>  屋外日本雑誌  >  Issue 37 : 11月/12月 2010  > コラム  >  The Naked Stranger  >  ネイキッド・ストレンジャー

コラム

The Naked Stranger

By Naked Stranger

ネイキッド・ストレンジャー

2010
Issue 37


ネイキッド・ストレンジャーは、カルチャーハンターである。彼は日本の昔話が大好きで、貪るように読みあさる。例えばかの有名な「桃太郎」は、桃から生まれた伝説の男の子の話であるが、その逆境に立ち向かう強さと新鮮な果物とのなんとも魅惑的な組み合わせがたまらないそうだ。

最近群馬の水上に行った際には、また別の英雄、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の話を耳にした。良い温泉を探していると勇敢なリーダーが地元の温泉のパンフレットをもらってきた。すごく良さそうな所で、一番の売りは英雄ヤマトが、昔々にこの温泉に立ち寄っていたという事だった。

ヤマトタケルはそこらの映画俳優や野球選手じゃない。彼は2000年前の王子で、自分の弟を殺してしまった事で有名だ。そして自ら命尽きた後、白鳥に姿を変えて飛び去って行ったという伝承がある。歪んだ感じの日本昔話−良く分からない名前を持った人が近しい家族を殺して、最後は空に逃げて行くような話−が大好きなネイキッド・ストレンジャーは、この神聖な温泉に入らざるを得なくなった。

宝川温泉は、水上の町はずれを流れる宝川沿いにある。清流のすぐ横にあるこの温泉は本当に素晴らしい。けれど、最初に着いてから建物に入って行く時の感覚は、まるで子供の頃に近所に住んでいたクレイジーな猫好きおばさんの家に呼ばれた時のそれに近い。

床から天井まで埃っぽい、戦前風の骨董品で埋め尽くされた長い廊下が続く。クレイジーおばさんの家の地下室でまごつく様な例の感覚は、くねった廊下から明るい日の下へ近づいてくるとだんだんと薄れて行く。そしてそこで出迎えられたのは、猫ではなく小さな檻の中でオロオロと歩き回る熊達だった。

ガラクタと熊達の横を通り過ぎると、3つの大きな混浴温泉が見えてくる。日本一広い露天風呂なのだそうだ。ついさっきのサーカス的な物悲しさとは全く対照的に、目の前には美しい情景が広がっている。

本物の自然美に囲まれて湯に浸かっていると、ヤマトタケル王子がこの場所に惹かれた理由が分かってくる。宝川温泉は日本文化を味わうには持って来いの場所なのだ。

宝川温泉:群馬県みなかみ町

評価:★★★★

住所:〒379-1721 群馬県利根郡みなかみ町藤原1899
料金:大人1500円
電話番号:(0278)75-2611
 ホームページ:www.takaragawa.com

良い所:
日本一大きな露天風呂があり、日本に来たら外せない温泉文化(=混浴)がある事.

立派な英語のホームページもある。

悪い所:
入浴料1500円はちょっと高め。男性専用露天風呂がなく、プライバシーを守りたい男性には残念。それから檻の中の熊達を見たくない人にはお勧めできない。

温泉:
−宝川温泉が今ある形になったのは1940年の事。しかし人々ははるか昔、紀元前14000年〜300年頃、縄文時代からこの温泉を使っていたと言われている。
−アンモニウム成分を含む透明湯は、ストレス、リュウマチ、痔、筋肉痛、打ち身などへの効能があると言われている。
−日本一広い露天風呂はなんと470畳分。
−源泉かけ流し100%の天然温泉で、湯量豊富な4本の源泉がある。
−般若の湯、子宝の湯、摩訶の湯、摩耶の湯という4つの広い露天風呂がある。摩耶の湯は女性専用で、後の3つは混浴。本館内に男女別の内風呂もある。
−子宝の湯が一番大きい(330㎡)。文字通り、入れば子宝に恵まれると言われている。
−摩訶の湯が一番美しいと評判で、テレビや雑誌に取り上げられるのは大抵ここだ。

宿泊:
2名1部屋泊の場合1人1泊15,900円〜。

食事:
郷土料理の熊汁がおすすめ。土地の人は古くより熊や鹿、兎などを狩って食してきた。地物のきのこや川魚などの炭火焼も名物。

周辺:
天神平ロープウェイ、奥利根スノーパーク、ならまた湖、ラフティング、キャニオニング、その他アドベンチャーショップがある。

交通:
(電車)JR高崎線で上野から高崎へ。JR上越線に乗り換えて水上駅下車。水上駅より1日1便の無料送迎あり。14:30発。要予約。
(車)関越自動車道でみなかみ町まで来たら、宝川温泉まで約18km。東京からは所要約2時間半。