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コラム

Spirit of Silence

By Troll

Underwater Signs

2006
Issue 8

旅をするとき、時に「聾者」であることで、驚きの発見に出合うことがある。あれは沖縄の離島へ行ったときのこと。それまでは島の海岸をシーカヤックで漕ぎまわっていたのだが、きゅうに海の上だけでなく、海の中の世界がみたくなったのだ。

それまでにもシュノーケルはもっていたが、もっと深く、長く、海の中を見るためには自分の肺だけでは足りなかった。

そこで、挑戦したのがスキューバダイビング。

初めて潜る海の世界は、新鮮だった。驚かされたのは、海の中では、ダイバーたちが当たり前に筆談をしていたこと。さらにさらに、うちらが自然と、海の中でも手話で話をしていたことに驚いた。

聴者が「あそこに、ウミガメがいる!」なんてのを書いていると、その間にウミガメは去ってしまうのだが、うちらは、手話で、スムーズに合図しあう。

手話でなら、ちょっと離れていても、
「あのキノコみたいな岩の近くにいる魚、唇が分厚くないか?」
「ん? 本当だ! タラコみたいで、真正面から見てみよう」
そんな風に海中でも手話で話せるというのは、陸の上では、気づかないことだった。

海からあがると、他の聴者のダイバーが「手話ってスゴイね!」と、話しかけてくる。まだ修行中の新米ガイドのYなんかは、まだまだガイドすることに緊張しながら、お客さんと「この手話、むずかしい!」と言いながら、一生懸命、練習をしていた。

彼女はきっといまごろ、海中でお客さんと手話で楽しい時間を共有していることだろう。

しかし、Y、「マンタと蝶々の手話は同じだ」と、突っこんでくださるな。確かにそれぞれの表現は似てるのだが、海の中に蝶々さんはいないのだよ。だからマンタと蝶々を間違えることないから大丈夫だよ。