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コラム

Japan Angler

By Abdel Ibrahim

Perfect Luck

2011
Issue 38

完璧主義者の気持ちはどうも理解できない。何かが完璧にうまくいく時は、偶然が重なっただけのように感じるからだ。少なくとも私にはそう思える。本当に何かがうまくいく時には、いろんな要因が混ざり合っているからだ。日本でマグロを釣るのもその一例だ。

この夏私は、マグロが釣れるのを期待して、天気、潮、そしてベイト活性のタイミングが完璧に揃うのを長い間待った。これが実に微妙な組み合わせなのだ。餌魚が水面に上がってくるには海水に十分なプランクトンが含まれていなければならない。マグロという魚は暖かい海を好まないから、暖流と寒流が交わるか、または隣り合う領域で探さなければならない。

様々な画像衛生技術が海洋状態を観察し、回遊魚が現れる時期を予測しているが、通常日本ではその情報がレジャーである釣りに提供されることはない。私自身、実はこれはいいことだと思っている。

言いにくいことだが、日本での沖釣りにはトラブルがつきものなのだ。魚種資源の保護を目的にしたルールが存在しないまま、多くのボートが沖釣りにでている。複数の政治的課題が絡んでいるのが原因だが、また別の機会に取り上げることにしよう。

こうした状況なので、マグロを釣るカギは、早めに出かけて、誰よりも先に魚群を見つけることにある。90%が運だ。水面で餌魚を食べるマグロに近づいたとしても、マグロ釣りを熟知していなければうまくは行かない。ボートが群れに近づいた時に、食いつきがいいのは大抵1度だけだからだ。

この確率にかけて出かける釣り人は皆、いい位置につけるその時の興奮を求めている。8月の終わり、私にも”完璧な運”が巡ってきた。36キロのキハダマグロを20分の奮闘の末に釣り上げたのだ。相模湾には20艘ほどのボートがいたが、その日釣れたマグロは、私の釣ったマグロの他に1匹だけ。私の友人が釣ったのはサメばかりだった。

こうした経験から、マグロ釣りは苦労に値しないとも言える。しかし、マグロ接近の情報を聞くと、私はやっぱり沖に出かけてしまう。学習しない釣り人たち。どうせ完璧なんてありえないのさ。