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コラム

Spirit of Silence

By Troll

Maple Leaves and Pricey Sheaves

2006
Issue 6

2本足で滑るウチはコブ斜面を転がっているというのに、ターンのたびに、パウダースプレーを舞い上げながら、滑走するクールなスキーヤーがいた。よく見ると、それはチェアースキー(スキー板にイスを付けた乗り物)だった。先月号でも少し触れたが、ここはカナダのバンフ近郊のスキー場である。ここでテレマークスキーを楽しんでいたのだ。

その時に、チェアースキーをよく見かけたのだが、リフトでも係員がちょっと速度を遅くするのを慣れたように対応し、介護人なしで普通に利用していた。目に見えるハンディーの人は(彼らにとって、それはハンディーではないが)多分、みんなと同じように日常を過ごしているだろうし、自分の考えをはっきり伝えることができているように感じられた。

じゃあ、見た目が普通の人と変わらない聾者は、どうだろう? カナダは移民の国であり、都市部であれば日本人も多い。だからみな日本人がきても驚かないし、日本なら「身ぶりをする人=聾者」と定着しているが、身ぶり手ぶりで意思を伝えようにも、すぐに伝わらない。

店頭などでコミュニケーションをするときも、「I am DEAF(私は聾者です)」と、最初に記入する必要がある。そうすれば、スムーズに筆談してくれるし、DEAFといえば、誰もが快く対応してくれる。中にはASL(アメリカ手話)の少しできる聴者が、自分なりに表現をしてくれる人も、何人かいた。一度、そういう筆談などをすれば、すぐ顔を覚えてくれていた。だから次に逢う時には、よりスムーズなジェスチャーと、さらなる笑顔で会話するのであった。

しかし「I am DEAF」と書くのを忘れてしまうと、怪訝な顔をされるので、本当にいつも呪文のように書いていた。しかも、気温がとても低いので(マイナス20度の時も!)、日本から持ってきたボールペンはインクが凍るのである。

カナダのボールペンは寒さに強いけれど、本当に寒いときは、えんぴつが一番いい。それと、紙がめちゃくちゃ高い。ちょっと分厚いノートが、10カナダドル近く(日本円換算で1000円位)。だから、親切なカナディアンは、「筆談に使ってね」と、メモ用紙をプレゼントしてくれたりするのだった。