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コラム

High Tide

「宝島」

2011
Issue 38

ひんやりとした空気、透明で冷たい水の流れる音、外の強い日差しがどんどん届かなくなってくる。それでも鍾乳洞を奥へ奥へと進む。宝を探しながら…

ここは、宝島。本当に宝島という名の島なのだ。

場所はあまり言いたくないところだが、九州と沖縄の間にあり、隆起サンゴ礁でできた人口150人ほどの小さな島。海岸にはアダンなど熱帯や亜熱帯の植物が茂り、海の深い紺碧の青とサンゴ礁の白とが絶妙のコントラストを見せている。

なぜ、あまり言いたくないか、その理由は、1701年5月23日までさかのぼる。

スコットランドの海賊キャプテンキッドは処刑される直前、「自分はある場所に財宝を隠している」と叫び、その場所を説明しようとしたが、処刑人はそれを無視してキッドを処刑してしまったという。

それから200年余り経った1937年、アメリカの秘密情報員から日本に1通の手紙が届いた。キッドの記録によると、1700年ごろに東シナ海で稼いだ財宝を南西諸島に埋めたのだという。「宝のある場所は、死の谷と名付けられる窪地、活火山から噴出する有毒ガスが常によどんでいる」とあり、島の東側に経ヶ峰(きょうがみね)のある宝島があてはまる。そして、鍾乳洞が幾つもあり絶好の隠し場所といえる。数多くのトレジャーハンターたちが挑んだが、未だ宝は発見されていないという。

さて、そんな隠された財宝に興味も湧くが、それを隠した海賊にも、惹かれるものがある。他人のものを盗むことは悪いことだが、風を使って、世界中を航海したところは魅力的だ。僕らもこの島まで風を使ってやってきた。

世界全域の海に海賊は存在し、中でも17世紀から18世紀にかけてカリブ海のスペイン領を中心に荒らしまわったカリブの海賊は、無法者ながら「老人や子どもの捕虜には乱暴しない」など独自の掟を持ち、また封建制が普通だった時代に稀有な平等主義・民主主義者であったことから、襲われた船員が転向するケースもあったという。これは素晴らしい仕組みで、現代も海賊の物語や映画が人気の秘訣はここにあるだろう。

「上げ潮じゃ、上げ潮じゃ」いい方向に向かうという意味の日本の古い言葉。

僕がこの島を訪れたのは、宝探しではなく、ウミガメ探し。ウミガメをテーマに写真を撮っているからで、産卵に訪れたウミガメの足跡をこの島でひとつ発見したこともあり、僕にとっては上げ潮な島だった。海賊とウミガメは関係しないかと思えば、カリブ海にあるウミガメ島というところが、多くの海賊の拠点となっていたようで、行ってみたい島がまた出来てしまった。「上げ潮じゃ、上げ潮じゃ」いい方向に向かうという意味の日本の古い言葉。

そうそう宝島に宝探しに行こうと考えている方は、トカラハブという毒蛇がいるのでご注意を。

久米満晴