地元のバーが閉店し、近所にすむ茅ヶ崎住民はセカンド・ホームを失ってしまった。バー・マンボはとてもユニークなバーだった。我々のコピー・エディターのウェインは、ユニークという言葉は他に例を見ないという意味だといい、使い方が間違っていようものなら速攻で赤ペンをいれる。会計課のボブが君と同じセーターを着ているなら、君のセーターはユニークとは言えないといった具合だ。
バー・マンボはとてもユニークなバーだった。超ファンキーなインテリア、個性あふれる常連客の面々、ピンク・フロイドやロドリーゴ・イ・ガブリエーラなどのクラシック・ロックがいつもかかっているからではない。十人も立てない半円形のスタンドバーが、金曜日と土曜日には普段に比べ2-3倍の人数が集まることでもない。それはコンバさんとかおりさんがこの小さな店にかけた愛情が、この店を普通のバーから、居心地のいいバーにしたのだ。
 
閉店最後の週、店は毎日満員だった。二日前にはあまりの混み合いから、入りきれない人が道にあふれ警察までがやってきた。最後の日には、何度も警察が姿を見せた。問題が起きたからではない。あまりに多くの人が、最後の挨拶に寄っただけなのだ。マンボが閉店してしまうとどこに行っていいのかわからず、みんなが名残惜しんでいたのだ。
 
翌日、僕はバイクでマンボを通りかかると、まるで葬式のようにドアにたくさんの花輪が飾ってあった。きれいだけど、物悲しかった。
 
今月号が印刷される頃、コンバさんとかおりさんは一年間のワールド・アドベンチャーをするためブラジルへ出発する。彼らはハートさえあれば、どこでもホームになると証明してくれたのだ。OJの最新号を、どこか新しい土地で、または、居心地のいい家で楽しんでもらえることを願っています。
 
 
訂正
前号のインサイド・アウトのコントリビューター、クレイグ・山下氏のグラフィック・デザインカンパニー(seewhy.jp)と彼のイラストレーション・スタジオ(eurekastudio.jp)のURLに間違いがありました。申し訳ございませんでした。