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コラム

High Tide

By 久米 満晴

下げ潮の次は、上げ潮じゃ

2011
Issue 40 (Summer 2011)

「下げ潮の次は、上げ潮じゃ」

小さい頃のある夏休みに、どこまでも砂浜が続く千葉の九十九里浜へ、海水浴に親が連れて行ってくれた。生まれ育ったところの近くに海はなかったので、それはそれは楽しい出来事だった。

なにしろ今まで公園の四角い砂場しか知らなかったのに、そこは、前も後ろも足元も、全てが砂場なのだから。しかも波という不規則な水もやってくる。

砂のお城を波打ち際に作り、それを守るため、砂で防波堤を高く作った。たまにやってくる大きな波に、お城が崩れないよう、体を横たえて一生懸命に守った。

そして、暑くなったら浮輪につかまり、波のうねりを飛び越えるあの浮遊感で奇声をあげた。

3月11日のことを考えていたら、小さい頃の楽しかった海との出会い、を思い出した。

海が、波が人間を襲うと言う悲しい事態。制御できないものを人間が作り、制御できないままの今。

絶滅危惧種であるウミガメの写真を撮り、ウミガメについて調査研究に携わり、ウミガメの未来を心配していたけれど、どうやら人間も絶滅危惧種のような気がしてならない。

いったい人間という動物は、今までどれだけ生きてきたのだろう?

人間の祖先は一説には700万年前と言われているから、700万年か。

カメは1億2000万年前、恐竜は3億万年前、地球は46億年前。なんだか感じられない時間過ぎて、実感がわかない。

そこで、血の繋がりで過去を辿っていく、面白い記事があった。

お爺ちゃんは明治生まれ、そのお爺ちゃんはきっと江戸時代…、と繋がり計算すると日本人は平安時代(794年~1192年)まで遡るとみんな親戚だった、というものだ。

「日本中、過去を辿ればみんな親戚、血が繋がっている」
当たり前ではあるけれど、この感じは、今とても大切。
もっと前まで辿れば、人類皆兄弟だ。

今、日本は一気に潮が引いてしまった。でも、潮はまた満ちるもの。
砂の城を、体の防波堤で守った小さい頃の気持ちを思い出し、血の繋がっているみんなで、いい方向に進んでいきたい。

「人間も自然の一部」という謙虚さを忘れずに。
これからは、
「上げ潮じゃー」(物事がいい方向に進むという意味の、日本の古い言葉)
「上げ潮じゃー」
「上げ潮じゃー」