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コラム

Travelers Tune

By Shoutaro Takahashi

Shang Shang Typhoon

2006
Issue 13

人気ミュージシャンに聞いた
音楽とは関係がない質問、
「あなたの母国で旅すべき場所を教えて?」
今回は上々台風の白崎映美さんがご登場。

アジア諸国に沖縄、日本本土。さまざまな音楽の要素を自由にごちゃまぜにして、唯一無二のメロディを紡いでいく「上々颱風」。パッと華やかなサウンドは無国籍風でいて、だがあくまでも日本人にしか作れないオリジナルだ。

その活動のスタイルも、自由そのもの。以前、夏の祭りシーズンに合わせて東北ツアーを行ったことがあるが、これは、青森「ねぶた」&弘前「ねぷた」、仙台「七夕」、秋田「竿灯」といった「東北4大祭り」などの祭り見物をするためだったとか。

「そんどきに、初めて西馬内というところに行ったんだけど、ここの盆踊りが怪しくて優雅で、とにかくびっくりしてしまったわげ」と、わざわざ東北弁で話してくれた上々颱風のボーカル、白崎映美さん。西馬内は秋田県南部の小さな町で、白崎さんの出身地、山形県酒田市から50キロほど北。かなり近い。

「私は東北生まれだけど、実は東北のことなんかほとんどわがんねかったのかもしれない。一般のイメージどおり、東北には暗~くて、重~い雰囲気があっけど、そういう意味では、西馬内の盆踊りは『キング・オブ・東北』なんです(笑)」

暗くて重い雰囲気の土地とは、東北出身者の気持ちを虐げる言葉。実はこれを書いている僕も、東北出身者なんですが……。だが白崎さんは東北の文化的複雑さを楽しみ、プラスイメージで捉えている。

さて、この祭りで女性はパッチワーク風の浴衣を着用。2つに深く折られた編み笠をかぶり、顔を隠す。提灯のほのかな明かりの下で光るのは、目のみ。いかにも暗いイメージの東北風ではないですか。

「夜の暗さにうなじと手だけが真っ白に見えて、最高にエッチくせえの(笑)。顔が見えないから想像力が働ぐっていうか。日本には、あえて隠して色気を出すみでえなどごろがあっけど、それの究極ですよ」

西馬内盆踊りは、曲線的な動きで複雑。指の先から爪先まで、女の匂いとエロさがたっぷりらしい。エロい踊りと聞けば、男の心が騒ぐ。一度は見てみたい!
「でも、エロい踊りをしていた女の人の顔を後から見ると、『なんだ、ただのしわくちゃのおばちゃんだったの!?』っていうのもあんだけっどもね(笑)」、

この踊りには白崎さん以外のメンバーもみな衝撃を受けた。踊り手をツアーのゲストに招くばかりか、西馬内盆踊りの太鼓や笛のパターンを取り入れてみた新曲までも。しかし暗い東北風ではなく、いつもの上々颱風らしい明るい曲になってしまったという。東北の重々しさなど吹き飛ばす上々颱風、恐るべし。 
「でもね、西馬内の他にも、まだまだ『キング・オブ・東北』な場所はあるんですよ~」

それなら、話を聞かないわけにはいかない! というわけで、次号も白崎さんの話は続くのだった。
(高橋庄太郎)

上々颱風の最新作と、白崎さんの音楽的ルーツ
上々颱風

「あったりまえだ」(M&I COMPANY)

始めに本人から一言。「日本で生まれ、日本で育った私たちの音楽やろうぜ~と生まれたのが、上々颱風。11枚目の最新作は、図らずも昭和臭漂ふ1枚となりまスた。」

Janis Joplin
「PEARL」(Sony)

「いわずと知れた、ジャニス先生。“オラは東北の小さな暗い町で生まれまスた……”私はオラほの坂田弁で、CRYBABYを歌っています。すみません……」

TARAF DE HAIDOUKS

「BAND OF GYPSIES」(Sony)

「義賊楽団の意味を持つルーマニアの本物ジプシーバンド。けんかでメンバーが抜けたり、1人死んだりしたって、次々に近所のヤツを引っ張り込み、超高速演奏!」

Various Artists

「CONGOTORONICS 2」(Plankton)

「もっとでかい音を! と親指ピアノにエレキをつけちゃったコンゴのミュージシャンたちのコンピレーション。理屈抜きで、聴いた瞬間、勝手に体が踊る~」」