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コラム

Living Style

By Noah Graham

Eco-architecture in the Shadow of Mt. Fuji

2008
Issue 20

Eco-architecture in the shadow of Mt. Fuji

古代の日本は、太陽の神、天照大御神の子孫が統治する壮大な国だった。山々の麓に農地が広がり、荘厳な城のもとに寺社に守られた集落が集まる。精錬された大工が建てる当時の木造家屋は、何百年もの耐久性があったとされる。

世界最古の木造建築物である奈良の法隆寺は、1400年間朽ちることなくそこに立ち続けた。素晴らしいパーマカルチャーと自給自足の伝統がありながら、なぜ今の日本は、食糧の60%を輸入に頼り、平均耐久年数わずか20年の家に住んでいるのだろう?
古き良き日本は、廃れてしまったわけではない。都市生活への傾倒で、豊かな農地と伝統ある家屋が忘れられただけである。近年、自由なライフスタイルを求める人が、田舎に戻りつつある。家や庭を再生し、自前の店をオープンさせたり……、と村々に活気を取り戻している。

富士五湖周辺は長い間、東京に住む人が週末だけ訪れる保養地だった。だが、このところ、週末の道路渋滞のなか帰京するのではなく、週末を問わずに滞在する 人が増えている。廉価な不動産とインターネット・アクセスを利用して、別荘や古い農家をスタジオやカフェ、ホームオフィスにして、この地域で暮らし始めて いるのだ。

富士五湖のひとつ西湖では、原宿のブティックオーナーが「Café M」をオープンさせた。峰々を眺めながら自然のなかでデザイン活動をし、隣のカフェで香り高いカプチーノを提供している。

エベレスト清掃登山で有名な野口鍵さんは、廃校になった小学校を改築し、ネイチャー教室を開いている。ロックバンド「アナーキー」 のボーカリスト、シゲも最近ここに移住した1人だ。彼の隣に暮らし、レコーディングしているのは「レッド・ウォリアース・フェイム」のギタリスト、シェイ クだ。
精進湖の周辺は、樹齢1200年の杉と神社が建つ趣のある村だ。エコ建築家の ジェイク・レイナーは、古い家々と時が止まったような雰囲気に魅せられて、築150年の民家を改築し、利用している。


黒光りする大きな梁はそのままに、壁を断熱補強し、窓とサンルーム、そして床暖房を備えた。キッチンを新しく入れ替え、バスルームを豪華に変える。中央の階段を上ると、2階は広いロフト兼スタジオだ。蔵はゲスト用の離れにした。
富士山麓では、各種イベントが盛んでもある。ワイン醸造所や温泉、レストラン、博物館が数多くある。ハイキング、サイクリング、ゴルフ、ウィンドサーフィン、釣り、乗馬、スキーといったアウトドアも楽しめる。 

今の暮らしとナチュラルな暮らしうまく融合させるなら、古き良き日本に学べばよい。伝統を再生すれば、サステイナブルな進歩が可能なはずだ。田舎にはそんな可能性がたくさん潜んでいる。