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コラム

Faces in the Crowd

By グレン・ポリケア

サイパンより愛をこめて

2009
Issue 31

東京出身の女の子が、透き通る海が魅力の南の島で暮らすという夢をサイパンで実現させた。

癸生川真幸は生まれも育ちも東京都足立区。しかしここ10年は北マリアナ諸島を家とよんでいる。サイパンに住むようにきっかけは、高校生の時に祖母を訪ねた際にたまたま見た、ほんの短いスクーバダイビングの番組だったそうだ。

「南の島のきれいな海と、その海を泳ぐ魚たちの映像にすっかり虜になってしまいました。そして私は、その時その場でダイビングをやろうと決めたんです。でもただダイビングを楽しむのではなくて、ほかの人達をダイビングに連れていく仕事をしたいと思ったのです」

高校卒業後、真幸は東京のスポーツエデュケーション・アカデミーのマリンスポーツ科(2年制)に入学した。初年度はヨット、カヤック、サーフィン、ジェットスキー、ウインドサーフィンなどのスポーツを学び、2年目でやっと浮力調整器具についての授業を受け、神奈川の近くのにごった海にもぐった。真幸は友達と交互に運転して夜に車を走らせ、車で仮眠をとったり、ビーチの近くに住む友達の家に泊めてもらったりして早朝ダイビングをした。

「水は冷たくて汚いし、ウエットスーツはきつくてかゆかったし、視界は悪いし、最低だった」と真幸は語る。

真幸はもうサイパンと沖縄でダイブしたことがあったが、ほとんどのクラスメイトは、ダイブの経験がなく他の海の水質を比べたりすることなどできなかった。そして実はサイパンにダイブにいったとき、とてもラッキーなことが真幸の身に起こった。

「2年生の半ばごろ、サイパン旅行でダイビングをしたんです」と彼女は語る。「朝ダイビングをした後、ダイブショップのオーナーがダイブがうまかったとほめてくれました。だから、今ダイブマスターになるための学校に行っていますと答えました。するとオーナーが、卒業後に仕事が必要なら連絡しなさいと言ってくれたんです」 

そして彼女はその通りにした。彼女はインストラクターのライセンスをハワイでとり、帰国し、サイパンの仕事が正式になるのを待った。サイパンが新しい生活の土地になるはずだったが、最初は行ってくれと言われたのはロタ島だった。

彼女のお母さんは彼女の海外での生活を心配していたが、お祖母さんは「行っておいで。自分がやりたいことをやりなさい」と応援してくれた。

彼女が望んでいたのは暖かい場所で、透きとおった海があり、そこでのんびりとした生活を送ることだった。サイパンの約117キロ南にあるロタ島では、そんな典型的な南の島の暮らしができそうだと思った。彼女が赴任した1997年頃は、島にはナイトクラブや交通渋滞などなかった。それどころか、すれ違う車からみんなが手を振るぐらい、島の住民は皆知り合いだった。ごみごみした東京が苦手だった彼女は、すぐに島に溶け込んだ。

彼女はダイブするために島にやってきた、そして彼女はもくもくとダイビングに励んだ。一日に2〜3本はダイブし、その後は体を休めるために時間を使った。どんな健康な人でも北緯15度という環境では疲れる。しかし彼女はすぐにチーフインストラクターとなり、日々の運営にも携わるようになり、お客さんをファイヤーウォークス、ポナポイント、そして彼女のお気に入りのハーノン・ドロップオフに連れて行くまでになった。

「ダイナミックで上級者向けのダイブで」と彼女は言う。「ナポレオンフィッシュ、バラクーダ、カツオなどの大きな魚とディープ・ドリフト・ダイブができるんです」

そしてロタ島で6年という月日を過ごした後、新しい景色をもとめてサイパンに移ることにした。2006年にハート・オブ・ゴールド・ダイブバーズをオープンさせるまで、ランドベースのトレッキングオペレーターをしてビジネスに必要な知識をつけたのだ。

サイパンのダイビングは最高で、彼女もとても満足している。島にはバラエティに富んだダイブスポットがあり、すべてのレベルの人が楽しめる。ベストスポットとして知られているグロットは島の北にあり、「スキン・ダイバー・マガジン」で世界で2番目にすばらしい洞穴ダイブスポットとして紹介されたこともある。103の階段をおり切ると、大きな岩に到着する。そしてそこからジャンプオフ。潜ると太陽の光であかるく照らされた外洋に抜けるトンネルの入り口が見える。静けさの中、さまざまな色合いのブルーの色にしばし目を奪われる。早朝のダイブでは亀、サメなどを見ることができる。早起が苦手でも、不思議な形容の石灰石を背景にさまざまな魚を見ることが可能だ。

真幸のお気に入りのサイパンのダイブスポットはウイング・ビーチ、ナフタン、ディンプル、アイスクリーム、シップレック、バンザイ、スポットライトだそうだ。5,000時間を越えるログ記録をもつ真幸は、サイパンとロタの隅々まで知っている。しかしお客さんと一緒にアンダーウォーターの喜びを分かち合うのが彼女の一番の幸せという。真幸は今のところサイパンを去る予定は無いものの、東京から飛び出した彼女なら、いつか他のきれいな海を探求したくなっても不思議ではない。


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