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コラム

Adventures of the Hokkaido Bush Pig

By The Hokkaido Bush Pig

The ‘Blessed’ Sound of Bells

2008
Issue 24

北海道に住みはじめて最初のハイキングのことは、いまも忘れられない。義理の父と一緒のはじめての登山。ニュージーランドでは体験したことがないことに出くわしたんだ。

ハイキングをしていると、少し離れたところから妙な歌声が聞こえてくるんだ。何だろうと思いながら1kmほど進むと、また聞こえてきた。でも、気のせいだと思った。クリスマス・ベルみたいな音。7月だけど、日本ではもうクリスマスを祝うなんてことある?

義理のお父さんに、あの音はなにか聞いてみようと2回思った。だけど、その頃、僕の日本語はそんな質問ができるほど上手ではなかったんだ。そうしたら、バックパックに鈴をつけた2人のハイカーが山道を下ってきた。家に帰ってから奥さんに鈴のことを聞いてみると、そこで始めて北海道にヒグマがいることを知った。

ニュージーランドでは、危険な動物の心配をしなくてもいい。ぼくの奥さんは、日本では鈴を鳴らし、熊に人間の存在を知らせているんだと教えてくれた。今ではトレッキングガイドを北海道で11年もやっているが、そのとき以来幾度となく熊鈴の音を聞いたことがある。

最初の数年は、熊鈴の音が耳に響き、自然の音を台無しにしてしまう。よくもあんな音を、ハイキング中ずっと聞いていられるもんだと思った。

でも時間がたつにつれて、納得がいくようになった。熊鈴をつけることで安心できるし、熊除けの効果があると思うようになった。来日してから、北海道のどこのトレイルでも熊に襲われたとを聞いたことがない。まったくないとは言えないけれども、僕が知っている限りいない。あるとすれば、山菜取りに来た人が襲われたぐらいだ。

地元のベテラン・ハイカーはいう。

「人間が熊鈴を鳴らすから、熊は人の居場所がわかるんだよ。それで僕らは襲われないんだ。たしかに、ちょっとうるさいけどね」

北海道では、人間と熊が遭遇して問題が起こると、すぐに熊を撃つ。だからハイカーたちのなかには、熊鈴をつけないで山に入ることを無責任だと考える人もいる。僕は熊鈴に対して複雑な気持ちを持つものの、いまでは愛用している。

Pig Tip:すぐに取り出せるところに、熊鈴をしまっている。だけど、熊が最近までいたような痕跡があるとき、熊の気配を感じるときに取り出して使っている。

ピッグの疑問:ひとつだけ理解できないのは、10~20人のハイカーが数珠つなぎに並んでハイキングしているのに、みんなが熊鈴をつけていること。宇宙まで熊鈴の音が届くんじゃないかと思うくらい。どうして皆がつけなくちゃいけないの?