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コラム

Fitness

By Kazuko Ikeda

A Pilates Journey

2008
Issue 24

一流アスリートのパフォーマンスを見た時にどんな印象をうけるだろう?  「あんな風にできたらな」。もしくは、「うーん。できるかな?」なんて甘い期待を抱いてみることはないだろうか? 

彼らのパフォーマンスを見て、無駄なく、バランス良く機能する全身の筋肉を見て感動すら覚えるのは私だけではないと思う。この6月の全米オープンで劇的 な勝利をおさめたタイガー・ウッズのスムーズなスイング。100mの世界記録を保持していたアサファ・パウエルのダイナミックでありながら軽やかな走り。 30m以上の高さのビッグウェーブに乗るレアード・ハミルトンのバランス。 

彼らの動きは、奇麗で美しい。私が現役選手の頃、オリンピック3大会連続で金メダルを取った、イタリアのデボラ・コンパニョーニの滑りに憧れた。一般 に、足が太い選手が多いアルペンスキー選手でありながら、均整のとれたスリムな身体の持ち主で、雪面と喧嘩をしない素晴らしいスキーヤーだった。それに比 べて、私の腕と脚はウェイトトレーニングで鍛えられた逞しい・太い筋肉達……。見た目からして、なんだかアンバランスなのだ。 

「いった いどうやったらデボラのような滑りに近づけるのだろうか?」 

そんな疑問が頭の中でいつも巡っていた。 

ピラティスを勉強してわかったその疑問のひとつの答えが、一流アスリートの“姿勢の良さ”だ。真っ直ぐに伸びた足。ピッと上ったお尻。スッと伸びた背 筋。それに、奇麗に開いた胸。ピラティスでは、そういった良い姿勢を求めてレッスンを繰り返していく。ピアノのお稽古でも、バレエのレッスンでも「基本を 大切に」なんて言葉を耳が痛くなるほど聞くが、「良い姿勢」それこそが良いパフォーマンスの“基本”ではなかろうか? 一流アスリートは「良い姿勢」の持 ち主。二流になるとちょっと首をかしげたくなる、そして三流レベルになると、明かに姿勢に問題があるように思う。 

どうだろう……。ちょっと回りの人達を観察してみよう。そして、自分の姿を鏡でよく見てほしい。正面から見て、肩のラインは左右対称だろうか? つま 先、膝は真っ直ぐに正面を向いているだろうか? 次に横向きになって見てみよう。コンピューターを見続けた貴方の首は、カメのように前に突き出ていないだ ろうか? 背中の曲がり具合はどうだろう? 今の状態から「良い姿勢」を目指すことはできそうな気がしないだろうか?  

ピラティスは私にとってこの良い姿勢を求める旅。旅先で何に出会えるか、行ってみなくては分からないのが醍醐味。ピラティスを学ぶ時間は、自分の知らない 自分に出会う、行ったことのない場所へ行くような感覚だ。 

ピラティスを始めて、O脚だった私の足も3年で真っ直ぐになりつつあり、寒い冬のスポーツで縮こまった上半身も解放されつつある。体が真っ直ぐになり調 和がとれてくることは気持ちよい。 そして、年齢は重ねつつも、姿勢が良くなることによってスキー、テニス、ウィンドサーフィンが上手になるのではないか と期待している。そんなことを想像するだけで、嬉しくなってくる!