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コラム

Travelers Tune

By Shoutaro Takahashi

The Charlatans head for the Scottish Port of ‘E’

2006
Issue 10

人気ミュージシャンに聞いた音楽とは関係がない質問、「あなたの母国で旅すべき場所を教えて?」。
今回はデビュー16年、イギリスのシャーラタンズ。

今から15年ほど前のこと。「マッドチェスター」なる造語も生み出した、イギリス発の一大ムーブメント“マンチェスター”ブームが勃発した。独特のグルーヴ感で踊れる新しいロックは、パンク以来の衝撃を放ち、現在のバンドにも大きな影響を与え続けている。

だが、当時のバンドたちは、ほとんどが消息不明だ。一部は新ユニットを結成したり、ソロになったり、再結成したりしているが、原型を留め、現在まで生き延びたバンドは見当たらない。

いや、いた。ザ・シャーラタンズだ。彼らだけは高い音楽性と人気を継続。春には新アルバムを発表した。

「僕はマンチェスターの隣のサルフォードで生まれたんだよ。そのあたりも面白いけど、自分で旅するなら、もっと北のスコットランドだね。ネス湖に行けば、ネッシーにも会えるよ(笑)」

そう話すのは、ボーカルでフロントマンのティム・バージェス。しかし、またもネッシーなのか……。ネス湖は、本誌3号でベースメント・ジャックスも勧めていた場所。ねつ造だったと、撮影者本人がすでに明かしているというのに、イギリス人お勧めの旅先は、結局どこも同じになってしまうのか?

「アハハ。いや、でもね、ネス湖近くの海岸線は入り組んでいて、カニがたくさん獲れるんだ。これがうまくてね! イギリスでは、間違いなくベストだと思うよ。なかでも良い漁港があって、町の名前はなんだったか……。たしか“E”で始まった気がするんだけど」

彼が言うには「そこには電車でも行ける」、「エクスターという感じの発音だったように思う」。だけど、あとでもう一度かなり詳しく表記されている地図で探してみたけれど、それらしき町は見つからず。

「ともあれ、スコットランドは、どこもきれいだよ。
エジンバラには、歴史的な建物も多くて、ゆったりと過ごせる。もっと田舎には静かで小さな町ばかりで、平和な人々が暮らしていてさ。まあ、例外でクレイジーな街もあるんだけどね、グラスゴーとか」

静かな人が多いスコットランドで、グラスゴーだけは別。彼らのライブは毎回ものすごく盛り上がり、たいへんな騒ぎになってしまうのだとか。だが、ミュージシャンにとって、それは悪いことではないのでは?

「いやいや……。だってさ、空港の手荷物検査所に金属探知機があるだろう? あれがライブ会場の入口に置いてあるんだぜ。そうじゃないと、ナイフやピストルを持ってくるヤツがいるんだ! タトゥをしている率も高いし、ホント、クレイジーすぎるよ(笑)」

イギリス人に話を聞くと、どうしていつも、穏やかな話と暴力的な話が渾然一体になるんだろうか。ナショナルトラスト運動も、フーリガンという言葉も生み出した国の不思議なのだ。(高橋庄太郎)

ザ・シャーラタンズの
最新アルバムと、
マンチェスターもの
   
Ian Brown
The Greatest
(Univeral)

最大の成功と影響力を持ったのが、なんといってもストーン・ローゼズ。ボーカルだったイアンは、昨年ベスト盤も出すほど、解散後ソロでの活動を重ねました。

The Charlatans
Simpatico
(BMG JAPAN)
デビュー以来、第8作目。今や王道UKロックの代表格だ。しかし、そこにヒップホップやブルースの要素も感じるのは、ティムが現在LAに住んでいるからかも。
   
Morrissey
Ringleader of the Tormentors
(BMG JAPAN)
カリスマ的存在のザ・スミスは、マンチェスター・ブームの影の立役者。ボーカルのモリッシーはソロになってから、国民的ボーカリストに。これは今年の作品。

Bez's Madchester Anthems
Sorted Tunes from Back in the Day
(WEA)
ハッピー・マンデーズというバンドで、ただ踊るだけの役割ながら、時代のアイコンになったベズ。このアルバムは、彼が編集したマンチェスター音楽のベスト盤。