コラム
Cycling Japan
By Takashi Niwa火の国の別府・九重・阿蘇から、神々の里・高千穂へ
風景の雄大さでいうと、阿蘇は北海道と比肩するほど国内でも傑出したエリアである。
前半は九重、阿蘇の広々とした草原を、後半は深い峡谷沿いを行く。大分、熊本、宮崎の3県を巡り、九州東部の迫力を満喫しよう。
スタートの別府は、あちこちに湯煙が上がる海沿いの町である。そこから由布院の手前のピークまで、一気に標高差800mをヒルクライム。水分峠を過ぎ、九重の山々を見上げながら、草原が広がるやまなみハイウェイを行く。今回の最高地点の牧ノ戸峠を経て、大観望に立つ。ここが阿蘇の外輪山の一角だ。
阿蘇山とはひとつの山の名前ではなく、山々一帯の総称をいう。阿蘇山は約30万年前から噴火が続き、山の上部が噴火によって吹き飛び、巨大な盆地、カルデラになっている。その縁が外輪山だ。
外輪山の内側の中央部に、主峰の高岳などがそびえ、周辺には田畑が広がり、町があり、鉄道が通っている。つまり阿蘇はカルデラに暮らしがあるという、世界にも稀な火山なのである。
カルデラの北側は牧草地が多く、南側の南阿蘇村周辺は、豊富な湧き水による豊かな田園地帯が広がっている。ペダルを踏むごとに、その風景が激変していくのが痛快だ。
外輪山を高森峠(トンネル)で越えると、あとは下り勾配となり、高千穂峡へと向かう。天孫降臨、つまり天上界の天照大神が地上の国の乱れを収めるため、孫の瓊瓊杵尊(ルビ:ににぎのみこと)を地上に下ろしたのがこの高千穂である。
高千穂峡は広々とした阿蘇とはうって変わり、五ヶ瀬川沿いに高さ100m近い断崖が、20km近く続いている。やがてこのV字に切れ込んだ峡谷が広がりを見せると、五ヶ瀬川の河口に近づくことになる。延岡の町をかすめて日向灘に出ると、この旅は終わる。




