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コラム

Spirit of Silence

By Troll

Homesick in a Huge Country

2006
Issue 7

昨年末からカナダでテレマーク三昧、ようやく日本に帰ってきたところだ。今までアジアばかりで、アメリカ大陸の土地を踏むのは、実はこれが初めてだった。

そのドデカイ大陸を移動した時、日本の小さな国のことを思わずには、いられなかった。 カナダ人のなかには、つい2ヶ月前まで海を見たことがなかった、という青年がいた。内陸に住んでいると、海へ行きたければ、陸路では、多くの時間を要するだろう。その時、日本の縦に細長くのびる地形が、“なんてすばらしいことなんだろう”と気がついた。優しい森とパウダーを求めるなら北へ行けばいいし、海と太陽の下でカヤックがしたければ、南へ行けばいい。ありがたいことに神奈川に住むウチは、北へも南へも、3時間あれば飛行機で行けてしまうのだ。

さて、ウチは生まれつき聾者である。だから情報収集には、随分と苦労させられた。中古車売ります、部屋をシェアします、といった情報があったとしても、ほとんどの連絡先が電話番号だったのだ。うちら聾者の連絡手段は、メール。電話番号よりもメールアドレスを載せる方が何かと安心だと思うのだが……。

幸い、バンクーバーに住む日本人を紹介してもらっていたので、彼に電話をしてもらい、その後メールでやりとりをする、という具合であった。しかし、eメールもファックスもない昔の聾者は、どうしていただろう? 手紙か? それとも、動物的な勘だろうか?
カナダであった日本人の中には、英語で苦労している人もいて、日本語で筆談するのは、英語を話すよりも全然ラクでいい、といっていた。しかし、ウチら聾者の手話は、英語の文法と似ている部分がある。だから英語を話す日本人はみな、手話は覚えすいといってくれた。そして、面白い質問をされるのだ。「過去形は、どうやるの?」「疑問詞のときは?」と。なるほど。日本にいるときには、あまり聞かれないことだ。ちなみに、手話は、過去形も疑問詞もあるので、それを表現したら、みんな早速使い分けていた。その事は、ウチらも新鮮だった。