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コラム

Spirit of Silence

By Troll

Problems with Passing Notes…

2005
Issue 3

ウチは皆と同じように旅好きで・る。ただ、ひとつ異なるのは生まれつき聾者なので聴覚からの情報がない。・れは九州、鹿児島を自転車で走っていたときのこと……。

冷たい春雨が降り続いていて、この時ばかりは、屋根の・る、どこか宿に泊まりたかった。湯治客を相手している温泉宿なら、安く泊まれることが多い。そんな温泉街が地図上に・るのを見つけて、この町(湯之元温泉)にやってきた。

通りすがりのおば・ちゃんに、「安く泊まれる宿を教えてください」と書いたメモを見せたら、すぐに近くのおば・ち
ゃん3人ぐらいを呼び寄せ、にわか「安宿会議」が始まった。ようやく決まったようで、1つの宿に向かうことに。

 中から女将さんが出てくると、そのおば・ちゃんは、「この人たち、日本語がわからないのよ」と紹介すると満足したのか、すたすた帰っていった。

おいおい、さっきから、ちゃんと日本語を書いているじゃないか! と思うものの、それを信じた女将さんは、「どこの国から来ましたか?」と、また日本語で書く。そこでウチは「日本です」と。次に「耳が聞こえない」と書いて、初めて納得してくれたのだ。
この日は素泊で安く泊めてくれただけでなく、女将さん特製の朝ごはんまで作ってくれ、筆談で色々、旅についてのお話もした。立派な旅館にはないような家庭的なおもてなしは、とても心が温まり、その日のペダルこぎを楽しいものにしてくれたのは、いうまでもない。そんな出来事を胸に、ボンタンの・る風景を走りながら、熊本へ向かったのだった。