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コラム

Travelers Tune

By Shoutaro Takahashi

A Walk About With Curly Giraffe

2006
Issue 11

人気ミュージシャンに聞いた音楽とは関係がない質問、「あなたの母国で旅すべき場所を教えて?」今回は正体不明のアーティスト。

某人気バンドのベーシストが匿名で活動するソロ・ユニット、カーリー・ジラフ。ファンにはバレバレになっているとはいえ公式には正体を明かしていない。そんな彼の作り出すサウンドは、アメリカ西海岸を思わせる甘くてゆるいサーフ・ミュージックだが、今回の“母国のおすすめ旅先”は金沢。だから、とりあえずアメリカ人ではなく日本人なのだろう。

ミュージシャンといえば、ライブ・ツアーだ。そして、ツアーの夜といえば酒池肉林を想像したくなる。

「10年前くらいまでは、メシもろくに食わず、朝まで飲んでましたよ。でもね、最近は早起きするようになって。で、ホテルの周りを散歩したりするんです」

彼が何歳なのかはわからないが、10年以上前からツアーをしているなら、20代ではあるまい。人間、歳を取ると、朝まで馬鹿騒ぎ→朝の散歩へと変化するのだ。

昨年ツアーで行った金沢でも、朝はやはり散歩。ホテルを出て、当てもなく駅のほうに向かったという。すると偶然行き当たったのが「近江町市場」。その日は特別の日らしく“甘エビ祭り”と看板が出ていた。

「うわっ、これはなんだろうって。そのときはあえて覗かないで、午後になってからメンバーに『甘エビ食えるから、行こうぜ!』と誘い、乗り込んだんですよ」

甘エビ祭りだけあって、甘エビバーガー、甘エビカレーなど、市場の出店は甘エビづくし。しかし、一番目に付いたのは、甘エビ早剥き大会であった。

「審査員が甘エビの形の帽子をかぶっていたりして、ちょっと痛々しいんです(笑)。参加する人がいないので、思わず仲間と手を挙げたんです。結局、地元の人らしき、おじいさんなども参加しましたけどね」

制限時間は1分。甘エビの頭と尻尾の殻を残して、その他の殻は全部剥く、というルールだ。

「これが難しくて。僕らは全員話にならない。でも、ものすごい早剥きを見せるおじさんがいて、『さすが地元!』と驚いていたら、頭も尻尾も全部剥いている(笑)。おじさん、ルールなんて聞いちゃいないんです。それでも優勝者は10匹くらい剥いてましたよ」

楽器の演奏には才能を光らせるカーリー・ジラフの指先は、甘エビ剥きには無能だった。自分で剥いたヨレヨレの甘えびを参加賞にもらい、ホテルへ。だがもらったことも忘れ、思いだしたのは茶色に変色していたあとだった。

「元から甘エビは好きではなかったんです。それで、しょうがないかと。この大会を経験しても、甘エビ好きにもならなかったなぁ(笑)。

でも市場で食べた『甘エビかき揚丼』は、本当にうまかったですよ」

カーリー・ジラフを甘エビ好きにすることに失敗した甘エビ祭り。うまいかき揚丼の思い出ができたのが、せめてもの救いか? ともあれ、金沢が旅のお勧め先というよりは、朝に散歩すれば、なにかおかしなものに出会えるかも、という話であった。(高橋庄太郎)

CURLY GIRAFFE
「CURLY GIRAFFE」(Burger inn)

まずは本人から一言。「朝の散歩に聴きたい、気持ちよくなれる作品を紹介します。自分の好きな曲はぜひ聴いてもらいたい。

“CURLY GIRAFFE””もよかったらどうぞ」

NED DOHENY
「HARD CANDY」(Sony)

「アルバム4曲目の“When Love Hangs In The Balance”は僕の人生の1曲。清潔感溢れる彼の歌声、ヤミツキです」。ネッド・ドヒニー、1976年発表のセカンドだ。

JUDEE SILL
「HEART FOOD」(Water)

アメリカの女性シンガー・ソングライター、ジュディ・シルのセカンド・アルバム。「天使の歌声にノックアウトです。彼女のアルバムは、全部いい!!!」

JIM NOIR
「TOWER OF LOVE」(Warner)


イギリスの新人、ジム・ノワール。「たまたまプロモビデオを観て気に入り、購入。手作り感満載のサウンドは、曲に劣らず素晴らしい。優しい気持ちになれます」