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コラム

Adventures of the Hokkaido Bush Pig

By The Hokkaido Bush Pig

Close Encounters of the Furry Kind

2007
Issue 18

毛むくじゃら君との遭遇

去年の秋、富良野にほど近い芦別山(1,726m)でハイキングした。頂上には、石造りの雰囲気ある山小屋がある。道内でもとくに気に入っている小屋の中は、土間と寝床だけ。いたって簡素だ。
ハイキングは3日間。1日目は小屋まで。2日目は小屋を出発して、頂上まで登り、山小屋に戻りもう一泊。最終日は下山するという行程だ。
3日目の朝。目覚めると、ぼくはハイキング、それと酒を飲みすぎたせいか、ちょっと疲れていた。おてんとうさまが森の上から顔を出し、とても暖かい。鳥もさえずり、上機嫌な様子だ。準備を整え、登山口に止めた車目指して、下山を始めた。とても気持ちのいい時間だった。

 川沿いの登山道は、幾度となく徒渉を繰り返さなくはならない。プラス、いくつか難しい場面もある。一時間ほどしたところで、川岸を離れた。そこからは、岩場を進む。そして、再度川へと戻る道を歩く。
川岸から、すこし上を歩いていると、最悪な出来事が。最初は何が起こっているのかわからなかったけど、足元に異常を感じた。登山道から川底に向かって、岩だらけの斜面を体が滑り落ちていっているのだ。(もし、それでお終いになっていたら、最後の言葉は“S-H-I-T-!”だった)
ぼくは重いバックパックを背負ったまま、川底に打ち付けられた。衝撃を感じたが、冷静さは失っていなかった。立ち上がり、状況を考えてみた。ここから登山道に戻るのは、どう考えても無理だ。でも、この川はどうせ、あと数キロ先で登山道とふたたび合流する。 実ははじめから、この個所を川に沿って歩くのは気が乗らなかったんだ。登山道の途中に、滝があるからだ。話を短くしてしまうと、結局ぼくは滝を越えなくちゃいけなかった(この話だけでも一本原稿が書ける)。ぼくは滝を降りたんだ。でも、まだ川底にいたんだ。川を進みながら、もうこれ以上最悪なことは起こらないだろうと考えていたその時、目の前に、石の下に食べ物がないか探している熊さんが現れたんだ! そう、北海道の巨大ヒグマだ!


ぼくは体を動かさないようにした。瞬きもしなかったと思う。カメラをとりだし、写真を撮ろうかなと思った、だけど体は、「動くな、動くんでない!」といっていた。たった10~20秒ほどの出来事だった。でも、そのときは何時間にも感じた。そして、熊は急にこちらを振り返り、ぼくを見るやいなや走り去っていった。突然の出来事は、あっという間に終わってしまった。いやいや、なんという一日だろう。もう、これ以上の悪いことは起こらないだろうが、早く車のところまで戻りたかった。でも、本当にそういえるかな?
PIG TIP:芦別山の山小屋までは川沿いの登山道なので、雨が降っているときは気をつけたい。水位は上昇し、何日も通行不可能になることもある。