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コラム

By Mitsuharu Kume

Unnatural Nature

2009
Issue 28

エアーするスノーボーダーの背景に都庁ビル。これは凄い。何が凄いかって、都会の真ん中で自然の中で楽しむスポーツが行われていたのです。その名は「Tokyo Snow Style in都庁」。

今までにも、アイススケートや屋内スキー場、それに波のプールでサーフィンだってあるのだから、今更そんなに驚くことではないかもしれない。でも、日本の南の島で暮らす僕が、東京に用事があって行くと、その都会の真ん中で見たものは、ロープで囲まれた雪遊びエリアに順番待ちをする子供達、特設の鋼管で作られた高さ15メートルのジャンプ台(クオーターパイプ)に登って行くトップクラスのスキーヤーやスノーボーダー達、そして、僕の横には、知らずに通りかかって、ジャンプしてクルクル回るスキーヤーを見て、目をクルクルさせているおじさん。それは、どこか不自然な自然。

では、スポーツは自然なのか? と考えてみる。これは難しいです。

まずサッカーは、ボールひとつあれば、手を使わないという約束の陣取り合戦。いつでも、どこでも、子供でも楽しめる。これは自然。

次に水泳はどうだろう。これはプールを泳ぐ。それは人工物の中だ。海や湖で泳いでいたものが、競技としてコンクリートの中に入ってしまった。寒くないように温水だったり、屋根までついている。泳ぐことがいつのまにか室内スポーツとは、不自然な自然。

僕の好きなサーフィンはというと、南の島で子供のサーフィン教室に協力している僕は、浜辺で準備体操を終え「遊んで来ていい?」と海に飛び込んでいく子供達の光景が、まず目に浮かびます。波を飛び越えて遊んだり、海の中で追いかけっこをしたり、中には、水の中を何回クルクル回れるか競争して、鼻から水が入って涙目になっていたり…。そして誰かがサーフボードを取りにもどると、みんな負けじと取りにくる。なんだかとっても自然な自然。

「人間も自然の一部」これはある人に教わって、僕が大切にしている言葉。この言葉を大切にしていけば、世の中“上げ潮”(物事がいいほうに向かっていくという、日本の古い言葉)だと思う。自然だの不自然だのといっている僕も、自然の一部なのです。
このイベントのクオーターパイプを作ったのは、僕が旅で出会った福島の仲間が中心となっていました。作る側の心境になると、雪国でしかやれない、見られない、自分達が好きな遊び=スポーツを、知らない人、特に子供に見てもらうことに、やりがいを感じると思う。

きっと、ジャンプ台の下から見上げたエアーは、都会の少年の心に残ったことでしょう。「上げ潮じゃ、上げ潮じゃ」