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コラム

Travelers Tune

By Shoutaro Takahashi

A Day In The Drunk Tank With Polaris

2006
Issue 6

ポラリスのオオヤ氏が教えてくれた、少ない酒でも酔っぱらえる水族館

t人気ミュージシャンに聞いた音楽とは関係がない質問、「あなたの母国で旅すべき場所を教えて?」。今回は大人気の日本バンド、Polarisです。

とうとうこのコラムに日本のアーティストが初登場! 叙情的で優しく、ナチュラルなサウンドが大人気の「Polaris」のボーカル、オオヤユウスケ氏だ。
先月、自分のバンドのベスト盤と、ハナレグミの永積タカシ、クラムボンの原田郁子と組んだ新グループ「ohana」でのアルバムを、同日リリースしたばかり。ちなみに、Polarisとは「北極星」の意味だ。だからきっと北方志向が強くて、お勧めの旅先は北のほうにある場所ではないかと思っていたら……。

「沖縄にね、いい水族館があるんですよ!」
それは、沖縄海洋博記念公園にある「沖縄美ら海水族館」。この水族館の自慢は、ギネスブック公認、幅22.5m、高さ8.2m、厚さ60㎝という世界一大きなアクリルパネルを使った世界最大級の大水槽だ。そのなかを、7m以上のジンベイザメや巨大なマンタなど、ものすごい数の太平洋の魚たちが悠々と泳いでいる。与えられるエサ自体も巨大で、ボーっと見ているだけで面白いのだとか。

「でも、何が一番良いかというと……。バーみたいな空間がその巨大水槽の横にあり、強烈にデカい魚を眺めながら、ビールを飲めるんです。気に入ってしまい、昨年だけで2回も行っちゃいました」

もともと水族館が好きで、いろいろなところを回っているというオオヤさん。だけど、こんなふうに酒が飲める水族館は、ここしか知らないという。

「特に、平日の昼は人がいなくていい。だけど、なぜか不思議な視線を感じるんですよ。なんだろうと思ったら、巨大魚が僕の目の前を通り過ぎるときに、一瞬こっちを見るんですね。気のせいじゃなく、グルっと水槽のなかを回遊して、また僕の前に来ると、確実にこっちをパッと見る。ヤツらも酒を飲みたいのかな? なんてことも考えたけど、ちょっと僕を軽蔑している視線のような気もするんですよね」

いや間違いなく、巨大魚は軽蔑の眼差しを向けているに違いない。平日の真っ昼間、若い男がダラダラとビールを飲んで、ボーっとしているのだから。

「その視線を感じながら、あそこで飲んでいると、異常に酔っぱらうんです(笑)。こっちが見る側であるはずなのに、ヤツらからもジロジロ観察されているというのは、どうも落ちつかないですよ」

オオヤさんの名誉のために言うと、沖縄に滞在していたのは、曲作りのため。平日に休み、息抜きに水族館へ行っても、問題ないはずだ。そもそも大観光地にある、もろに観光用の施設なのだし。

だけど、巨大魚がそんなことを知るはずがない。ヤツラの前では、オオヤさんは人気ミュージシャンではなく、単なる飲んだくれでしかないのだった。
(高橋庄太郎)

Polaris
「音色」

結成5周年を期に発売されたポラリスのベスト盤。沖縄が好きになる前の、初期の名曲を中心に編集され、DVDも付いた2枚組。以降の音と聴き比べてもよいかも。

ohana
「オハナ百景」

以前から友人の3人で結成された、話題のユニット。さわやかで明るい曲作りで、沖縄を感じさせる曲も収録されている。Polarisとは、平行して活動するとか。    

コンピレーション・アルバム
「ベスト・オブ・丸高」

沖縄を代表するレーベル「マルタカレコード」。その代表アーティストの曲を復刻して一枚に。「アーリー沖縄の音楽は、本当にすごい」とは、オオヤさんの弁。

与世山澄子
「インターリュード」

沖縄県那覇在住の伝説的ジャズボーカリストが、昨年発表したアルバム。65歳を過ぎたベテランの奥深い世界を、臨場感のあるライブ録音で聴くことができる。