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コラム

High Tide

By Mitsuharu Kume

「銭湯」

2009
Issue 30


お湯に浸かり、首を湯船の角に当て、天井を眺める。思わず「フーーーッ」と声が出てしまう。日本人のリラックスタイムの定番、お風呂でのひとコマである。

ところで、温泉と銭湯の違いを知っているだろうか?

地下から湧く効能のあるお湯を温泉、水を沸かした共同風呂を銭湯、というのが大きな違いである。温泉はお湯の沸く旅先で入るもの、銭湯は町にもあり、毎日通うローカルの多い共同風呂。せっかく日本に来たら、銭湯にも挑戦してみてはどうでしょう。

そこで、銭湯の入り方の一例を紹介します。日本人は空手や茶道、花道など一連の流れを美しく行う、作法を大切にするので、風呂の入り方にもこだわりがあるのです。

まず履物を靴箱にしまい、男は青色、女は赤色の暖簾をくぐると、番頭さんと呼ばれる人がいるので、「こんばんは、今日は蒸し暑いですね」などと挨拶と気候の変化でも軽く話題にしながら、お金を払います。空いている棚や籠を見つけ、そこに荷物をほおりこみ、迷うことなく一気に服を脱ぎます。一番上にバスタオルを置いておくと、上がってきた時にスムーズです。シャンプーや石鹸、そしてタオルを持って、いざ風呂場へ。その前に体重計に乗ってみるのもオプションとして、動きの中に入れても構いません。

風呂場の扉を開けたら、あたりを見回し、空いている蛇口のあるところを見定め、そこに堂々と向かいます。あなたが外国人なら、ジロジロ、チラチラと人の視線を感じるかもしれません。でも、それは興味本位で見られているだけ。ホモやレズ的な見方ではないので、気にせずいきましょう。

洗い終えたら、いざ湯船へ。「フーーーッ」と言いながら入ります。

長い間湯に浸かっていることが苦手な人は、タオルを冷たい水に濡らし軽く絞ったものを顔に乗せます。でも、この時決してタオルを湯船に浸けてはいけません。

さて、よくローカルに話しかけられるのはこの時です。「KONNICHIWA,○○ KARA KIMASHITA」(Hello,I came from ○○)これだけは覚えておきましょう。

のぼせて来たら、「OSAKINI」(Excuse me)と言ってそっとあがります。

脱衣所に入る前にタオルで大まかに体の水を拭うのも、脱衣所を濡らさないマナーです。扇風機の前で火照った体を冷まし、服を着て、鏡の前で身だしなみを整え、番頭さんに「DOUMO」(Thank you)といって出ます。

「上げ潮じゃ、上げ潮じゃ」(いい方向に向かうときに使う、日本の昔の言葉)

もしあなたが銭湯を体験したら、それも日本の自然を満喫したことになるでしょう。なぜなら、そこに暮らす人間も自然の一部なのだから。